IF(たられば)の女 ③  「V フォー・ヴェンデッタ」のナタリー・ポートマン

 

 今のハリウッドを代表する「兄弟」⇒「姉弟」⇒「姉妹?」のお仕事ね

 要するにウォシャウスキーさん家のお子さんたちのことです。(笑)この映画では主に製作と脚本を担当しています。英国のコミックの映画化なので公開当時も皆ごく普通に接していた記憶がありますが、今になってよくよく鑑賞すると「かなりいろんなコトを慎重に示唆」しているのがよく解かります。そのせいかアノニマスなんてゆうグループがヴェンデッタのお面を非常に気に入ってよくサミットなんかで抗議アピールしていますね。今度日本の伊勢志摩でサミット開催するそうですが、日本の警察はあからさまに目立つお面など簡単に剥ぎ取りそうなのでアノニマスの方たちは無理してそんな遠出して抗議することなんかないですよーとアドバイスしたいですわ。もしどうしても・・・というのなら伊勢志摩非公認萌えキャラ碧志摩メグちゃんのお面で「反骨を示す」という意図をごまかす(笑)とか工夫してみるとかも手ですかね・・・んまあ「たられば」の話はこれぐらいにして、次に行きましょ。

「超映画批評では100点満点中30点」、私の友人は絶賛してたけどさ

 ちなみに友人の彼女は他にX-MEN:ファースト・ジェネレーション [Blu-ray]を押しておりました。で、ヒュー・ジャックマン主演のXメン一連シリーズはよく知らないという(笑)、ことなので一体どちらのお奨めが信用できるかということなのでしょう。私はもちろん友人の絶賛の意見を参考にしました。なにせ彼女はあんまりこの手の映画を見慣れていないのが明らか(笑)・・・だけど若い頃から「痴漢が怖くて名画座で映画なんか観られるかよ」と豪語する映画ファンなので、それほどバカなSF映画ではないだろうと思ったわけです。ちなみに取り上げる映画をGoogle検索してかの超映画批評に出くわすことが殆ど無いのですが、たまたま出てきました。30点の評価の根拠も「欧米ではともかく日本人にとっては興味持てないと思う・・・」とかなんとか態度が煮え切らないご様子だったのよ。とは言っても冒頭でも語られる「ガイ・フォースの逸話」はエリザベス一世統治時代ぐらいの地味な歴史のエピソードでそんなに米国やほかのヨーロッパまで広く知られた話だという気がしませんがね。原作コミックは1980年代の英国でまず白黒で発表され1988年にはDCコミックとしてカラーで出版されました。なのでコミックは英国におけるサッチャー時代の「体制批判文化」を色濃く反映されたカンジっつーか、ヒロインのイヴィーの描き方にも80年代の匂いというか、当時の十代の女の子の置かれていた状況がコミック版のプロットを読むとよく判ります。これをウシャウスキー元兄弟は2000年代の「常識」に合わせて上手く脚色しました。そのせいなのかナタリー・ポートマンは自らオーディションを受けて役を勝ち取ったそうです。

Vはより「ヲタッキーな紳士」に、内容はより「LGBTの存在」をはっきり主張

 舞台は(架空の歴史としての)首相アダム・サトラーが独裁体制を敷くイングランドBBCに勤務するイヴィー(ナタリー・ポートマン)は上司のゴードン(スティーブン・フライ)の家に訪問するために夜の街へ出ると秘密警察の人間に見とがめられ、襲われそうになります。そこへ現れたのがV(ヒューゴ・ヴィーヴィング)、なんかやたら古風でしゃべり方が大仰なとにかく「ガイ・フォークス」の仮面被ったまんまなのにやたら強い男。だいたい武器がほぼナイフっつーより、剣ですかあ?で秘密警察のおっさん達をやっつけるしね。ちなみに映画では英国が独裁政権になった理由が若干複雑というか変な事故を契機にして国民が知らない間に独裁政権になってしまったという設定です。まあそれが「V」誕生の秘密に関わるようになるのでしょうがないかなあ・・・というぐらいに公開当時(2006年)は受け止められたでしょうが、大震災を経験した今の日本人なら果たしてどう思うかなあ、とは気になります。・・・で、とにかくこの映画女性の支持がやたら高いのですが多分理由は冒頭のくだりや後にやってくる同性愛者のヴァレリーのエピソード、それから何といっても「V」のキャラクターのおかげでしょうね。多弁でシャイなヒトなのよ(笑)、Vはイヴィーを自分の秘密の隠れ家にかくまうんだけどアンティークなジュークボックスがあったりする「趣味度が高い」部屋で、イヴィーに作ってあげる朝食もすごい凝ったエッグトーストだったりする。そんでもって話し方が「持ってまわった」クドイ言いまわし連発・・・まさに「オペラ座の怪人」のパロディーかよってノリのやりとりがイヴィーとVの間で交わされます。ただし原作コミックの根が暗いせいなのか(笑)あんまり軽快な印象がありません。映画の中には所々引きつったようなユーモアがあり、ツイテいけない人間とああディストピア物ってカンジよね~と割合素直に入っていける人間とに分かれそうな気はしました。確かにイヴィーの上司でBBCのバラエティー番組ホストのゴードンのくだりなんかは、どっかで観たような気がするぅ、反体制のゲイ知識人死すってやつと既視感を覚えるヒトがいそうだね。いかにも英国原作コミックにありそうですがゴードンのゲイ設定は映画オリジナルだとか。原作コミック(コミックノベル)のいわゆるノベル担当のアラン・ムーア氏はずっと映画化に怒っていてまったく協力もしなかったそうで、コミック版のプロットを知る限り「そうだろうなあぁぁ」とは思いました。コミック版ではイヴィーをはじめ女性のキャラクター達への扱い方が酷いというか(生活苦に陥るとすぐにセックスワーカーに走るようになる設定等)Vのキャラクターにしても、もっと「観念的な存在」でありそもそも普通に感情移入することさえ拒否するようなお方らしいです、オペラ座の怪人に匹敵するイメージは主に脚色したウシャウスキー元兄弟が造りあげたんじゃないかって気がしてなりません。

ウシャウスキー元兄弟が監督してたら・・・

 ここまでおっとりとした展開にはならないんじゃあ・・・みたいな気持ちはどうしても最後まで残るのですが。ただ最近の【Amazon.co.jp限定】ジュピター ブルーレイ スチールブック仕様(1枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]なんぞ観る限り、バウンド [DVD]マトリックス ワーナー・スペシャル・パック(3枚組)初回限定生産 [Blu-ray]で尖がった映画をやる情熱が尽きた?(笑)・・・て勘繰りたくもなっちゃいますよね。でも映画の最後ロンドンの街にガイフォークスの仮面をかぶった群衆が押し寄せたりするのは後々のアノニマスの活動にもインスピレーションを与えたりと、地味に影響を与えているのはやはり「正攻法」な創り込みのなせるわざで、改めてウシャウスキー元兄弟の脚本の手腕によるものでしょう。映画公開2年後にリーマンショック、4年後に東日本大震災と日本人にとっちゃ大惨事が起きた現在の方がより身近に感じられるかもしれません。

・・・ちなみにどっかのヒトが主張する「儲かるブログ」の秘訣には既にネットで発表したものも必要とあれば積極的に遂行すべしとあり(政治家のブログではしょっちゅう内容削除ばかりが話題になりますが)私自身も誤字脱字だけではなく、そろそろ内容も大幅に更新したいなあ、と思っているやつを何時手に付けようかしらん気になっている今日この頃です。

  超映画批評さんでは行う予定があるのでしょうか?(余計なお世話)