- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2012/09/05
- メディア: Blu-ray
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
日本の洋画ファンにすげー人気の高い映画
それも男女問わずだからね。劇場公開された時だけでなくTV放映される度に「そういえばあのフォロー ミーって映画良かったよね」という声がじわじわと広がって世界でもDVD化されたのは日本が初めてなんだってさ!女性の場合「ミア・ファローが着こなすファッションが好き」という意見もあるようですが、この映画に関してはかなり地味ですけどねぇ、この程度なら今どき40代以上の「なんかマニアックな趣味を極めているらしい」奥様達がフォローミーな装いをしているのをデパートやらユザワヤあたりで見かけるような気もしますが。ただそういった奥様達が二十代の新妻ミアのように瑞々しく着こなしているかどうかは、また別。(笑)
戯曲が元になっている映画
米国公開のタイトルは「パブリック・アイ(探偵)」といったのですが、米国以外では「フォロー・ミー」と変更されて公開。作者のピーター・シェーファーというヒトは双子のお兄さんも劇作家&推理小説家のアンソニー・シェーファーだそうだ! 兄アンソニーの代表作も「探偵(スルース)」っていって二度映画化され、二作ともマイケル・ケインが出演している・・・何かといろいろメンド臭そうですよね。しかもお互いの「探偵」における主なシチュエーションはかなりの部分共通していて「結婚生活に煮詰まっている男」VS「妻の秘密を握っているらしい男」から話がスタートするんだもん。兄貴のシェーファー作のスルースでは間男らしい色男が限りなく黒いヤツだとすると弟シェーファー作で「フォロー・ミー」に登場するパブリック・アイ(トポル)は僕はぁ身も心も真っ白だよ―んを強調しています。白ずくめのトポルがお腹が空くと白いヨーグルトやバナナとかを白いバックから取り出して食べてみせたりして割とギャグもしつこいのさ。・・・で兄弟対決というか、黒と白の探偵対決においてどっちを軍配に挙げるかというのも(私見だとしても)野暮なのかもしれませんが、どうやら弟シェーファー作をより好むのは主に日本人と英国人(トポル=パブリック・アイのヒトって認識らしいから)みたいで兄貴シェーファー作をより評価するのは米国人のようですね。(マイケル・ケインが二回も出演しているというのもここに理由があるのか?)弟シェーファーは後に「エクウス」というお芝居やかのアマデウス ディレクターズカット [Blu-ray]の脚色もやってるので米国じゃそっちの方で通じるのかもしんないし、て決めつけても良さそう。
婚前デートの時のミア・ファローは「あんまり楽しそうじゃない」
公認会計士のチャールズ(マイケル・ジェイストン)はアメリカから来たヒッピーの女の子べリンダ(ミア・ファロー)に一目ぼれして結婚してのですが、新婚生活に入るとどうもお互いギクシャクして上手くいかない。そのうち家で一人ポツネンと過ごすことが耐えられなくなったべリンダはロンドンの街を一日中ほっつき歩くようになり、体裁的にもチャールズにとってはちょっと困るようになってきてしまいました。そこで探偵事務所に妻の素行調査を頼んでやってきたのが探偵(トポル)というわけ、映画冒頭しばらくはこのチャ―ルズと探偵の殆どコントだろっみたいなやり取りが続きます。探偵はチャールズに「奥さんとのなれ初めは?」と尋ねてそこから回想シーンが本格的に始まるのですが、そこでの二人の出会いから結婚に至るまで観ているとなんかミア・ファローの顔が楽しそうにも嬉しそうにも見えないの、明らかに若い女の子相手に30男が夢中になって一人張り切って(お前ホントはつまんない奴なのにヘンに学とか引けらかして気取ってんっじゃねぇよってのがよく判るわ)いるように思えるのよねー、「妻には他に男がいるのでは?」と疑うのも無理ないってカンジ。ただべリンダの初登場シーンでは家に居て、チャールズがかけてくる電話を受け取るのですが、そこでのやりとりはいかにも夫といちゃいちゃしたい新妻だったりするので、あれれ? て思う。ここらへんが絶妙なので、ノーカットで観た方がよりスリリングかもね。実は私自身もTVの短縮版で最初に観たクチなのでこんなに結婚前のべリンダがつまんなさそうにしていたとは思わなかった。それこそ美保純さんが「あの女優さん共演男優のことホントは嫌いなんだと思う」っておっしゃるケースに該当しそう・・・でも監督のキャロル・リードはあの第三の男 [Blu-ray]でおなじみのサスペンスフルな演出はおまかせな巨匠だからね、「第三の男といえばアリダ・ヴァリ」とオッサン達を魅了させたキャロル・リードの演出術による綿密な計算によるなのかもしれないよ。そんでもって結婚前はあんなに消極的だったべリンダが夫との夫婦生活について「もの凄い自己主張」して夫婦喧嘩になったり、つまんなさそうにロンドンをぶらぶらして時間をつぶす姿に探偵も振り回されていくんだから。そして次第にべリンダは探偵が自分をフォロー(尾行)してくれるくれることになんか凄く嬉しくなっちゃってはしゃいじゃう。最初はホラー映画ばっか観ていた彼女(この詳細に登場するB級ホラー映画はハマー・プロという英国発のホラー専門製作会社のモノらしく、マニアックな映画ファンには有名なブランドみたいだ)が、探偵の勧めでロミオとジュリエット [DVD]なんかを観るようになり、しまいにはヤングなダンスホールでノリノリに踊っちゃうのさ。べリンダってヒッピーたちと一緒に世界中を周ってたと言う割には、かなり内気な性格だし、ホントは運動神経も良くないかもしれないんだけど子供の頃から両親が離婚したこともあったせいか、チャールズに出会うまでそれなりに一人で人生を模索していたのかもしれない、年若い彼女自身にも人生のストックというものは存在するという感情が爆発した瞬間ですね。1970年代という時代は男性が己の足りない部分を女性に教えてもらう(補ってもらうんじゃなくて)為に結婚するんだっていう常識がギリギリ存在していたってことが、映画のラストになって解かると思うよ。
「Fllow me」⇒「Public eye」にタイトル変更・・・ややっこしいんだよっ!!
どっちのタイトルも簡潔な英語なんで日本人にもよく理解できる「フォロー・ミー」というタイトルが米国では「パブリック・アイ(探偵)」に変更されたというコトなんですが、当初ウィキペディアではそれが「英国公開時の原題」という間違った表記にされていました。(現在は修正されています、ついでに劇中に登場するホラー映画はキャロル・リード監督作品というデマもくっついていたがそれも削除)・・・ああ良かったわ、恥かかなくて。でも何故ハリウッドは「フォロー・ミー」というタイトルが気に入らなかったんでしょう? リード監督としては「恋愛映画というのも一種のサスペンスやミステリーと共通するものがあっていいじゃないかぁ」と主張したかったのかもしれませんが、ヒロインが(精神的とはいえ)一種の不貞を働いているのかどうか最後まで微妙かつ曖昧に終わるのが、どーしても許せないので恋愛映画として大々的に広告するの嫌なんだぁ!だったりして。かのShall We Dance ?(初回限定版) [DVD]がこの「フォロー・ミー」に触発されて構想されたという話は有名ですが、米国でリメイクされる際になんかゴタゴタしたようだったのも、「フォロー・ミー」から続く因縁があるっつーことかも。