- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2008/11/19
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アタシにとっちゃ「プリティ・ウーマン」よりこっちの
・・・ジュリア・ロバーツの方が新鮮だったね。この映画主役の3人娘はそれぞれほぼ無名からの抜擢で監督にとってもデビュー作、その中でもジュリア・ロバーツはどっかの映画祭の女優賞も取ってのちの「プリティ・ウーマン」出演への足掛かりになりました。舞台となったミスティックという町は東部コネチカット州にある歴史の古いミスティックポートという所で実際に存在するピザハウスで撮影されたそうです。ピザ屋のおばちゃんは「よくある大手チェーン店にあるような偽物とウチのを一緒にされちゃ困るっ」と怒るのですが主人公のアル―ジョ3姉妹はポルトガル系の移民だそうで(て確か映画の説明レビューにあったんですが)まあ何かの間違いか映画に混乱するところがあるのでしょう、たぶん。ニューヨーカーにとっちゃお手軽な観光地かつ通勤圏にもなるオシャレな郊外の町だけど、本当に昔から住んでいてこじんまりした漁業関係者たちはそんなブルジョア階層とは縁が無くて質素な生活・・・という背景を背負った姉妹たちの恋愛模様が繰り広げられるのさ。
まだ結婚はしたくないだけなのっ、
アル―ジョ家の次女で適齢期のジョジョ(リリー・テイラー)にはきちんと恋人(ヴィンセント・ドノフリオ)もいて結婚しようというのに、式の当日になって「結婚止めまーす」と宣言して誓いの教会から飛び出しちゃう。末っ子のキャット(アナベル・ギッシュ)は東部の名門大学の入学が決まって学費を稼ぐためにアルバイトの掛け持ちで忙しい、そんな中妻と別居中の30代男からベビー・シッターを頼まれる二枚目のインテリでキャットの町の歴史にも興味があって移ってきたようなタイプだから、なんだかちょっと気になっちゃうのだ、もう自分だって勉強ばっかの子供じゃないし恋愛に奔放な姉たちにも多少は影響されているしね。で、肝心の三女デイジー(ジュリア・ロバーツ)ときたら、アタシ女としてはかなりイケてるのよ、これでもっという自負心だけはあるようなんですが一番将来に対して焦っているというという役どころ。こういう案外ぐちゃぐちゃした女を演るのがジュリア・ロバーツの十八番になっていったんだなあと「ミスティック・ピザ」を改めて観ると分かります。1988年公開当時、日本で公開される洋画は特にハリウッドだと「ブラッド・バッグ」と呼ばれる若手俳優がいきなり主演でデビューするようなアイドル的青春映画の全盛期でアメリカ女優だとモリ―・リングウォルド等が輩出し、対するおフランスものでもシャルロット・ゲーンズブールが人気。彼女達はよく「ロードショー」やら「オリーヴ」といった雑誌でよく見ることがありました。「ミスティック・ピザ」そういう世界的な流行に乗って製作された映画ではあるのですが、先行作品群と少しだけ違ってたのはヒロイン達が多少ヤサグレ気味、なおかつフェミニストの主張として「貞操感については私自身が責任を持つ」ということでしょうか。ジョジョは恋人のことは大好きなんでセックスするのにも超積極的なのですが、結婚だけはしたがらずついには婚約者に「俺の身体だけが目当てなのか!」て詰られる・・・青春映画における未婚のカップルの役割が男女逆転している所が割と少女漫画チックな展開だったモリ―・リングウォルド映画とは一線を画していて当時新鮮だったのでした。本当いうとジュリア・ロバーツとモリ―・リングウォルドって確かほぼ同い年ぐらいだったと思ったんだけど、なんだか運命分けましたよね。
「シンデレラ」になったとしても、その先は?
ジョジョは「ワタシだって現在は無理だとしてもいつかは大学行って経営だとか勉強したいの! 計画があるのよっ」みたいなことを宣言する。姉妹三人はピザ屋のウェイトレスのバイト女子だけど、ジョジョは子供のいない雇い主のオバサン達の後継者になってオバサンから秘伝のミスティック・ピザのスパイスのレシピを伝授してもらいたいという夢があるのさ。だって都会のグルメ評論家(彼は普段ピザなどというものを自分は食さないのですがなんてテレビ番組のコメントで言うような御仁)にもオバサンのピザは絶賛されるんだもん、今すぐ結婚なんかしたらその夢は叶うかどうか分からないじゃん。小さいころからの勉強できる優等生じゃなくても家庭に収まるだけじゃないキャリアというものが欲しいという女性が映画でも登場し始めたという点が新しかったのだ。ベビーシッターの父親との恋に夢中になるキャットの方が古いタイプと思えるぐらいだもんね。デイジーはキャットの振る舞いに怒るけど、アイビー系名門大学に進めるキャットにとっては既婚者とのアバンチュールなんて破れたとしても「想定の範囲内」のことで意外と気楽だし、これといった才能も目標も見いだせないデイジーには妹のマネができないから鬱々としちゃう。日本じゃこの手のことをわざわざ台詞で説明しようとするケースが多々見られますが、この映画では不機嫌なジュリア・ロバーツのアクションでみんなも解かるよねってカンジ。スタイル抜群なのにネガティブ全開になるとやや猫背になり、なんかヤンキーな兄ちゃんみたいな歩き方する彼女が下品で素敵ぃ、て当時思ったもんです。で、そんな彼女にも「運命の王子様」がちゃんとやってくる所が映画ならではの良さではあるんですが。
この映画の後、現実にジュリア・ロバーツ婚約したっけ・・・
デイジーには地元で気になる男子が存在していて、それが金持ちお坊ちゃまのチャールズ(アダム・スト―ク)。長い夏休みの間セレブの友達と連れ立ってはデイジーの遊び場周辺をうろうろするのだけど、ある日バーで一緒にビリヤードゲームをしてから二人は意気投合、チャールズからデートに誘われるようになる。アル―ジョママはそんなデイジーのことを心配するんだけどね。でも現実は甘い玉の輿のようなものではなくチャールズ実は大学をカンニングがバレて放校処分になったばかりだし、パパは一代で成り上がった起業家というヒトだから、父親の期待に応えなきゃいけないプレッシャーと自分の能力に対するコンプレックスでいーっぱい。要するにデイジーにとっては「お似合いすぎる彼氏」であるみたい。ここでも美人で適齢期ならイイ結婚ができるという道が開かれているということはないのさ。当たり前ことと言えばそれまでですが、とにかく女の子は結婚してそれから・・・というのではなくて結婚するまでにこれだけは準備をしなきゃいけないということが多々あるのさ、という時代に突入したんだとはっきり宣言した映画でもあります。そう、より幸せになりたかったら晩婚でもかまわないんじゃない?ってメッセージを若い女の子向けに発信している映画でもあったのだ。早めに結婚、離婚でドツボにはまっちゃった女性たちが当時多かったこともあったしね。それでもアメリカの若者はまだ早めに結婚にこだわる人間も多くて、実際のジュリア・ロバーツは共演したアダム・スト―クと婚約、破局後は「ジャック・バウアー」ことキーファー・サザーランドとの有名な結婚ドタキャン騒ぎ・・・とジュリア・ロバーツの数々のミスティックなまでに紆余曲折した婚活への軌跡が始まっていくのでありました(笑) で、中年期に入った現在、略奪婚を経て二人の子供を授かるも、再び離婚するらしいそう。(コレ書いた当時は離婚報道が一部出ましたが、現在離婚はしていません。お幸せそうです、失礼しました。)
こっちのジュリア・ロバーツもかなりヤサグレていますが、共演したキャメロン・ディアスにやや食われてるような印象もなくはなかった・・・でもジュリア・ロバーツってそんなことにはあまりこだわらないタイプのようで、そこがまた皆に好かれてるような気がしてます。