2018年に劇場で観たドキュメンタリー映画


映画「縄文にハマる人々」予告篇

 予告編に期待しすぎちゃったきらいがあった映画。昔D・スペクター氏も言ってたのだけど日本語の長話って延々と聞かされるとひたすらに眠くなるんだよね~だから映画開始20分ほどで、もの凄く眠くなり気がついたら縄文の「土器」についてハマっている人々の映画になっていた(笑)。縄文時代っていったら他にも貝塚とか黒曜石とか縄文人も船を操って日本列島を廻ったとか・・・もう少しダイナミックに話題が広がりそうなもんだとも思ったが何故だか、縄文土器にドッキドキな人々の熱すぎる「語り」ばっかりになってんの。(でも居眠りしてたから前後のつながりとか撮った監督が何故縄文土器の話題に絞り込んだのかが不明、ごめんよw)で、でも土器の話も眠い・・・私自身は縄文土器に入れ込んだ人々が気にしてる弥生時代になって「土器」の性格が変わってしまった人々の価値観の大転換の「謎」の話題が退屈・・・だって縄文の火焰土器って皆同じように見えるしぃ。と正直困ってたら最後の最後にヘンテコな陶芸家のオジサンが登場して私自身の縄文土器の「謎」がすっかり解けてしまった!目も覚めた!・・でもそこからはあまり深く「突っ込まず」に展開して映画は終了します・・どうして?ひょっとしたらこの映画の監督、縄文土器にドッキドキな人々の気持ちが理解出来なかったのか?それとも縄文にハマっている人に対する違和感をドキュメンタリー対象として維持していく為に縄文土器の「罠」に自らも落ちたくはなかったのかな?

 

華氏119 [Blu-ray]

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  この映画ではさすがに寝なかった。コレで寝るならよっぽど観に行かなきゃ良かっただろ、何のつもりだったんだって言われそうですが。でも私最近映画観ながらボーっと別の事考えている時もあり、それが「華氏119」ではとても多かったのも事実。構成がいつものムーア作品にも増してドラマチックではあるのですが、かなり複雑でもあるんですよ。あっちこっちに話題が跳ぶのに退屈はしなかったんですが、そういう自分自身がきちんと映画の伝えたいトピックについてどこまで理解出来ているかがちょっと不安にはなってくるの。トランプの友人である実業家のスナイダーて人物がミシガン州の知事になるや州の自治や役所の仕事の内容を全く別物に変えてしまい、水道を民営化したのは良いものの、そのツケを黒人の住民が多く住むフリントという街に押しつける。そこの水道水は浄化をキチンとやらない所為で多くの鉛成分が水道水に混入し、子供達が皆鉛中毒になってしまうというくだりはただただ恐怖しかありません。しかもフリントってマイケル・ムーアの故郷なんだってばさあ。もうミシガン州フリントを巡るエピソードは映画全篇にわたって少しずつ観客に知らされるのですが、もうどうしてここまでドツボにはまっちゃたの?ってくらいに顛末も悲惨。ホント色々あるけどこれほどのUSの悲劇があるかって感じです。一つの国に世界一の先進国と別世界の国が並んでいるみたい。それにけっして「建前と本音」などいうような国民の意識に内面化されたものじゃなく目に見えている現実/リアルですからね、USの場合は。ひょっとしたら今の日本の状況もそうなのかもしれないけれど。

 上映中、私の前に座ってた年配のご婦人がしょっちゅう席を立っちゃあ戻るの。風邪でも引いたのかお腹でもユルいのかと最初は思ったんだけど、おそらくその方映画の内容が辛くてそれでも気合い入れ直して頑張って最後まで鑑賞してたのかも。繊細な人の中には途中で見続けるのが困難な方も結構いらっしゃるかもしれませんって映画。

 


映画『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』予告編

 ジャクソンハイツってのはNYのクィーンズ区にあるエリア。オフィス街にも近くて金融機関に勤めるような富裕層が居住を狙っている・・・って背景も映画全篇を通して描かれてはいるけど、アジア、アフリカ、ヒスパニック系住民もいっぱい住んでいるまさにNYの下町。そんなジャクソンハイツの数日間の住民達をひたすらスケッチ風に紹介していく街ドキュメンタリー映画ホント何の説明もなく進んでいくのだけど観ていて全然飽きないの。映画で人々の生活をのぞき見するような感覚って(それがドキュメンタリーだろうがフィクションだろうが)私自身にとっちゃ映画を観る一番の楽しみのようなものかもしれない。でも普通はこの手のドキュメンタリーでも1時間ぐらいしか集中力が続かないんだけど、2016年にアカデミー賞の名誉賞を取った巨匠フレデリック・ワイズマンの手にかかると緩急をついたエピソードのつながりに感心します。重要な住民のストーリーの間にいつも「こんな事してくれる美容院有るよコーナー」があってそれが必見っw!楽しいのっ。南アジア諸国からの移民達が使う美容院、主なサービスは顔の脱毛サービスでそこの通う女性達は皆眉毛の手入れに余念がない。それにかかとの角質を取るとか足の指の爪を切るとか(他にも海外では足の爪切ってくれるサービスの店が多いですね)さ。素顔&素足が基本だからこそ手入れにもこだわる。最近はメークしたくない若い女の子も多いみたいだけど、素顔が基本の国の女性はメークする代わりに顔の産毛や眉毛の手入れはしっかりやるのが当たり前になってるみたいだから参考にしてみては。以前にも取り上げた追憶 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]に出てくるヒロイン(バーバラ・ストライサンド)は元の地毛がチリチリのクセ毛で、NYのハーレムに在る美容院を探して髪の毛をストレートにしてもらったって話すのだけどハーレムって黒人が沢山住んでいる場所だからわざわざ黒人が経営する美容院でやってもらったという事なのね。いろんな国の移民がやって来るのでソレによってもUSの美容や女性の美容の意識が変わってくるんだぁって感心したことを「ジャクソンハイツへようこそ」観ていて思い出しちゃった。

 それとやはりなんと言って良いのやらと思うのですがあまりに強烈なので印象に残るのは中米からの移民達の集会で一人のおばさんが自分の娘がいかにして国境を越えてテキサス州に入ったか、その時自分の娘は砂漠の中をさまよっていて携帯がなかなかつながらなくて母親の私に電話するのも大変だったとか・・・オバサン色々話すし、皆厳粛な表情で話を聞くんだけど、聴衆は彼女の娘の苦難に共感して険しい表情なのか、彼女の話があっちこっちに跳んで要領を得ないのに圧倒的にしゃべり倒すので突っ込み所がわからなくて困惑しているのか・・・とにかく住民の皆さんオバサンの話に相づち打つのにも大変そうw、だったシーンでした。ああぁ、庶民、いや市民が生活してるっていうダイナミズムを強く感じました。縄文土器の話と違って全然眠くないっ。