2023年劇場で観た映画 4

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多忙過ぎる日々に疲れていた時にJ・モモアに癒やされました・・・癒やされてちゃいけないんだけど。

 

それでも本当に自然なカレの悪党ぶりには癒やされました。光り輝く日光のもと虫の沸いている死体に話しかけているシーンとか。アクアマン(吹替版)でカレのファンになった方にはご不満かもしれませんが、悪人にはキャラクターとしてアップデートが必要になる時があり、ワイルドスピードシリーズもいよいよアクション映画の王道たるシリーズとして「007」や「MIP」と肩を並べるようになったと思えばよいでしょ。それにしても女性陣(ミシェル・ロドリゲスシャーリーズ・セロン)の格闘シーンは長過ぎてもはや日本の女子プロレスの全盛期のよう。日本の女子プロレスのファンは「こういう格闘は女子しかできない♡」といって本気で喜ぶ男性の格闘ファンがいるので注意してください。私は何にでも限度というものがあると思いました。

 

いつまでも変わらないジェシカ・ラングダイアン・クルーガーはステキだと思いましたが、私は最近事象の読解力とか推理・推察の仕方がよりひねくれてしまったせいか映画の中の犯罪の在り方やさすがに悪女像が古いな・・・と思うようになってしまいました。女性はやはり外見、そして綺麗な若い女性は完全主義で頑な女なのであって犯罪をするより、「呼ぶ」のですよ。最近ホントに痛感してます。

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ロードショーの終盤でレイトショーで観ました。なので劇場はシニア層のご夫婦や女性が中心。映画内容的には父親と小学生で楽しみたい、男らしさが静かにじわる児童文学のよう。そう「じわる」んですよ。特に最近の日本の児童文学だと成長には男も女もない調子か少女にとってひたすらに厳しい・・・みたいなのが多いですけど。この映画だと「女の子は花、将来の相手をどう探すかを思考する」のが女性の成長のカギである、と明確に表現しています。そういや自分の小学校時代に読書した日本の民話や海外の昔話はグリム童話を含めてそんな傾向が強かった気がして観ていて懐かしかったです。今でも地域で「こども映画鑑賞会」なんて催しも物があったら上映して欲しい。私の子供の頃もそんなのがあったのですが、実写の児童映画が中心でアニメは「樫の木モック」とかでした。私は(タツノコアニメのファンですら)モックより↑の映画やって欲しかったです。

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2023年劇場で観た映画 3

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私的2023年の目玉映画は6月まででした

 

何故かというと私個人の家庭内外でトラブル続出、映画鑑賞やブログ執筆どころじゃない、他人の書式ファイル勝手にのぞき見した挙げ句キーボード撃つの邪魔すんな馬鹿野郎・・・状態だったので皆さんには2023年の秋冬映画の方が印象に残っている人も多いでしょう。あと8月9月には躰の中に常に熱が溜まる、籠もる、恥ずかしくて遠出にも行けないという謎の体調の異常があり、その後は疲れちゃって『ゴジラ-1.0』 2枚組 [Blu-ray]まで秋口はしばらく劇場に足を向けられませんでした。↑は単独でブログにも上げましたがコロナ渦下のも負けずこのような作品を製作したスタッフには敬意と驚愕を覚えます。凄すぎて監督さまは少しお休みしてオリジナル脚本を練って欲しいです、ネタが哀しいくらにまで監督さまのプライベートまで押し寄せてきませんように。

 

最近はメジャーでありながら直球のフェミニズム映画が増えてきていますが、観客は年配の夫婦や男性も増えてきていて、若い女性ばかりではありません。言って良いか判りませんが主張がフェミニズム若い女性客の中には男性の怖さを描くのが巧みな作品はむしろ怖がる女も多いので、↑のような映画は硬派の男性雑誌などで紹介するのも今後考えたらどうでしょう。毅然とした女優陣の演技や男女の関わりも最近の日本映画より丁寧に描写されてたりしますよ。

 

ソフト/クワイエット [DVD]

監督さんがまだ20代前半の女性なので、ご本人の為には申し上げにくいのですが、2023年度に日本公開されたハリウッド映画のなかではベストワンです。あまりにも実際の事件の経緯が陳腐で残酷だったんでしょうが事件に関わる4人の女達の抱える背景の内容もエグいのが伝わってきます。単なる若い女の勘で描ききったのか、女性キャラクターの詳細な分析をして脚本を仕上げたのかは分かりませんが、かなりの才女(ほぼ若き天才)。どうか長く映画製作していってください。映画は所謂プログラムピクチャーとしてのサスペンスとして普通に男性が観られます。男性にもファンが多そうな映画。

 

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2023年劇場で観た映画 2

しずくのキャラが心に刺さって痛かったオバサン

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2023年度の中では最もかつての名作映画のエッセンスが詰まった作品でした。数年経っても家族や映画好き初心者に向けてお奨めしたい映画になりそう。私はいい歳した息子と共に家族3人で観ましたが、可愛い子供の声でネガティブかつ絶望的な生き方を提唱するしずくのキャラに恐怖を覚えました・・・子供の頃からあの手のキャラというかクリーチャーはファンタジーものでは定番なのですが、彼らは何処か愛嬌があったのに、あのしずくチャンには感じなかったので。私の最近の私生活が思った以上に荒れているのか歳食ったせいのなかしばし悩みました。「デビッド・ボウイ・ムーンエイジ・デイドリーム/YouTubeに予告篇アリ」はこれまでに無いデビット・ボウイの幼少期のエピソードや全盛期の映像が見られて楽しかったです。ただデビッド・ボウイの人生は彼自身冒険が大好きという以外は割りと平易で勤勉な仕事人といった印象。その分若い時分の結婚生活は気の毒だったんだなあという気がします。

 

コロナ渦下の中での映画撮影環境は人為的な要因での状況悪化が凄まじくNHK のカメラクルーがチェックに入ったのにもかかわらずアクションシーンに関しては賛否両論があったと思われますが、物語としては驚く程端正な構成になっており、昔の大映の時代劇みたいな映画が好きっ、みたいな特撮ファンではない内外の観客にもアピールするのではないかと思いました・・・ストやったハリウッドの意図がジワジワと理解デキるシン仮面ライダー現象でした。

 

↑の映画は情報が満載の所謂サクセスビジネスストーリーなんですが主役のマット・デイモンをはじめとする登場人物の背景に父親として家庭人としての事情がさりげなく描かれているのでお家で子育て中のお父さんお母さんが別個に観てお互い感想を話し合うのも良いと思います。このあと観たデスパレート・ラン [DVD]もそうでしたが「母親もの映画」としては出色。最近のハリウッド映画はわざわざ女性映画と銘打たなくでも女性の為の映画がありますからマメにあらすじチェックして観るのを決めるのがお奨めです。せかいのおきく Blu-ray [Blu-ray]は予告篇を観た際に、今どきこんなの製作して大丈夫なのかとかなり心配しましたがSDGSな小学生達に推薦・・・そしてすいせんされたお子さん達には水洗トイレのない江戸の世界に震える・・・という映画になりました。私自身はもう少し何とかならないのか、と思う部分もいくつかありましたが子供の頃TVで観てた日曜映画劇場に登場する(日テレでやってた日本映画中心のラインナップ)ような作品で懐かしかったです。

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2023年に劇場で観た映画 1

年度後半から映画館へ一人で行く事が辛くなった一年でした

その理由はいろいろあります。夏頃から脚本執筆を再開したこともあるのですが、それよりも謎めいた体調不良(現在も続いています)や夫婦間のいざこざが忙しすぎて映画館へ行ってストレス解消することもままならなくなりましたっ。まあハリウッドがストライキを行った影響で公開本数も減った時期と重なったから・・・まあいいか。

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一月から二月頃はまだマスク着用で映画館に行く時期でしたが↑の日本映画としては23年度一番お奨めプログラムピクチャーのなっちゃん、ハリウッド話題作のバビロン [Blu-ray]も観られて楽しい時でした。映画『THE FIRST SLAM DUNK』STANDARD EDITION ※早期予約特典無し[Blu-ray]は夫も息子も話題作なのに「一緒に観に行こう」の誘いがなく不思議でしたが、劇場に行ったらすぐに分かりました。父親と兄を1度に失う主人公がバスケに情熱をかける物語です。

 

別れる決心

別れる決心

  • パク・ヘイル
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「別れる決心」は東アジア圏におけるファムファタールとはコレだねっていう今後も決定版として紹介される筈の映画です。中国の女優さんであるヒロインのタン・ウェイさんが北原佐和子さん似の美人で、北原さんが女優業に飽き足らず介護ヘルパーとして活躍中だというエピソードを思い出し、一層「なんかコワい・・」となりながら観ていました。1970年代米国のボーイミーツガール物であるリコリス・ピザ [Blu-ray]もそうですが、日本の若い男性はもっと日本映画以外の恋愛映画を積極的に鑑賞しないといけないと思ってます。(ホントはシニア男性も)エンパイアオブライト ブルーレイ+DVDセット('22英米)〈2枚組〉は最初TV番組で映画紹介された時、DVDリリースのみで試写会までやったのか?と思ったのですが映画を劇場で鑑賞して驚愕、中瀬ゆかりさんにこの映画紹介させるなんて、非情ともとれる賭に出た配給会社の豪腕に恐怖しました。ちなみにその配給会社の超有名キャラクターは24年に100歳を迎えました。

 

フェイブルマンズ [Blu-ray]

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  • ガブリエル・ラベル
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2023年度公開の映画ではおそらく多くの人がベスト3以上に上げて劇場で鑑賞した多くの人がストーリーテーリングの巧みさに引き込まれて、何についての映画かはよく分からないけど自分には面白いから別にいいだろな状態になる映画です。ラストにはジョン・フォードデビット・リンチ)が登場し、コンピュータ業界の革命児だった父(ポール・ダノ)と若くして認められた映画監督の息子(ガブリエル・ラベル)の話なので一応天才についてのお話の映画だとはいえそう。しかし私自身は家族皆が成功したご家庭なのに「ご両親の寿命が短い」とかの話を最近よく聞くので映画観てて少し哀しかったです。だから同じ家族物でもアカデミー作品賞は明るいエブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 4K ULTRA HD+Blu-ray(2枚組)【初回生産限定】スチールブック仕様 [Blu-ray]が取ったかな。多少ともやけっぱちの明るさを感じますし、アジア系の女性の完全主義の厳しさが娘の代になると若干困ったことになるのかよな感じもいたしますが。アカデミー助演賞取ったヒロインの夫(キー・ホイ・クァン)は控えめでも相当デキるし優しそうなのにね。8月にはクァン氏が来日して歌舞伎座を鑑賞しに来ていたのを目撃しました。西遊記水滸伝を観に来たのかな。

 

何気なく観に行ったのですが、もの凄い映画でした、大学に女性学だとかフェミニズムについての社会学の授業があったら授業で上映して欲しい。舞台化されたりファッションアイコンとして取り上げられることが多いですが、主人公の母娘の娘の方は末期ガンで最早髪が無いので常時スカーフを巻いているのです。あと同様にドキュメンタリー映画の名作セールスマンも鑑賞しましたが、グレイ・ガーデンズの方が衝撃的だったな。

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トンデモ悪女伝説11 「TAR」のケイト・ブランシェット

 

芸術の為なら何でもやっちゃう女に明日はあるのか

まず映画冒頭の主人公リディア・ター(ケイト・ブランシェット)に観客が感じる第一印象の中にはいくら何でもやり過ぎでしょ50超えたぐらいの人で自己研鑽の為にここまでヤル人いるの?てのがあると考えます。映画全体がまるっきりヨーロッパの映画のようですがところどころでハリウッド映画特有の無茶とご都合主義一歩手前の楽観主義に溢れているのが痛快っちゃ痛快な気がしましたが、それにしても、ね。ついでに云うと私は映画冒頭のターに傲慢さは感じませんでした。真摯で芸術大好き熱心なあまりお節介なくらい親切な女じゃん。(私の感覚がおかしいのでしょうか、でも学生時代の同級生でもコレくらいの娘いましたけど)私自身が彼女に対してちょっとアレだな感じたのを敢えてあげると、同業の指揮者であるカプラン(マーク・エストロン)に対してあっさりと自分のアイディアを打ち明けてマウントを取る行為かな。男女限らずかなりいけ好かない優等生のやり方ですが、女性だから本当に男に媚びているようにも喧嘩を売っているようにも見えて不安になります。音楽大学の授業のシーンや彼女の講演の長いシーンを尊大な女と感じる人達は「芸術、創造に於ける正義とは」な問題をずっと真面目に考えている人間をよく知らないのではないでしょうか。ちょっと前の映画のセッション [Blu-ray]に登場する鬼教授は芸術における正義が暴走しているキャラクターですが、彼と比べてもリディア・ターは人格者と言って良い。

 

リディア・ターに罠を仕掛けるのは陳腐な奴ら・・・だからこそ恐ろしい

映画冒頭のシーンからターにストーキングをする若い女性のグループのメール描写がありそれで一見彼女がモラハラ常習の権力者だという印象が観客に強烈に焼き付けられるのですが、じゃあそんなターに執着する若い女性グループは何者?若手のクラシック奏者達か?いいえ彼女らはそんな人達ではありませんあくまでも「謎めいた烏合の衆」です。ターの自宅があるベルリンに戻ると、家内でターのスコアが盗まれたり自宅のメトロロームがイタズラされたり謎の騒音が仕掛けられたりしてターの精神状態が徐々に追い込まれていきます。この辺の描写は私自身が2022年までに結婚指輪を含めて宝飾品が盗まれたり戻ってきたり私や息子の郵便物と銀行通帳と洋服の数々が盗まれたりしたのを思い出して身につまされましたから自然に理解できました。最近では経済目的で空き巣に入るのではなくヘイト行為に近いという傾向が世界的に広がっているのでしょうか。「ター」で登場する若い女性達は指揮者志望でアシスタントのフランチェスカやロシア出身の新鋭チェロ奏者のオルガなどいますが、彼女らはどちらとも素直に音楽のキャリアを追求したい人間でターの事も出来れば尊敬したいと思っていた。それでも彼女らはストーカー集団が仕掛けるスキャンダル工作に巻き込まれるのを恐れてターからは結局離れていくのでした。いくらターがカミングアウトしたレズビアンでも若い女性達のロールモデルにはなれるとターも女弟子達の双方も信じていたのに・・・この辺は働いて社会的地位を向上させたい女性達にはホラーめいて映るかもしれません。

 

それでもターは負けない、より芸術の高みを目指すだけ

演奏家や指揮者によっての音楽の違いや個性を見いだすマニアックなクラシック音楽ファンは「次に登場する天才はどんな人物でどんな人生を歩むことだろう」という想像にふけるのが楽しみなのでしょうか。監督トッド・フィールドが考え抜いたが考える最強の指揮者みたいなのが映画のヒロインのリディア・ター。おかげで気弱な日本の青年が「ター」を鑑賞してもターが美男子なのか美女なのか区別が付かず、映画のラストのターの姿にショックを受けやしないかと心配になるくらい。ターがベルリンの交響楽団の常任指揮者から外されて、抗議の殴り込みに行くシーンは騎士の決闘のようでカッコいい。そこに転落する驕慢な女性の姿を私は感じませんでした。

 

それよりも私が行く末を心配になってしまった登場人物はターのパートナー関係をスキャンダルによって終にしたベルリン楽団員のヴァイオリニスト、シャロン(ニーナ・ボス)の方です。シャロンもまた超絶技巧の脚本の中で綿密に設定された女のなのですが最初の登場段階から酷い更年期状態で娘の世話もあまりきちんと出来ていない様子なのに娘のことは放任主義。ターの方が娘と一緒に居る時間があまり無くとも娘の学校生活の様子を気にしていじめっ子の同級生をやっつけようとする。ターは家族の中で父親と母親の両方の役割を担おうとしています・・・何故そんなことが可能なのか?それは言い換えるとシャロンがより完全な意味で母性を獲得する機会をターが横取りした結果なのですが、シャロンは自分の安定したヴァイオリニスト奏者のキャリアと音楽性を手に入れる為にあっさりとターに譲ってしまい、気にもしていないのです。またトッド・フィールドはシャロンがターと別れても「きっと巧くいくだろ彼女は〇〇だけじゃないもんね」と軽くシーンで表現してしまうので、私はちょっとその点には頭を抱えてしまいました。ターは最終的により音楽家として深化していく為にもうレズビアンに戻ることはないだろうし高齢初産のリスクもないので家庭婦人としての顔を持ってもさほど苦労はしなそうです。対してシャロンは今後男性との結婚を了承しないと駄目で次の女性パートナーも許されず、キャリアの上昇や安定も下手すると娘の養育権も取られてしまう可能性がありそうです。やっぱり男性の映画監督なので「俺の正義の中では駄目な女」にはかなり厳しいみたい。特に米国の映画監督は厳しいかな。今回ブログ内容を考えているウチについサスペリア [Blu-ray]と比べてしまいましたが、男性のヒーロー願望の限界と悲しみを描いた「サスペリア」と違って「ター」はあくまでもヒーロー道一直線です。ケイト・ブランシェット様とティルダ・スウィントン様がよく似ているから偶々思い出した・・・だけではないと思ってます(笑)。

 

 

2022年に観た新作映画 5

 

最後に面白かった日本映画を語るよ

日本映画の表現の幅を広げる為に奮闘している映画です、そこが2022年公開の他の日本映画と比べても突出していました。だから観客受けも良くヒットして「何だか解らないけど面白い」という映画評を集めた作品。主人公のライター(稲垣吾郎)が冒頭から喫茶店で時折水の入ったガラスのコップを日の光ですかして眺める・・・といういかにも文学青年ぽさが抜けきれない行動を繰り返すシーンが登場しますが、お洒落表現としてやっているわけではありません、むしろ主人公のそして映画製作者の苦闘に表現だったりします。ストーリーとしてはウンザリするところが多々アリ、特に不倫をする主人公の親友が全く現役アスリートに見えないなどの不満もありなのですが、最後に登場人物の一人が「不倫なんてクソだな」と発言するのでスッキリしました。主人公は1度だけ短編集の小説を出版したきり小説家としての筆は折ってしまい、そこが編集者の妻(中村ゆり)との確執や男女のすれ違いを生んでいるというのが映画のキモです。妻に愛人がいても怒らない夫・・・というのも夫自身の思い込みに過ぎないというのも表現されてますので安心してください。しかしながら日本映画で都市生活者の生活を軽妙に描くのがかくもこんなに難しいのかという事に思いをはせるとため息しかでないです。

 

宮沢りえさんの代表作になることは必至で、窪田正孝さんにとっても映画賞取ったのはこの映画の演技も対象になったかも。政策秘書窪田正孝)の役割とか彼自身の矜持とかを理解できると映画の中の代議士事務所の在り方や秘書達(小市漫太郎、内田滋、草川直弥ら)の行動パターンも解ってきます。惜しむらくは唯一の女性秘書(内田滋)が世襲の候補者川島有美(宮沢りえ)に対して同性なのに同情がやや足りない様子な事、内田さんの演技も良かったので惜しい。その方がリアリティがより増したかもしれません。

 

気の毒なことに観客の手応えを感じた一般試写会のせいで都心部の映画館では興行時間がレイトショー中心にされちゃいました。かなり構成もまとまっており野球を知っている人も知らない人も楽しめる作品、野球をやっている米国の人でも充分鑑賞に耐えられると思います。部活動ゆえに丸刈りされてしまう若者たちの姿は理不尽でexoticなのかもしれませんが、同年代の学生の中でも最も運動能力の高い連中が野球部のみに集い野球というゲームの枠内でのみシノギを削る姿はGlobalに狂気を感じるからです・・・そして全力で青春をかけてしまう高校生が大好きな日本人の感性(元ロッテの里崎さんみたいな人、映画に特別出演しています)も感じられる映画でした。

 

「甲子園に花束を」と同様に本屋大賞を取った原作小説がかなり優れており、想像した以上に映画向きのストーリーだったんだなと感心しました。水墨画というかなり地味で観念的な映像表現になりそうな素材だと観る前に想ってたんですが、横浜流星三浦友和江口洋介、清原伽耶、といった面々がそれぞれ水墨画にのめり込んでいる姿は全く浮き上がらず、芸術をモチーフにした映画として成功してました。むしろ家族をいっぺんに無くしてしまった主人公の悲しみの方向性がリアル過ぎるが故に皆の想像の先を行っている為なのか映画スタッフが飲み込み咀嚼していくのにとても苦労した脚色の感じがしました、それが惜しいです。主人公の青年が家族の死に向かい合う中で年少の妹の死に一層のショックを受ける姿やまるで我が身に起こった出来事ごとくパニクりトンチンカンな支援をし続ける親友(細田佳央太)も自然な感情の発露だと先ず踏まえてストレートに芝居を作っていけばさらに爽やかな映画になったと想いました。

 

2022年に劇場で観た映画 4

 

ドリームプラン [Blu-ray]

2022年に観た映画だってのが忘れてしまうぐらいに

劇場で鑑賞する際にも鑑賞直後にアカデミー賞発表がありウィル・スミスは見事アカデミー賞主演男優賞取ったのに一悶着でなんか外野の映画ファンの私らまで疲れてしまいました。映画企画製作段階からそんなに色々あってウィル・スミスはイライラしていたのでしょうかって勘ぐってしまったぐらいです。日本では公開スクリーン数が少なくて探すのに苦労しました。どうもウィリアム姉妹の父親である主人公(ウィル・スミス)の鬼コーチぶりが一般試写会で不評だったのでは。でも劇場には多くの女性、それも既婚女性が沢山観に来ていました。2022年の初夏から夏にかけて日本の映画ファンに人気だった英国映画のボイリング・ポイント/沸騰 [Blu-Ray]で、単館ロングランで沢山の人が口コミで観に来ていました。日本人の大好きなレストランが舞台のグルメものでビジネスもの。映画序盤に意地悪な公務員のレストラン衛生チェック(コロナ渦まっただ中だからさ)の描写や猛烈型の主任シェフ(スティーヴン・グレアム)の休憩中の行動が奇っ怪でした、おそらくウィスキーのビンに薄いミルクティーを入れてがぶ飲みしていると思われるのですが・・・何だか終盤にはほ乳瓶のように見えてきました。

パリ13区 R-18版(字幕版)

パリ13区 R-18版(字幕版)

  • ルーシー・チャン
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カンヌパルムドールかグランプリが悩んだけど

DVDを挙げるのはコッチ↑にしました。グランプリのTITANE/チタン [Blu-ray]は鳴り物いりで始まったロードショーが2週間で全国的に打ち切りに。驚きましたが、数ヶ月後で早稲田松竹名画座で観られただけでも東京の人々にはラッキーだった。ヒロイン役の(アガト・ルセル)は熱演でしたが、ホントに痛々しくも愚かすぎる人物像なんで観ていて頭が痛くなりそう。彼女と激突する消防署長のヴィンセント(ヴァンサン・ランドン)の行動も頑固といおうか男としての心身のプライドを賭けた狂気がすさまじく女性は体力的には男性に叶わない分、聞き入れてもらえない我が儘があるんだと理解できない今どき若い女の馬鹿さ加減に震撼した映画でした、ほぼ内容はそれだけの映画なんですが、懇切丁寧にその旨説明するだけで強烈かつ難解になるんですよ、やんなっちゃうくらい。対する「パリ13区」は何だか暢気で楽天的な映画かも。パリへやってきたボルドー出身のノラ(ノエミ・メルラン)とボルドーに残った彼氏よりも台湾移民のエミリー(ルーシー・チャン)やアフリカ系のカミラ(マキタ・サンバ)たちの方が自分達の出身コミュニティのアイデンティティより新しいフランスの融合に苦労しないで適応しているということ、それがノラの身に起きた悲劇の大元であり彼女は周囲のパリの人々の力を借りて何とか心の傷を治していく過程を映画は描いています。でもさすがに心の傷だけじゃ済まなくて彼ら彼女は最後ひっくり返っちゃうんですが。ボイリング・ポイント/沸騰(字幕版)と「TITANE」と「パリ13区」はコロナ渦以降の映画として医学的に啓蒙したいような共通点がありましたので続けて3作の映画観られてのはラッキーでした。

 

マイク・ミルズ監督では以前に20 センチュリー・ウーマン(字幕版)を観た事があるのですが、今回はA24スタジオが製作だったからなのかいわゆる「繊細な人々が集うホームドラマ」には全く思えず、主人公(ホアキン・フェニックス)の妹で甥ジェシー(ウディ・ノーマン)の母がカリフォル二アの年代ものの住宅が気に入ってしまった挙げ句何故だか家族中がポルターガイストの被害に遭ってしまっているのに気がつかない様子なのが私自身にはコワかったです。そんな母親の状態を「急に精神的に極度の不安定要素を抱えた夫と夫婦の問題に敏感に反応して苦悩している息子を支えて理性的に耐えている賢明な女性」とゆう感想を持つ人を不思議に思います・・・(そんなような映画評のコメントをどっかで聞いたもので)でも、そんな呪いに立ち向かう為に全米を縦断してガッツで乗り越えようとする伯父と甥のコンビの姿を描いた映画のラストは爽やかで二人とも頑張ってって思いました。

↑は今年(2023年の夏)に来日コンサートがあるのですが、チケット取って観に行きたいんですけど、案の定ネットの先行予約は全く機能しません。もしも行けたら後日は発表します。(2023年7月14日現在チケット予約には成功しましたがチケット発券に失敗しました。PCで発券事項を確認後にハッカーが侵入したようでiPhone画面からのバーゴード決済以外は無理になってしまい事実上受け取りが困難になってしまい、チケット受け取りの権利を消失したようです。)思いの外スパークスブラザースは日本通で日本のサブカルファン、カリフォルニアの竜の落とし子と同じくらい池上遼一画伯のファンだということが映画でも伝わってきました。

 

 


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↑の映画は性的マイノリティにかこつけた10代カップルのデート映画だろ💢と憤慨する方、特に男性が多いかもしれませんがその手のノン気男性こそほっとする部分が終盤在りますので映画のストーリーやラストに拘らず観て欲しい青春映画でした。