いろいろと説教がキツい人達 1「勝手にしやがれ」について

 

ポリンキーポリンキー、映画勝手にしやがれの秘密はねっ♡

今ではポンコツ頭の私にも少しは判ってきちゃった。年齢を重ねると良い事もあるのものだね。大昔、20歳過ぎたばかりの頃に現在では閉館した日比谷の映画館で「勝手にしやがれ」と気狂いピエロ [Blu-ray]の二本立てという荒技の映画鑑賞修行をして(しかもアルバイトの予定がなくなった日曜日に思いつきで行ったの)、映画よりその劇場で観にきていた皆お洒落で互いにモノトーンの装いをしたカップルの生態について有意義な観察をした思い出があるんだ。が、それでもやはり20世紀における文化的な大事件、ハリウッド映画に限らず様々なコンテンツに半世紀以上にわたって影響を与え続ける傑作は凄いと改めて驚嘆。そういえば今回「説教がキツい人達」てカテゴリーを作ったのだが、方針としては映画製作者達が観客に注意喚起したい在る事柄について訴えたいばかりに、結果的になんだか説教する事になってしまった映画について取り上げていきたいのさ。だから今後ともおそらくは傑作の映画についての紹介になると思う。

 

ポリンキーポリンキーゴダールの戦略(才能)の秘密はねっ・・・

映画冒頭に主人公のミシェル・ポワカール(ジャン・ポール・ベルモント)がずぅっと早口で画面に向かって独りごと言いまくるとか、それまでの映画の常識を打ち破っただとか・・・私は若い頃からいろいろ説明をきかされていた。それが先日TV放送でお昼の支度しながら横目で観ていたところ、ポワカールが拳銃の空砲を鳴らし、それが原因で交通事故が起きて死者数名が発生したというシーンであると簡潔な演出ではっきりと伝わって気分がスッキリ、その後は一緒に昼食を取った夫と息子そっちのけで見入ってしまったよお。ポワカールの罪といえばそれが一番大きくてしかも彼は貧乏な小悪党でさえないという設定も皆さん踏まえてからぜひ観て欲しいっ。

ポリンキーポリンキー、ヒロイン(パトリシア)の秘密はねっ。

ミシェルは車の運転を終えると、アントニオ(アンリ・ジャックス・ヒュエット)を電話で呼び出し自分の車を買い換えたいと相談するのだが、全く相手にされない。彼はその後に馴染みの女性というより幼なじみのモデルのリリアンリリアンヌ・ドレフェス)のアパートに寄っておしゃべりをし、街に出てパトリシア(ジーン・セバーク)に声をかける・・・米国出身のパトリシアはおそらくソルボンヌ大学に通いながら新聞社のインターンをしている国際間の交換留学生という設定を踏まえると、ポワカールという人物が一体何者なのかが理解できるとは思うの。お馬鹿な私なのでポワカールはファーストシーンから誰かに追われているのに暢気なヤクザだと長い事勘違いをしていたけどさ。それにポワカールってヤツはパトリシアやリリアンについての貞操感覚について悪口ばかり言ってる男なので、カップルで観に行くと頭の良い潔癖な性格の女性が彼女の場合、映画鑑賞の最中にも文句タラタラだったのかもしれない。私はあの時日比谷の映画館で独りで観に行って本当に良かった、女友達同士で観に行って、ひょっとしたら友達にクレーム付けられたかも。私の20代当時はフェミニズムに違和感があるタイプの女性の方が男性の言動には(映画やドラマの中でも)案外チェック厳しかった記憶がある、私の個人的な体感ではあるけどね。

ポリンキーポリンキー、新聞写真の秘密はねっ。

それは映画を観てのお楽しみだよ!でもポワカール達は写真は見ていないからね。映画後半にポワカールとパトリシアは同じ新聞の同じ犯罪記事を読み驚いちゃう。それからパトリシアは一転して男達から追われるようになったポワカールをかばおうと手助けをし始めるのだ。ポワカールといえば、追手から逃げてはいるものの相変わらずアントニオのグループから無理矢理に新車を買っていくし、アントニオには買った拳銃を返そうと追いかける始末。もしかすると彼はアントニオに拳銃を返すなんて馬鹿な事をせずに家で数日大人しくしていれば、死なずにパトリシアとももっと仲良くできたのかもしれないのにね、まずポワカールはホームレスじゃないしさ。

ポリンキーポリンキーゴダールの映画のお楽しみのひとつはねっ。

それはヒロインのファッションが可愛くてお洒落の参考になることさ。20世紀が終わって21世紀が始まっても変わらない。かつてゴダールの映画に主演したアンナ・カリーナゴダールが衣装を街のスーパーでも調達してきたのが凄いってのを絶賛していましたよ。パトリシアが着ていたコートやフレアスカートはあんまりイマの日本では販売していないんで頭にきますが、Tシャツと厚手のレギンスだったらUNIQLOやらしまむらでも探せるのではないかしらん。可愛いくもなくスタイルも良くない日本の若い女の子が真似をしても似合わないとごねたくなる女性もいるかな?・・・でもイマの20代の女性たちは1980年代終盤の20代オンナより手足長い体型人口は増えているし、よりジーン・セバークに近いはずだ!頑張ってボーダーTシャツとか着てくれたまえ。

ポリンキーポリンキー勝手にしやがれのラストのポワカールの秘密はねっ。

教えてあげないよ、ネタバレになっちゃうからね。でも多少ヒントは挙げておこうかな。パトリシアに尋問してひそかにポワカールを追うヴィダル刑事(ダニエル・ブーランジェ)ときたらポワカールが拳銃で撃たれちゃうだけで満足して彼を助命しようと救急車とかは一切呼ばないんだよ。ただ撃たれたポワールのそばに駆け寄るパトリシアの両隣ににじり寄るだけさ。で、有名なポワカールの声に出来ない叫びとパトリシアのお口をチャックするポーズの意味が一回観ただけで理解できる君なら私は本当に天才だと思う。数回観ただけで理解できる君でも大秀才かもしれない・・・でも21世紀に本格的に今昔の映画を観てきた若い君たちなら、私らみたいな「ヌーベルバーグ」について懇々と説明されたオタク気味のかつてのYOUNGよりはあっさり判るかも♡、是非ぜひ試しに鑑賞してみてね。

ポリンキーポリンキー、最後にポリンキーゴダールの映画の関わりの秘密はねっ。

ポリンキーとは日本で1990年代から販売されているスナック菓子の名前で、新発売当初の宣伝キャラクターの名前はジャンとポールとベルモントの三人組なんだ。ちなみに私はゴダールの映画にポリンキーって名前の登場人物がいるのかどうかまでは知らないんだ。ただしそんなポンコツな映画ファンの私でも「勝手にしやがれ」の理解が増した現在余計な妄想だけが膨らんでいるのだ。もしかつてのゴダール青年が「映画監督じゃなくて作家としてのジャン・ピエール・メルヴィルが憧れ」だったら?・・・ひょっとしたら彼はカイエ・ド・シネマの同人になる直前に既にもの凄く過酷な青春時代を送ったのではないのかな?・・・で、しつこくカイエの同人達に自分の経験を語ったのに、彼の経験と「勝手にしやがれ」という映画の在り方をもの凄くうらやましがる仲間に出会って驚愕した・・・等々。でも妄想を書きすぎると失礼になる気がするのでこれ以上は止めます。で、21世紀の日本ではポリンキーはあるコンビニチェーンのプライベート・ブランドのスナック菓子として販売されています。1990年代より健康的なスナック菓子のイメージですね。21世紀は映画館だけでなく、DVDや映画配信でポリンキー食べながらさくさく観られる「勝手にしやがれ」に期待したいのだっ。