2018年に劇場で見たクラシックな「大作映画」

 

Sorcerer (1977) (BD) [Blu-ray]

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 いやあ、とにかくもの凄くて「加齢臭」があぁぁ・・・(苦笑)

 でも劇場内は人一杯入ってて、入った瞬間にヤバいわココって思いました。どうしてこんなことになったのさ、とアタリを見回したんですがホントに「ジジイ臭な熱気」だけで?ってくらい。女性客が私含めて2,3人てのも私の鑑賞する映画では別段珍しくないのですよ。2018年の秋口にスカイライン-奪還- [Blu-ray]てのを観た時なんてレディースデイだったのに女性客私とおばあさんの二人だけだったもん。何がこれほどまでにオッサン・・・いやあ男臭さを呼ぶのかよ、と思ってるウチに映画が始まりニトログリセリンを運ぶ男達(ロイ・シャイダーブリュノ・クレメール、ニーロ・フランシスコ・ラバル、アミドウ)4人の過去が冒頭一気に語られます。いろんな方がこのフリードキン版と仏オリジナル版との比較で指摘する部分でも在りますが、メキシコにフランス、エルサレムにUSのアイルランド系ギャングがいる都市(詳しくは解らなかったんで)といきなり皆さんそれぞれ人生大変そう、て様子が細部/ディテール描写の積み重ねで観る人に伝わってくる。フリードキン監督て70年代にジャンヌ・モローと結婚していたんですよね。それ踏まえて観ているとフランスの銀行家(ブリュノ・クレメール)のくだりがぁ、私からしてもとりわけ哀しくなります。ネットの感想で「フランスの銀行家の人が一番良かった、エピソードもまるでフランスのノワール映画みたいで」などというのが在ったんですけど、男の人はこの手の「勘」がさすがに鋭いんでしょうか。男の映画ファンでフリードキンが好きなタイプがジャンヌ・モローには興味あるとは思えないしねぇw。銀行家のカップルは結婚10年で離ればなれになるのだけど、フリードキン氏の場合はそれよりも続かなかった。(余計な情報ですが)

南米が舞台なんだけど、つい思い出すのは冒頭のキャラ紹介シーン

 になってるのよ、物語の構成がそうさせるのね。オリジナル版のアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督『恐怖の報酬』Blu-rayの場合だと舞台は同じく中米でもそれほど暑苦しいイメージがなく(白黒だしねw)、食堂&酒場の場面が特に重要。命知らずで、人生そのものを投げちゃってるような男達の虚勢の張り合いがスゴイ、そこで性格やら長所欠点を紹介していくんだけど。フリードキン版はうだるような暑さの中、酒場の周囲は石油会社の仕事を求めた地元住民達が集まってスラム街みたくなっている。運び屋になる男達は皆故郷を追われてスラム街に捕らわれてしまっていて、地獄のようなこの土地から脱出したい。故郷にいた時にも4人の男達は皆独りぼっちの状態で追われて身一つ村にたどり着いたというのに何だか寂しいの、慣れ親しんだ快適な場所から遠ざかったからじゃない。同じく石油採掘所で働く地元の住民は皆家族があって、貧しいスラムに住み日々辛い生活を送っていてもコミュニティの一員だから、爆発事故一つ起きても村の住民の間で暴動を起こしたりする。一体感を持って人生生きているって感じ。よそ者にはソレが無いから。とにかく疎外感が募るのさ。

 ニトロをトラックに運んでいる最中にロイ・シャイダーがもっともブチ切れるシーンがあってさ。橋がぶっ壊れているのをなんとか無理矢理渡ってやっとこさ道らしい道を急いで行こうぜって時に、奥地に住む原住民の家族連れがトラックの行く手を阻むの、あんまりトラックって見たことないもんだから原住民の家族には道を譲るってところに頭が回らないし、そこの家長たる父親がわざとふざけてロイ・シャイダー達にマウントする。ここら辺で私はロイ・シャイダー演じるスキャンロンの冒頭エピソードを強く思い出したのだしたのさ、ギャングの結婚式のご祝儀金をスキャンロン達のグループは狙って強盗しに入っちゃう。そこの結婚式を仕切る牧師もギャング幹部の弟で、はずみで牧師を殺した強盗グループの中で一人だけ生き残ったスキャンロンだけが生き残り地獄のような目にあってんのね。彼は世界の中でも一番の文明国に生まれたのに自分が育ってきた土地ではギャング同士の抗争ばっかりで、ずっと周囲に小突き回されるまま家族も持てなかった人生を再確認しているのよ。

最後のエピローグが「納得」

 スキャロンは最後にまた独りぼっちで「生き残り地獄」の目に遭って、それでようやく解放されて映画は終わる。やっとこさスラムの居酒屋に戻ったけど、石油会社は金と本国行きではないよく分からない土地へのチケットをくれるし。そんなスキャンロンは店で働いている原住民の中年女に「一緒に踊って欲しい」と声をかけて二人でダンスするのさ。なんだか一緒にたどり着けなかった他の三人を追悼するみたい。生まれた国もバラバラで皆の間に何にも連帯感が生まれなかったのにね。

 

恐怖の報酬 [DVD]

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 だいぶ前に観たのでかなり内容を忘れて・・・

 てましてw、サスペンス部分に関してはニトロがよりずっと繊細で何時爆発するかドキドキする中、必死にハンドル握ってたイヴ・モンタンの顔しか思い出せません。それよりも映画の中で紅一点の女性である酒場の女性リンダ(ヴェラ・クルーゾー)へ対する男たちが言動が酷く、お前のご託なんか聞く耳持つかよ、存在を無視してやるだけ有難いと思えな態度に驚いてしまい、強く記憶しています。男より女が少ない環境だから女がよりチヤホヤされる筈美人ブス問わず、て幻想を抱いている人間は男女問わずこの映画観て考えを改めた方が良いです。女性が少数になればなるほど激烈なホモソーシャル環境になり易くて、女なんかの説教を聞いてご機嫌取る位なら男同士がマシって事でクルーゾー版の運び屋にはゲイのカップルもいて威張ってました。ゲイの片割れの若い方の事がリンダさんは好きだったので止めたかったんだったと覚えているよ。演じてるヴェラ・クルーゾーって名前でもお気づきの通り、後に監督のクルーゾーと結婚したんですが、60年に夫の不倫の噂に傷ついて自殺してます・・・。こうゆうエピソードを聞くとフリードキン氏の「恐怖の報酬」リメイクへの執念が何となく解るのかなあ?まあフェミ系の観客にはどうでも良いのか。典型的な70年代のヒットメーカーっていうか、ひたすらハード&マッチョな映画を撮ってたフリードキンはこの後にクルージング [DVD]って映画作ってゲイフォビアだってゆうんで上映禁止にまでなった事があるんですよお。フリードキン版の「恐怖の報酬」を改めて観ると、男も男なりにジェンダー問題に悩む事はあるのかもしんない、て気もしましたが80年以降の新たなフェミニズムLGBT運動のうねりとは合わなかったのね。でもフリードキンの映画はゴリゴリマッチョだけではなくもっといろんな側面から評価しても良い気がしてきました。