2018年に劇場で見た日本の実写映画 ③ (で、煙草/ジェンダーに関する映画)

日本の若手の二枚目には「煙草も持たせる」以外にオトナの芝居が無いの?

 って言いたくなるような日本映画が2018年には続けて話題になりました。そのうちの2本は原作小説の作者が女性なのでホントにそれしかないのかもって一瞬落ち込みそうになりますが。とはいえ制作側にはそれなりに戦略の違いがあって日本映画に文句言いたいフェミの観客にはポイントになるかも。(と煽ってみるw)

 

孤狼の血 [Blu-ray]

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 所謂近過去もの映画(実は長年現代劇と時代劇とレトロもの違いは何ぞやという面倒な議論もあり好い加減この手の映画のジャンルが確立されつつあるのは喜ばしい事です)というヤツですし、タイトルにも関わる事なので松坂桃李喫煙者になる経緯がドラマチックに描かれているのも当然ちゃ当然w。主役二人が一番芝居するシーンでどっちも影になっててほぼ画面に出てこないも同然だったり、ラスト近くの「墨塗黒ペン先生による熱血指導日誌」を手に涙する1980年代の共通一次世代の若手刑事だったりする描写はとても気に入りましたっw。もうそれだけで露悪的なピカレスクロマンお腹いっぱいなので、さすがに近未来の「麻雀放浪記」とかは消化できそうにありません。

 

寝ても覚めても [Blu-ray]

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  海外の多くの国での公開が決定しているこの映画、煙草が主人公丸子亮平(東出昌大)の心理状態を表す重要な小道具になっています。映画鑑賞中はそれほど気にならなかったのですが、昨今特に若い女性の嫌煙感の凄さに触れる度に段々と心配になってきました。ソレこそ今どきハリウッド映画で観るスカした女優の喫煙シーン(2018年カンヌ審査員長のC・ブランシェットが演るような)と比べて遜色あるどころかむしろよっぽどマシだろって気が一方でしなくもないのですが、ヒロインの朝子(唐田えりか)の亮平の喫煙習慣についてのろけ混じりに語るエピソード等は結構炎上案件になりそうな予感。そして今現在(2020/01/25)何だか違った意味合いを持って大問題になっちまいました。悪い予感ほど当たるものです。しかしながらハリウッド洋モク系の喫煙シーンにはビジネスの香りしかないのに日本映画JT系煙草にはやたらとジェンダーの香りがするのが私は頭痛いです。日本/JTの場合は明治期から国策で専売公社だったりするもの関係あるんでしょうかw。

 

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track

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 「一見IQが低い人向けに作っているように見せて中身はIQが結構高い映画」って最近のハリウッド映画等を褒め倒す時に使われるフレーズですが、新作の日本映画についても気楽にそんな事決めつけられますか?IQ高い表現って意外と危険なモノですよ、特に観客にとってより身近でドメスティックな現代劇だと。私的な決めつけで「ジイサンが夫婦や孫連れて見に来て終了後皆で大満足する」映画、ジャンルはともかく比較的IQ高い映画、にしてますが2018年度観たヤツで該当したのが↑とインクレディブル・ファミリー (吹替版)でありました。面白かったんですが感想を言うのが難しく、安室ちゃんど真ん中世代の主婦なんかには導入部なんかは身につまされ過ぎてたようでいた。時々劇場で見かける予告編に至っては「韓国オリジナル版の少なくともあらすじ知っている筈なのにどんな映画なのかサッパリ予想できない」状態に陥ったし。男性の映画通の間では評判は決して良いモノではなかったのに、「チャラく煙草を吸う三浦春馬が登場し始めてから面白くなった・・・すずちゃんすずちゃん」などと連呼する作家(何でこんなコメントするヤツがキング・オブ・アウトローなんだよって思いましたが瓜田純士って一部では有名な人なんですね)がいたりとか・・・私から観てもまるっきりの女性映画なのに出番の少ない男性登場人物の自己主張が強くないか?とは思いました。過去である90年代中頃と2018年との描写の一番大きな違いが「2018年ではリリー・フランキーを含めて男性陣が一切喫煙しない」というのにも意外と「怖さ」を感じたもん。なんだか「俺たちは総て過去を切り捨てて生きてきてるけど、代わりに過去を抱きしめてくれてすずちゃん&篠原涼子有り難う」ってか?しかしそんなんで男の人達大丈夫なのおぉぉ・・・(;゚ロ゚)?と思っちゃう。なんせ自他ともに大根常連組とされていた役者さんが現在大変な事になっておりDVDは販売中止。しかも新井浩文のシーンは全部カット編集した上で再度発売しても元々全く問題ない内容なんで困ってしまいます。そういや映画観た直後にTV出ていた三浦春馬について「彼は二枚目なのにやたら人の良さが出てる」とか突如夫はため息つきながら唐突に言い出して驚いたことがありました。日本映画と日本の観客にとって映画がIQ高い低いとかいう事よりも予想だにしない部分で「闇」が深いってのがより重要なのかもしれません。あと敢えてネタをバラしますとですね、「SUNNY」は隠れ百合映画です。韓国オリジナル版も同様なのかまでは未見なので存じ上げておりません。