やさぐれる女 12 「普通じゃない」のキャメロン・ディアス

 

普通じゃない [DVD]
 

 90年代に観たラブコメディーの中でもとりわけ好きだったのに

何故だかごく最近まで忘れていました。久しぶりにTVで観る機会があって途中まで見入ってしまいました。ちょうどセリーン(キャメロン・ディアス)が歯医者のエリオット(クリストファー・エリオット)の家に寄ってロバート(ユアン・マクレガー)を助ける為に骨折っていろいろやっているのにロバートが怒り狂って大騒ぎになるくだりとかを見直しながら、なんだか日本の青年コミックみたいななノリだけど日本の青年漫画家は先ずここまでやらないからスカッとするって気がしました。じゃあ日本の少女漫画やレディースコミックならこの映画みたいなのが読めたかというと、それも中々見つからない。だから満足度が高かった・・・と改めて思います。脚本、監督、プロデューサーの三人組は90年代の中頃にシャロウ・グレイブ [DVD]で映画界に進出し、トレインスポッティング [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]の世界的大ヒットで主演のユアン・マクレガーを始め主要キャストもハリウッドに進出。いわゆる演劇やっているスコットランド勢が大挙してメジャー映画の世界で活躍するようになっちゃった。私もかなりこのグループの人々(役者とスタッフ)の関わった映画やTVドラマ観てます・・・ヌーヴェルバーグだのドグマ95だのって程じゃないスケールのはずなんですが・・・英語圏の人達だったからやっぱり有利なのかな・・・それとも?

 

それでも1996年時点で英国出身系スタッフの作るラブコメは拗れていたのかも

詳しく説明すると未見の人々にはもはや面白くないかもしれないんで説明しませんが映画のオープニングでは、「男女間における永遠の愛とは何か」という事について真面目に議論しなくちゃいけないって感じになります。で、グダグダな二人組の男女のオレイリー(ホリー・ハンター)とジャクソン(デルロイ・リンドー)が登場する、とだけ紹介しておきましょう。主人公のロバートはビルの清掃作業員だったのですがビルのオーナーのスヴィル(イアン・ホルム)に首を言い渡され、頭にきてスヴィルの娘のセリーンを誘拐しようと企みますが、セリーンというお嬢様がもの凄い性格の女だったせいで、ドタバタの逃走劇になるというお話です。だから基本はロバートとセリーンの掛け合いとキャラクターの違いと魅力で引っ張っていく・・・という事になります。キャメロン・ディアスが楽しそうにパブのカラオケで歌いまくるシーンはベスト・フレンズ・ウェディング [Blu-ray]でも有名ですが、この映画でもパワー全開で楽しそうでした。ロバートの方は一見オロオロしているばかりな印象ですが、やることなすことドジと幸運が同時にやってくるもしくはセリーンの行動のフォローと後始末に奔走していくとも言えそうな活躍なんで、1920年代のスクリューボールコメディの再来といわれても納得できるかな、てのが映画公開当時の感想でした。日本の漫画、漫画家にはクラシックなハリウッド映画の影響が多々あるのですが、現在に至るまでスクリューボールコメディというジャンルはキライ又はよく知らない方々が圧倒的多数なせいか、惜しいっ惜しいぞその漫画&アニメの展開てのを時々感じるのですが、私一人だけなんでしょうか・・・あぁぁ、そうだった・・・漫画よりも日本の映画こそどうなんだって話も当然議論されるべきではあるとも思ってます。

愛も富がないとシアワセにはなれない、でもだからって解決方法が・・・

1990年代といえば、犯罪アリのカップルもの映画は結構あり「普通じゃない」の先達としてトゥルー・ロマンス ディレクターズカット版 [Blu-ray]だとか、ワイルド・アット・ハート [Blu-ray]のような映画もあります。が、この2作品のカップルに比較するとロバートとセリーンは一線を越えてはいけない強い倫理観がなんとなく「薄い」ということを指摘しておいた方が良いかもしれません。各3作品を鑑賞して、先達の2映画の方が暴力も変態性もより強いのでは?と感じる方も多いかもしれませんが、一方はドラッグを押しつけられてマフィアに狙われる、もう一方はヒロインを執拗に狙う理解不能な中年男女とその手下グループからの逃走と闘争・・・という滅茶苦茶な展開故に、主人公が自らの行動を常にチェックしないといけないという緊張感を持っていて、そうでないと映画の内で死ぬ・・・というのも観客にきちんと伝わるのとは違っています。ホリー・ハンターなんかクラッシュ 4Kレストア無修正版(3枚組) UHD+Blu-rayの時以上にもの凄い交通事故に遭ったり、セリーンのオヤジが本物のマフィアを雇って身代金横取りしようと企むのに、二人ともあんまり気にしていない感じ。男だらけの若者グループ映画である「トレインスポッティング」では前述のような「一線を踏み越えたら死んでしまう」という緊張感が映画のクライマックスまで引っ張っていたような気がしたんですが。(でも続編のT2 トレインスポッティング [AmazonDVDコレクション]を観た限りではやっぱり常に厄介な人間関係を穏便に乗り越えてして生き延びるというのがこの英国出身系のチームの考えるドラマチックな人生とは?の根っこにあるのかもしれないと思うようになりました)というわけで、ロバートとセリーンはどうやってめでたく恋に落ちて結婚に至るのか、をラストで確認して下さい。しかしながらセリーンは自分の持参金をどうやって算定したのかしらん・・・って日本人だと思っちゃいます、大人になっても仕事らしい仕事をやらせてもらえなかった金持ちお嬢さまの底力ならきっとあの何とか二人シアワセになりそうっ、て脳天気なラストの演出も私はさして気になりませんでした。