2018年に劇場で見た日本の実写映画 ③ (で、煙草/ジェンダーに関する映画)

日本の若手の二枚目には「煙草も持たせる」以外にオトナの芝居が無いの?

 って言いたくなるような日本映画が2018年には続けて話題になりました。そのうちの2本は原作小説の作者が女性なのでホントにそれしかないのかもって一瞬落ち込みそうになりますが。とはいえ制作側にはそれなりに戦略の違いがあって日本映画に文句言いたいフェミの観客にはポイントになるかも。(と煽ってみるw)

 

孤狼の血 [Blu-ray]

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 所謂近過去もの映画(実は長年現代劇と時代劇とレトロもの違いは何ぞやという面倒な議論もあり好い加減この手の映画のジャンルが確立されつつあるのは喜ばしい事です)というヤツですし、タイトルにも関わる事なので松坂桃李喫煙者になる経緯がドラマチックに描かれているのも当然ちゃ当然w。主役二人が一番芝居するシーンでどっちも影になっててほぼ画面に出てこないも同然だったり、ラスト近くの「墨塗黒ペン先生による熱血指導日誌」を手に涙する1980年代の共通一次世代の若手刑事だったりする描写はとても気に入りましたっw。もうそれだけで露悪的なピカレスクロマンお腹いっぱいなので、さすがに近未来の「麻雀放浪記」とかは消化できそうにありません。

 

寝ても覚めても [Blu-ray]

寝ても覚めても [Blu-ray]

 

  海外の多くの国での公開が決定しているこの映画、煙草が主人公丸子亮平(東出昌大)の心理状態を表す重要な小道具になっています。映画鑑賞中はそれほど気にならなかったのですが、昨今特に若い女性の嫌煙感の凄さに触れる度に段々と心配になってきました。ソレこそ今どきハリウッド映画で観るスカした女優の喫煙シーン(2018年カンヌ審査員長のC・ブランシェットが演るような)と比べて遜色あるどころかむしろよっぽどマシだろって気が一方でしなくもないのですが、ヒロインの朝子(唐田えりか)の亮平の喫煙習慣についてのろけ混じりに語るエピソード等は結構炎上案件になりそうな予感。しかしながらハリウッド洋モク系の喫煙シーンにはビジネスの香りしかないのに日本映画JT系煙草にはやたらとジェンダーの香りがするのが私は頭痛いです。日本/JTの場合は明治期から国策で専売公社だったりするもの関係あるんでしょうかw。

 

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track

 

 「一見IQが低い人向けに作っているように見せて中身はIQが結構高い映画」って最近のハリウッド映画等を褒め倒す時に使われるフレーズですが、新作の日本映画についても気楽にそんな事決めつけられますか?IQ高い表現って意外と危険なモノですよ、特に観客にとってより身近でドメスティックな現代劇だと。私的な決めつけで「ジイサンが夫婦や孫連れて見に来て終了後皆で大満足する」映画、ジャンルはともかく比較的IQ高い映画、にしてますが2018年度観たヤツで該当したのが↑とインクレディブル・ファミリー (吹替版)でありました。面白かったんですが感想を言うのが難しく、安室ちゃんど真ん中世代の主婦なんかには導入部なんかは身につまされ過ぎてたようでいた。時々劇場で見かける予告編に至っては「韓国オリジナル版の少なくともあらすじ知っている筈なのにどんな映画なのかサッパリ予想できない」状態に陥ったし。男性の映画通の間では評判は決して良いモノではなかったのに、「チャラく煙草を吸う三浦春馬が登場し始めてから面白くなった・・・すずちゃんすずちゃん」などと連呼する作家(何でこんなコメントするヤツがキング・オブ・アウトローなんだよって思いましたが瓜田純士って一部では有名な人なんですね)がいたりとか・・・私から観てもまるっきりの女性映画なのに出番の少ない男性登場人物の自己主張が強くないか?とは思いました。過去である90年代中頃と2018年との描写の一番大きな違いが「2018年ではリリー・フランキーを含めて男性陣が一切喫煙しない」というのにも意外と「怖さ」を感じたもん。なんだか「俺たちは総て過去を切り捨てて生きてきてるけど、代わりに過去を抱きしめてくれてすずちゃん&篠原涼子有り難う」ってか?しかしそんなんで男の人達大丈夫なのおぉぉ・・・(;゚ロ゚)?と思っちゃう。なんせ自他ともに大根常連組とされていた役者さんが現在大変な事になっておりDVDは販売中止。しかも新井浩文のシーンは全部カット編集した上で再度発売しても元々全く問題ない内容なんで困ってしまいます。そういや映画観た直後にTV出ていた三浦春馬について「彼は二枚目なのにやたら人の良さが出てる」とか突如夫はため息つきながら唐突に言い出して驚いたことがありました。日本映画と日本の観客にとって映画がIQ高い低いとかいう事よりも予想だにしない部分で「闇」が深いってのがより重要なのかもしれません。あと敢えてネタをバラしますとですね、「SUNNY」は隠れ百合映画です。韓国オリジナル版も同様なのかまでは未見なので存じ上げておりません。

2018年に劇場で見た日本の実写映画 ②

2019年明けてやはり世の中は荒れているのだろうか

 

モリのいる場所 [DVD]

モリのいる場所 [DVD]

 

  市原悦子様もお亡くなりになりましたし何より樹木希林が去ってしまったのが2018年度の日本映画界の一番の大事件になりましたから。それこそ万引き家族 豪華版Blu-ray(特典なし)のカンヌ・パルムドールなんてのが吹っ飛ぶぐらいです。↑の映画に関して言えば「万引き家族」と双璧で2018年の日本映画の私的ベストに入れても良いくらいでした。公開時前から感じの良さが伝わってきたのも好ましいです。ユルくてミニマムな喜劇のようですが、意外と隠れた過激さがジワジワくる内容でしかも実話べース。是非「万引き家族」とコミで主人公「モリ」画伯の履歴も合わせて調べてみて下さい。

 

映画『パンク侍、斬られて候』6月30日(土) キャラクターの動画

 映画と全く関係ない話でとても心苦しいのですが、映画の途中から親子三人で河中湖の猿回し劇場に行った時にウチの息子がやらかした「4代目チョロ松の演技に5,6歳の幼児がクレームを付け人間である客の誰一人意味が分からないのにチョロ松自身だけは強いショックを受ける事件」の記憶がよみがえりとても困りました。当時のチョロ松は息子のクレームに「俺の芸駄目なのか?駄目?みんな俺のこと嫌いにならないでくれ」と急に強くアピールし始めたので親としてはすごく恥ずかしかったです。どうして宮藤官九郎脚本の映画だと続けざまこういう感想になるのか解りませんが、そんな馬鹿息子も今年の7月19日には満18歳になってしまうのはもっと哀しいです。

 

  まだ前橋市で劇場公開している所があるみたい(2019年2月中旬)、なので観てない人でお近くの方はチェックしてね。しかしどんなに前評判が良くても原作漫画ファンが原作のビジュアルの完璧に表現と絶賛しても、積極的に観に行こうという気が失せるポスター仕様であった。さすがに日本映画ポスターの「惨状」を憂うる事は必要なのかもしれない。ギャングース絶賛派の中には「万引き家族」と並べたがる人もいるようなんだが、同じ貧窮した状況でも「ギャングース」の三人組と「万引き家族」のリリー・フランキーとでは人間のタイプとして全く共通点が無いというのがよりスゴイのかもしれない。世代とかいうレベルさえ超えてる。私前々から「万引き家族の主人公夫婦実はかなりの現金を貯め込んでいる」説を訴えているんだが、ギャングース達はあのリリー・フランキーに弟子入りして「先輩、土方仕事でどうやったらそんなに簡単に金貯められるんですか教えてください。そんなにキャッシュあったら牛丼〇〇杯食えますよ!!」と絶叫したところで、何も教えてくれないどころか会話も成立しないと思う。「万引き家族でのリリー・フランキー」は米とか肉とか外食には一切興味が無い人物なので「揚げたてコロッケにしたら〇万枚買えるほどの現金はどうやったら貯まりますか?」と質問し直さなきゃいけないよ、まず。(笑)

 という事で2018年の日本映画のトレンドは dis-communication/相互不理解に在るのかもしれない、て決めつけしちゃいそう(;゚ロ゚)・・・③もあるんだけど日本映画の中でも外でも相互不理解が一杯だね、って話が続きそうだし。世の中には幼児と猿回しの猿が勝手に相互理解しちゃう時もあるのにねぇ。(哀)

 

2018年に劇場で見た日本の実写映画 ①

2018年遂に日本の実写映画のコーナー作る程鑑賞したぞ!!

 既に2016年頃から日本の実写映画を積極的に見始めてはいるのですが、評価の定まった古い映画ならともかく新作の日本の実写映画の見方にはあまり自信が無いんですよ。まず第一に心の中でアニメ/実写と未だ完全に分けて考えている自分がいるので。そういう意味では衝撃的だったのが、ちはやふる 完全版【初回生産限定】 [Blu-ray]の登場でありまして、2018年にめでたく完結しました。

 

  とにかく「ここまで少女漫画を本気でビジュアル化するのかいっ」って当初は呆れ果てたんですが、振り返ると原作通りでないトコも多いようであくまでも監督が考える少女漫画にはなってます。とにかく少女漫画にしかなかった色彩を実写でやろうとしたがスゴかった。で、ドラマ部分は意外にも男の子モノに傾斜しているというのがミソ。

 んで、私的に「推し」の監督で映画観に行ったヤツ。

 

いぬやしき

いぬやしき

 

  とは言え、↓のは息子のリクエストで夏休みに行ったんだけども・・・

 

BLEACH

BLEACH

 

  とにかく佐藤信介の映画はいつだってレイアウト(構図)が完璧なんですね。もう出鱈目で無理矢理なまでに完璧。いぬやしき」の場合だと原作漫画の画力がものスゴイからじゃないだろうかって主張する人も多そうですが、それでも日陰で立地の悪い建て売り住宅の庭先に佇むノリさんの姿だとか、調布で佐藤健が事件を起こす室内のシーンにはひたすら感動します。息子と夫の三人で観に行きまして夫と息子は新宿の空中シーンに熱中してましたが、現代日本人にとってドメスティックな「家屋のリアル」が描かれているだけでホームドラマだと思ってしまう私にとっては万引き家族 豪華版Blu-ray(特典なし)に匹敵するくらいのホームドラマです。「ブリーチ」にしたって主人公の福士蒼汰が自分の部屋の押し入れに居着く杉崎花との丁々発止のシーンだけでああ映画観てる気がするって満足してしまう私。とはいえ「あんな狭い公団アパートのLDK住民に気づかれずSWATチームがどうやって入ってこれるんだよっ」みたいな突っ込みは常に入れながら観てますよw。以前漫画原作の映画だったんですが映画の冒頭主人公が自宅の部屋に居るところで話が始まるのにも関わらず「主人公が住んでいる家が実はお屋敷街の一軒家だった」設定だったのが映画が始まって中盤になるまで明かされなくて人知れずブチ切れた事があったんですが、まあ私そういうフェチなんです。そのせいなのか佐藤信介が推しって言ってるんだけれども「キングダム」にはそれほど惹かれません・・・(ゴメンナサイ)。最近の中国ドラマよりも圧倒的なエキストラ人員の少なさをカバー出来る画面作りもそれはそれで良いのかもしれません、けどぉ。

 で、この映画だと鎌倉が舞台なので、登場人物がどういう物件に住んでいるのかに苛つく事もなかったっw。その代わり冒頭からタイトルバックに至るまでのシーンが妙に不快で、映画の中で巧みに隠されている設定の暗示にすらなっていなかったというのが徐々に解ってきました。・・・なんと言ったら良いのか難しいのですがとりあえずは悪口だと思ってください。夫も息子も予告編から本編までどっちも見て気に入ってたようだったので一緒に観に行きまして、私も細かい所を気にしなければ楽しめました。例えば堤真一の着ていたパジャマがウチの息子の為に買った生協のパジャマとまるっきり同じモノだったりしたけどそれほど気になりませんでした・・・それから映画終わった後に夫は安藤サクラのことを「若いけど上手いヤツだなあ」と言い出しまして、私が「今度は朝ドラに出るよ」と告げた所「でも背が低いのに大丈夫なのか?」としきりに気にし始めました。安藤サクラは女優で朝ドラのヒロインになるんだって説明するのにとても苦労しました。

 

 

 

 

2018年に劇場で見たクラシックな「大作映画」

 

Sorcerer (1977) (BD) [Blu-ray]

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 いやあ、とにかくもの凄くて「加齢臭」があぁぁ・・・(苦笑)

 でも劇場内は人一杯入ってて、入った瞬間にヤバいわココって思いました。どうしてこんなことになったのさ、とアタリを見回したんですがホントに「ジジイ臭な熱気」だけで?ってくらい。女性客が私含めて2,3人てのも私の鑑賞する映画では別段珍しくないのですよ。2018年の秋口にスカイライン-奪還- [Blu-ray]てのを観た時なんてレディースデイだったのに女性客私とおばあさんの二人だけだったもん。何がこれほどまでにオッサン・・・いやあ男臭さを呼ぶのかよ、と思ってるウチに映画が始まりニトログリセリンを運ぶ男達(ロイ・シャイダーブリュノ・クレメール、ニーロ・フランシスコ・ラバル、アミドウ)4人の過去が冒頭一気に語られます。いろんな方がこのフリードキン版と仏オリジナル版との比較で指摘する部分でも在りますが、メキシコにフランス、エルサレムにUSのアイルランド系ギャングがいる都市(詳しくは解らなかったんで)といきなり皆さんそれぞれ人生大変そう、て様子が細部/ディテール描写の積み重ねで観る人に伝わってくる。フリードキン監督て70年代にジャンヌ・モローと結婚していたんですよね。それ踏まえて観ているとフランスの銀行家(ブリュノ・クレメール)のくだりがぁ、私からしてもとりわけ哀しくなります。ネットの感想で「フランスの銀行家の人が一番良かった、エピソードもまるでフランスのノワール映画みたいで」などというのが在ったんですけど、男の人はこの手の「勘」がさすがに鋭いんでしょうか。男の映画ファンでフリードキンが好きなタイプがジャンヌ・モローには興味あるとは思えないしねぇw。銀行家のカップルは結婚10年で離ればなれになるのだけど、フリードキン氏の場合はそれよりも続かなかった。(余計な情報ですが)

南米が舞台なんだけど、つい思い出すのは冒頭のキャラ紹介シーン

 になってるのよ、物語の構成がそうさせるのね。オリジナル版のアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督『恐怖の報酬』Blu-rayの場合だと舞台は同じく中米でもそれほど暑苦しいイメージがなく(白黒だしねw)、食堂&酒場の場面が特に重要。命知らずで、人生そのものを投げちゃってるような男達の虚勢の張り合いがスゴイ、そこで性格やら長所欠点を紹介していくんだけど。フリードキン版はうだるような暑さの中、酒場の周囲は石油会社の仕事を求めた地元住民達が集まってスラム街みたくなっている。運び屋になる男達は皆故郷を追われてスラム街に捕らわれてしまっていて、地獄のようなこの土地から脱出したい。故郷にいた時にも4人の男達は皆独りぼっちの状態で追われて身一つ村にたどり着いたというのに何だか寂しいの、慣れ親しんだ快適な場所から遠ざかったからじゃない。同じく石油採掘所で働く地元の住民は皆家族があって、貧しいスラムに住み日々辛い生活を送っていてもコミュニティの一員だから、爆発事故一つ起きても村の住民の間で暴動を起こしたりする。一体感を持って人生生きているって感じ。よそ者にはソレが無いから。とにかく疎外感が募るのさ。

 ニトロをトラックに運んでいる最中にロイ・シャイダーがもっともブチ切れるシーンがあってさ。橋がぶっ壊れているのをなんとか無理矢理渡ってやっとこさ道らしい道を急いで行こうぜって時に、奥地に住む原住民の家族連れがトラックの行く手を阻むの、あんまりトラックって見たことないもんだから原住民の家族には道を譲るってところに頭が回らないし、そこの家長たる父親がわざとふざけてロイ・シャイダー達にマウントする。ここら辺で私はロイ・シャイダー演じるスキャンロンの冒頭エピソードを強く思い出したのだしたのさ、ギャングの結婚式のご祝儀金をスキャンロン達のグループは狙って強盗しに入っちゃう。そこの結婚式を仕切る牧師もギャング幹部の弟で、はずみで牧師を殺した強盗グループの中で一人だけ生き残ったスキャンロンだけが生き残り地獄のような目にあってんのね。彼は世界の中でも一番の文明国に生まれたのに自分が育ってきた土地ではギャング同士の抗争ばっかりで、ずっと周囲に小突き回されるまま家族も持てなかった人生を再確認しているのよ。

最後のエピローグが「納得」

 スキャロンは最後にまた独りぼっちで「生き残り地獄」の目に遭って、それでようやく解放されて映画は終わる。やっとこさスラムの居酒屋に戻ったけど、石油会社は金と本国行きではないよく分からない土地へのチケットをくれるし。そんなスキャンロンは店で働いている原住民の中年女に「一緒に踊って欲しい」と声をかけて二人でダンスするのさ。なんだか一緒にたどり着けなかった他の三人を追悼するみたい。生まれた国もバラバラで皆の間に何にも連帯感が生まれなかったのにね。

 

恐怖の報酬 [DVD]

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 だいぶ前に観たのでかなり内容を忘れて・・・

 てましてw、サスペンス部分に関してはニトロがよりずっと繊細で何時爆発するかドキドキする中、必死にハンドル握ってたイヴ・モンタンの顔しか思い出せません。それよりも映画の中で紅一点の女性である酒場の女性リンダ(ヴェラ・クルーゾー)へ対する男たちが言動が酷く、お前のご託なんか聞く耳持つかよ、存在を無視してやるだけ有難いと思えな態度に驚いてしまい、強く記憶しています。男より女が少ない環境だから女がよりチヤホヤされる筈美人ブス問わず、て幻想を抱いている人間は男女問わずこの映画観て考えを改めた方が良いです。女性が少数になればなるほど激烈なホモソーシャル環境になり易くて、女なんかの説教を聞いてご機嫌取る位なら男同士がマシって事でクルーゾー版の運び屋にはゲイのカップルもいて威張ってました。ゲイの片割れの若い方の事がリンダさんは好きだったので止めたかったんだったと覚えているよ。演じてるヴェラ・クルーゾーって名前でもお気づきの通り、後に監督のクルーゾーと結婚したんですが、60年に夫の不倫の噂に傷ついて自殺してます・・・。こうゆうエピソードを聞くとフリードキン氏の「恐怖の報酬」リメイクへの執念が何となく解るのかなあ?まあフェミ系の観客にはどうでも良いのか。典型的な70年代のヒットメーカーっていうか、ひたすらハード&マッチョな映画を撮ってたフリードキンはこの後にクルージング [DVD]って映画作ってゲイフォビアだってゆうんで上映禁止にまでなった事があるんですよお。フリードキン版の「恐怖の報酬」を改めて観ると、男も男なりにジェンダー問題に悩む事はあるのかもしんない、て気もしましたが80年以降の新たなフェミニズムLGBT運動のうねりとは合わなかったのね。でもフリードキンの映画はゴリゴリマッチョだけではなくもっといろんな側面から評価しても良い気がしてきました。

 

 

2018年に劇場で見たクラシック映画

 考えてみたら昔の映画もあんまり観ていない事に不安を抱くようになってます。こうしている間にも(2018年1月現在)やれ「アトランタ号」なのなんだの話にだけは聞いていた映画が公開されるので見逃したらどうしようかと新作映画よりも一層焦ってくるので要注意でぇす。

 

シェーン HDリマスター [Blu-ray]

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  何だあ限りなく日本映画っぽい西部劇だったのね。という第一印象だったです。西部劇としても今までに無い暴力シーンに当時のUSの観客は驚いた・・・て逸話も聞いたことあるのに、開拓民同士の二つの派閥争いはホントに畑耕すお百姓VS牛飼い軍団で意外に主人公シェーンが味方するお百姓さん達がより皆さんワリにヴァイオレンス派だったみたい、んでこの手の腕っ節でごねるタイプの百姓や百姓上がりの任侠は日本で映画ではおなじみだったりするのでぇ・・・等と年末の飲み会で話をしたのですが、シェーンの脚本家がそもそも日本の戦前のマタタビ物や時代劇好きだったらしいという事を教えてもらいました。開戦前からUSでは日本の研究を相当やったという話はよく聞きますがハリウッドでも徹底的にやったんだね。

 

七人の侍 [Blu-ray]

七人の侍 [Blu-ray]

 

  デカいスクリーンで初めて観ました。今回は後半部分で村の水車小屋が燃えて、菊千代(三船敏郎)が生き残った赤ん坊を抱えて「コレは俺だー」って叫ぶシーンが一番良かったです、TVで何度も観てたのですが、そん時は「なんでこんな慌ただしくこんな芝居をぶち込むんだろう」と感じてただけだったのですが。

 

雨に唄えば 製作60周年記念リマスター版 [Blu-ray]

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  夏休みの息子と一緒に新宿まで観に行ってきました。いつもは午前10時の映画祭って殆ど予告編を流さないイメージがあり、10時ぎりぎりに劇場に到着し息子を席にと先に着かせてポップコーンを買おうと思ったんですが、例のクレジットカードで素早くお買い物のレジが幅をきかせているシネコンなので現金レジのポップコーン売り場が激混み・・・遅れちゃうとそのまんま席に着くとこの時に限って予告編を延々10数分流すという具合だったのでぇ、ポップコーンが無いと落ち着かない息子はプンプン。映画本編が始まって15分ぐらいは「ポップコーンはっ?」と五月蠅かったのですが、その後は映画にのめり込んでおりました。ウチの息子はとにかくミュージカル&音楽映画なら激ハマりするタイプのようです。当初は古い映画なので行きたがらなかったんで母親としては驚異でした。ちなみに私はいつも終盤のジーン・ケリーシド・チャリシーのダンスシーンがいきなり投入されてる部分でついうっかり寝てしまいます、でもあれも有名なシーンなのよね。息子に「何故母ちゃんココで寝るんだよ」と無言で起こされました。彼にとってはすっごくドラマチックで良いとこ/シーンであったようです。でも女の私にはあのジーン・ケリーが夢想する男の自叙伝風ミュージカルの「しつこさ」は謎。(笑)

 

早春 デジタル・リマスター版 [Blu-ray]

早春 デジタル・リマスター版 [Blu-ray]

 

  映画観た後、同じく早稲田松竹のロードショーで観た若い女の子が「古い映画でオジサン達がゲラゲラ笑ってたけど、ラストのヒロインの長台詞では皆笑わないの。私はゲラゲラ笑った」という内容のツイートを目にしました。そう、もっと若い娘たちこそ笑わなきゃいけないですよっ。

 

んで、あと一個リバイバル映画で紹介するのが残っちまったんですが、しょうが無いので長めに書きましょうか。(続く)

 

2018年に劇場で見たアニメ映画だよ!!

 

  この映画もうっかりすると2018年の頭に観たのを忘れて2017年度のモアナと伝説の海 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]の時みたいにすっ飛ばす所だった。何だか「安定のクオリティ」がより感じられる方が何時観たっけ?って忘れてしまうので困る。それに2018年はやたらディズニー&ピクサーばっかり公開されていて、しかも息子を連れて行かねばならないケースも多々あってドンドン頭がごっちゃになっていく。一年に1,2本ぐらいの鑑賞で個人的には良いんだけど。

 

  怖い、ただひたすらに怖かった映画。映画が終って、見に来た若い女の子の中にはすすり泣いている娘の居たのを尻目に、私の前の席にいたオタクど真ん中の男子二人組の一人が「ああ~つまんなかった」と言いマジで感動した相方が「お前何言ってんの?」と多少諍いになったのに出くわした。ちなみに若い男だったら「つまんない」って言ってたヤツの方が私からすると多少見どころあるかも。ま、20代青年ならこの映画にビビったオッサン達よりはクリティカルな思考で観てくれよって事で。映画自体は中々のモノです・・・ただし作り手女性監督の感覚には、オバちゃんとして引いてしまう。

 

  私的にはおっこちゃんの映画と並んで2018年のアニメではベストです。実際にUSの玄人受けはバッチリで放送映画批評家とかなんとかいう賞とPGA賞のアニメ映画部門でノミネート。でも最近は「ディズニーアニメで映画だけじゃない事語りたい」系の人々にはエキサイティングな出来じゃなかったみたい。アタシとしてはPC方面からもスゴイぶっ飛んでいたと思うし、ピクサー映画としても洗練されすぎる故に過激なこの映画に対しての一部の観客様の反応には(`ヘ´) プンプンなんですのよっ。だから長めのヤツも書こうと思ってます!

 

  オバちゃんはね、もうおっこちゃん自身が辛すぎて大好きな両親が死んだ事を受け入れきれなくて涙も出ない様子を観て大泣きしてました。(自分の泣いたシーンを思い出す度に泣けてきます)初夏の頃から予告編を劇場でしょっちゅう観てまして何だか観たくなってきたんだけどハズレだったらどうしよう、てのが観る前から不安だったんですが「予告編が気に入った邦画はアタリ」という自分の勘の良さにますます自信を深めました♡。

 

  しまった!コレもうっかりして取り上げるのを忘れる所だった。息子がBSのニュース番組でやってる藤原センセーの何時よりやたらテンション高めの映画解説に影響されて「絶対観たいから連れて行け」で近所のシネコンでは朝一回だけの上映なのでチャリを30分以上こいで劇場にたどり着き、私「間に合わなかったら今日は観られないよ」息子「イヤです」私「間に合わなかったら帰ろうね」息子「間に合わなかったらピーターラビットにします」(俺にはもう子供っぽいからピーターラビットは遠慮すると当初は言ってた、観るのかよ)んで、私らの他は何故か爺さんと30代以上の男性客しかいなく映画終了したら座席をポップコーンだらけにするようなチャラい観客は私ら母子のみでした。映画の登場人物以上にストップモーションちっくにドタバタしていた私と息子の印象強すぎるぅ(;゚ロ゚)・・・でも映画の最後に出てきた俳句は日本語訳にせよかの夏木先生あたりにジャッジメント欲しい気もちょっとしましたw。

 

 この映画の前後ぐらいに観たと思うBLEACHもそうなんですが、日本製ファンタジーには「ユングの母殺し」のモチーフが非常に重要なんだなあ、って思います。ユングはまた男子における「母殺し」に対応する女子の母殺し象徴としてよくギリシア神話の「エレクトラ」の物語を引き合いに出していたんですが、私自身は男女とも「母殺し」のプロセスは一緒であるという考え方なんで、さよならの朝に約束の花をかざろう (特装限定版) [Blu-ray]のような映画はなお一層「怖いわ」って思うタイプです。ユングの母殺しってのは「自立してオトナになる」過程を物語で表現するって理屈の事なのよね。

 

 

 

 

2018年に劇場で観たドキュメンタリー映画


映画「縄文にハマる人々」予告篇

 予告編に期待しすぎちゃったきらいがあった映画。昔D・スペクター氏も言ってたのだけど日本語の長話って延々と聞かされるとひたすらに眠くなるんだよね~だから映画開始20分ほどで、もの凄く眠くなり気がついたら縄文の「土器」についてハマっている人々の映画になっていた(笑)。縄文時代っていったら他にも貝塚とか黒曜石とか縄文人も船を操って日本列島を廻ったとか・・・もう少しダイナミックに話題が広がりそうなもんだとも思ったが何故だか、縄文土器にドッキドキな人々の熱すぎる「語り」ばっかりになってんの。(でも居眠りしてたから前後のつながりとか撮った監督が何故縄文土器の話題に絞り込んだのかが不明、ごめんよw)で、でも土器の話も眠い・・・私自身は縄文土器に入れ込んだ人々が気にしてる弥生時代になって「土器」の性格が変わってしまった人々の価値観の大転換の「謎」の話題が退屈・・・だって縄文の火焰土器って皆同じように見えるしぃ。と正直困ってたら最後の最後にヘンテコな陶芸家のオジサンが登場して私自身の縄文土器の「謎」がすっかり解けてしまった!目も覚めた!・・でもそこからはあまり深く「突っ込まず」に展開して映画は終了します・・どうして?ひょっとしたらこの映画の監督、縄文土器にドッキドキな人々の気持ちが理解出来なかったのか?それとも縄文にハマっている人に対する違和感をドキュメンタリー対象として維持していく為に縄文土器の「罠」に自らも落ちたくはなかったのかな?

 

華氏119 [Blu-ray]

華氏119 [Blu-ray]

 

  この映画ではさすがに寝なかった。コレで寝るならよっぽど観に行かなきゃ良かっただろ、何のつもりだったんだって言われそうですが。でも私最近映画観ながらボーっと別の事考えている時もあり、それが「華氏119」ではとても多かったのも事実。構成がいつものムーア作品にも増してドラマチックではあるのですが、かなり複雑でもあるんですよ。あっちこっちに話題が跳ぶのに退屈はしなかったんですが、そういう自分自身がきちんと映画の伝えたいトピックについてどこまで理解出来ているかがちょっと不安にはなってくるの。トランプの友人である実業家のスナイダーて人物がミシガン州の知事になるや州の自治や役所の仕事の内容を全く別物に変えてしまい、水道を民営化したのは良いものの、そのツケを黒人の住民が多く住むフリントという街に押しつける。そこの水道水は浄化をキチンとやらない所為で多くの鉛成分が水道水に混入し、子供達が皆鉛中毒になってしまうというくだりはただただ恐怖しかありません。しかもフリントってマイケル・ムーアの故郷なんだってばさあ。もうミシガン州フリントを巡るエピソードは映画全篇にわたって少しずつ観客に知らされるのですが、もうどうしてここまでドツボにはまっちゃたの?ってくらいに顛末も悲惨。ホント色々あるけどこれほどのUSの悲劇があるかって感じです。一つの国に世界一の先進国と別世界の国が並んでいるみたい。それにけっして「建前と本音」などいうような国民の意識に内面化されたものじゃなく目に見えている現実/リアルですからね、USの場合は。ひょっとしたら今の日本の状況もそうなのかもしれないけれど。

 上映中、私の前に座ってた年配のご婦人がしょっちゅう席を立っちゃあ戻るの。風邪でも引いたのかお腹でもユルいのかと最初は思ったんだけど、おそらくその方映画の内容が辛くてそれでも気合い入れ直して頑張って最後まで鑑賞してたのかも。繊細な人の中には途中で見続けるのが困難な方も結構いらっしゃるかもしれませんって映画。

 


映画『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』予告編

 ジャクソンハイツってのはNYのクィーンズ区にあるエリア。オフィス街にも近くて金融機関に勤めるような富裕層が居住を狙っている・・・って背景も映画全篇を通して描かれてはいるけど、アジア、アフリカ、ヒスパニック系住民もいっぱい住んでいるまさにNYの下町。そんなジャクソンハイツの数日間の住民達をひたすらスケッチ風に紹介していく街ドキュメンタリー映画ホント何の説明もなく進んでいくのだけど観ていて全然飽きないの。映画で人々の生活をのぞき見するような感覚って(それがドキュメンタリーだろうがフィクションだろうが)私自身にとっちゃ映画を観る一番の楽しみのようなものかもしれない。でも普通はこの手のドキュメンタリーでも1時間ぐらいしか集中力が続かないんだけど、2016年にアカデミー賞の名誉賞を取った巨匠フレデリック・ワイズマンの手にかかると緩急をついたエピソードのつながりに感心します。重要な住民のストーリーの間にいつも「こんな事してくれる美容院有るよコーナー」があってそれが必見っw!楽しいのっ。南アジア諸国からの移民達が使う美容院、主なサービスは顔の脱毛サービスでそこの通う女性達は皆眉毛の手入れに余念がない。それにかかとの角質を取るとか足の指の爪を切るとか(他にも海外では足の爪切ってくれるサービスの店が多いですね)さ。素顔&素足が基本だからこそ手入れにもこだわる。最近はメークしたくない若い女の子も多いみたいだけど、素顔が基本の国の女性はメークする代わりに顔の産毛や眉毛の手入れはしっかりやるのが当たり前になってるみたいだから参考にしてみては。以前にも取り上げた追憶 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]に出てくるヒロイン(バーバラ・ストライサンド)は元の地毛がチリチリのクセ毛で、NYのハーレムに在る美容院を探して髪の毛をストレートにしてもらったって話すのだけどハーレムって黒人が沢山住んでいる場所だからわざわざ黒人が経営する美容院でやってもらったという事なのね。いろんな国の移民がやって来るのでソレによってもUSの美容や女性の美容の意識が変わってくるんだぁって感心したことを「ジャクソンハイツへようこそ」観ていて思い出しちゃった。

 それとやはりなんと言って良いのやらと思うのですがあまりに強烈なので印象に残るのは中米からの移民達の集会で一人のおばさんが自分の娘がいかにして国境を越えてテキサス州に入ったか、その時自分の娘は砂漠の中をさまよっていて携帯がなかなかつながらなくて母親の私に電話するのも大変だったとか・・・オバサン色々話すし、皆厳粛な表情で話を聞くんだけど、聴衆は彼女の娘の苦難に共感して険しい表情なのか、彼女の話があっちこっちに跳んで要領を得ないのに圧倒的にしゃべり倒すので突っ込み所がわからなくて困惑しているのか・・・とにかく住民の皆さんオバサンの話に相づち打つのにも大変そうw、だったシーンでした。ああぁ、庶民、いや市民が生活してるっていうダイナミズムを強く感じました。縄文土器の話と違って全然眠くないっ。