お祓い/Purification される女 ①の前編 「SW/最後のジェダイ」のデイジー・リトリー

 

 SWシリーズのヒロインとヒーローなのにっ

 これから「お祓いされる女」シリーズってのをまとめてやりたいのですが、当初自分が観賞した映画の中で「お祓いされてしまふ」状態に陥るヒロインなんてそうはいないよなああぁ・・と(実を言うと想定できる映画が一本しかなくて)シリーズにはならんと考えておりました。ところが2017年公開の映画にはやたらとお祓いされるヒロインの映画が登場してビックリしてます。特にこのSW最新作には驚いた、後ジョセフ・ゴードン・レビットがカメオ出演している事実を知ってさらに感慨深いです。実は同じく「お祓いされる女」映画として(500)日のサマー (吹替版)も取り上げたいんだよね、要するになんだかやたらと拗らせてる恋愛映画の事を「お祓いされるヒロイン」映画として私は考えてたのさあ♡このところ。で、日本語の「お祓い」に対して100%見合う英語はやはり無くてPurificasionとは主に「浄化」という意味の方が適当らしい。より過激な(映画的といってもいい)表現だと Exorcism rite/厳密な(悪魔払い)儀式てヤツになります。さらに付け加えるとこの手の「お祓いされる」映画に登場する男のキャラクターは皆どこか「司祭様」or「牧師様」みたいな奴らばっかです。一見するとやや内気で真面目な二枚目だけど・・・てな感じ、そう沈黙-サイレンス- プレミアム・エディション(初回生産限定) [Blu-ray]でイエスズ会の宣教師演ってたアダム・サンドラーなんてのはまさにドンピシャで当てはまりますよね。大多数の古手のファンは💢、それまでSWに興味無かった新しい世代のファンが少しずつだけど出現している賛否両論の激しいけど(PC対応としてはバッチリな)SWエピソード8です。

あっという間に終わるSWエピソード5、長ーく感じる今回のエピソード8

 映画公開前にキャリー・フィッシャーハリソン・フォードと不倫していたとの告白をフォード了解の元に暴露するわ&その後急死という大事件が起き・・・私自身がスター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲 リミテッド・エディション [DVD]観て、恋愛ものとしてちょっとドキドキしてたのは何だったのよ~!調子狂うわ~と感じながら今年の正月第1発目で観に行ったのでした。その所為か最初っからエピソード5とエピソード8はお互いが「対」の存在になるのかな?て印象が公開前からすり込まれていたみたい。んで、「帝国の逆襲」は観た人は皆一様に「あっという間に終わるんだよねエピソード5って」て感想を抱くのだ。そう、エピソード5は登場人物が皆「どSキャラ」揃いなのと不穏なラブコメから後半から急転換していって緊張したまんま終わっちゃうのが特徴。んでもってエピソード8はルーク(マーク・ハミル)が脇に引いているのはともかくもフィン(ジョン・ボイエガ)とローズ・ティコ(ケリー・マリー・トラン)の掛け合いやら唐突に出てくる子供達やらローラー・ダーンやらDJ(ベニチオ・デル・トロ)やらが一見するとバラバラな印象でそれにレイ(デイジー・リトリー)とカイロ・レン(アダム・ドライバー)のやたらと重たい恋の駆け引きがどどーんと乗っかているという・・・終わった後皆がっくり疲れる、観客の「M度合い」が試される(笑)映画になっているのだ。あのラストはしょうが無いと思いつつも辛い、ウチの息子も観た後にぐったり来てたもん。私なんかにはローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]と今回のエピソード8に続く流れは自然な感じはしましたけど。ただ最初観た時は個人的には面白いんだけどSWを見慣れていないヒトには「稚拙」に感じるヒトもいそうだわってのが第一印象。実際にはコアなSWファンほど「稚拙な第二創作」って酷評する方が多いようですね。

中国人に大不評だった

 あまりの不評に中国で途中打ち切りになったという「最後のジェダイ」。そりゃあティコ姉妹の美人姉(ベロニカ・グゥ)があっという間に去り、変わって天童よしみ似美人の妹ティコ(ケリー・マリー・トラン)がど根性で恋の勝利者になる展開なんでねぇ、アジア系全員がぁ・・・とは思わないけど中国の方々(特に男性陣)には気に入らないかも。私は彼女が気に入らない云々ではなく、SWともあろうものが学園物のラブコメのような、或いは下町を舞台にした人情時代劇or昔懐かしい西部劇のような展開をしても果たして善いのだろうか?という事には少し悩みました。ドメスティック過ぎるというかね。それまでのジョージ・ルーカス版(エピソード1~6)のSWというのはあくまでもダースベーダー一族の中での家庭劇で、共和国側の人たちは基本「脇筋」に置かれていたわけです。外伝で脇筋のキャラが主役/ヒーローとして活躍するようになり改めてSWのエピソード8も主役グループ以外のキャラクター達が本格始動を始めたということです。これを評価したのがUSの主要批評家とか日本の町山智浩氏って事でしょう、「正史」とは血族の物語でなくそこに存在する総ての人々もの、理力/フォースは総ての人々に恵みを与えねばならないってか。

じゃあじゃあ、伝説のジェダイルーク・スカイウォーカー」の扱いってどうよ?

 エピソード8におけるルークについての描き方が総じて不評でありまして、カイロ・レンとの間の確執よりもヒロインのレイについて彼女に対するフォローがなってないという指摘が多々あります。これについては私自身は「はぁ?」とか思っちゃうんですよね。スター・ウォーズ/フォースの覚醒 MovieNEX(初回限定版) [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]から「最後のジェダイ」でもレイの出自や両親については観客に全く知らされていないのが困るんだけどね。彼女の内に抱える葛藤の内容を知ることなく、カイロ・レンとレイの間の二人だけの秘密としたまま彼らの駆け引きの行方に観客とスカイウォーカーは一緒になって付き合わされているのは確かに頭にはくるかも(笑)だったのかなあ?。もっと単純に「初心な女戦士が不良の元弟子にたぶらかされようとしている」に怒って間に入る老練のジェダイって考えればルークは別にヘンテコな描き方をされてるわけではありません。まあ彼って独り身の上にジェダイとしての正当な後継者さえも居ないように一見見えます。ただその代わり、遺伝子ならぬジェダイの意志を多くの人々に与えてSWから去って行くのでありました。その姿が、まるで「BAKUSHU/麦秋」における菅井一郎のようだったりしますし、小津映画での「THE FATHER/笠智衆」よりはかなり頼もしくてちゃんとレイを導いてますよ。日本映画に影響を受けた歴代SWエピソードの筈なんですが、黒澤明じゃなくてさっきから小津安二郎の話をしている私って変ですよね?

 で、それについては「後編」で詳しくまた書きますよぉ。

 TO BE CONTINUE !

 

 

 

 

 

 

トンデモ悪女伝説⑧ 「女神の見えざる手」のジェシカ・チャステイン

 

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 「ミス・スローン」と「女神の見えざる手

 この前(2018年5月時点)に見た「モリーズ・ゲーム」は同名実録本の映画化で出版された2014年には映画の権利が取得されたのですが、実際に製作が発表されたの2016年、その間にこの映画がジェシカ・チャステイン主演で作られておりました。その所為か「モリーズ・ゲーム」は同じ女優が主演しているだけでなく内容としてもやや影響が感じられて興味深かったです。「女神の見えざる手」にしても英国で起きた実際のロビーストの事件に触発されて脚本が執筆されたそう。新人の脚本としては業界から異例の評価をされたのも主人公のロビーストを女性にしたのが大きかったようです。映画を見た後、原題の「ミス・スローン」と邦題の「女神の見えざる手」、どちらがより内容を深く的確に表しているか考えるだけでもお話の構成というか、ヒロインのとらえ方で意見が分かれそうですが、今回私は邦題を推しますね。「ミス・・・」の方はひたすら謎のヒロインに関して興味を引っ張る感じ。対して「女神・・・」の方はヒロインと運命の女神を二重にかけています。冒頭に彼女がのたまう「常に先を読む」との主張がまず本気なのか「ハッタリ」なのかでも意見分かれそうだね。

理想を実現する為にしか仕事しません、鉄壁の意識高い系オンナ

 もともとは所属するロビー会社で社長のデュポン(サム・ウォーターストン)に銃規制に反対するキャンペーンをやってくれと頼まれたヒロインのエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は頭にきて仕事を断るだけでなく自分のチームの部下ごと一部引っこ抜いて退社してやるっ、と告げてしまう。業界で有名な私が「銃規制推進派としてロビー活動やる気満々」のスタンスでアピールすれば、すぐにオファーが来るもんねぇ、てなもん。で、実際にNGOとかの活動を支援する系のロビー会社に迎えられるのだけど、デュポンや銃規制反対の団体の支持を受けている上院議員ジョン・リスゴー)達には「思い上がった馬鹿オンナ」にしか見られていない。だいたい世間的に一見善いことに思える事案ていうのは善いこと運動する人々に対するネガティブキャンペーンの格好の餌食になってトーンダウンし安いんだよ(笑)、洋の東西を問わず。だからスローン女史の張る銃規制のキャンペーンの方が資金の調達も手法からも大変。資金の調達というのは「声を上げる人間の懐具合」も関係するのですが、まず手始めに彼女は銃規制により興味のある女性団体、女性の企業家から潤沢な資金を集めて銃規制反対派にプレッシャーをかけるのですね。とにかくやたらと喧嘩上手、そしてソレこそがスローン女史が謎の女たるゆえんなのさ。主張があまりにもハッキリくっきりしている為「何故に貴女ってそこまで?」の疑問が表出する。スローン女史と一緒に転職するのを拒む元部下のジェーン(アリソン・ピル)との描き方の対比でも浮かび上がってくるのですが、個人にとっての仕事って達成可能な目標を決めておかないとヤバいですよね。だけどスローン女史の場合はあまりにもデカ過ぎるので達成可能を何処に求めるのかが不明なんであります。そして優秀だけど将来的には研究職につきたい為の御勉強の為だけにロビーストの仕事をしているジェーンを強く勧誘して彼女の態度を徹底的に引き出そうとするのもまた謎。スローン女史の転職先のスタッフで高校時代、校内での襲撃事件に巻き込まれた経験が心の傷になっているエズメ(ダグ・バザ=ロー)に対してもそうなんですが、スタンスがハッキリしていて頑固な女性に対しての働きかけがもの凄い。コレはと見込んだ女性を積極的にコントロールしようとし、男性に対しては多大な期待を押しつけずに費用対効果の高いプロフェッショナルを求めるのがスローン女史の一貫した仕事の流儀のようです。でも何でもかんでもプロに頼めば良いってもんじゃなかったあぁぁ・・・でスローン女史にとっての最大のピンチが。

名前に「Jr/むすこ」ってついている彼だから

 とにかく他人のトラウマや心の隙を狙って食い込んでいくスローン女史は自分の過去やバックボーンについては多くを語りたがりません。皆内心では変だなあと思いつつも彼女の過去について核心を突いた質問が出来ない。まだ彼女が20代前半に数年だけ国境なき医師団で活動していた事実だけは映画でも告げられますが、何気なくスローンにそれを質問した女性スタッフについてもデュポンの送り込んだスパイだとしてさっさと追い出してしまうくらい。んで自分の過去について語りたがらない彼女はまた他人への共感力が高く、また相手に合わせて話し方や情報を小出しにしていく・・・コミュニケーション能力の高い女性にはわりと多いタイプで、他人に気を使う親切で優しい性格の女だったりするんですよ。それが必死過ぎると先回りして自分の考えをごり押ししていくような「敵」からは油断のならない女になる。彼女は仕事で男性的に振る舞うのに疲れるので恋人は求めずに時々エスコートサービスを利用するのですが、彼らが無神経にもスローン女史の担当ではない青年を派遣してきても、次回にはその彼にチャンスをあげちゃったりします。とにかくすごく気持ちが荒れている為にSEXでメンテナンスしなければならなかったようなんですが、1度はキャンセルした相手を何故スローン女史次に指名するのでしょうか。男性だと1度「チェンジで」って言った風俗嬢を指名するなんて話は聞かないのですけどぉ(笑)。男性のプロフェッショナルには常に費用対効果を望む彼女としてはモチベーションの高い状態の人材の仕事ぶりに期待したかったのか、それとも「前回傷つけてしまって悪いと思った」くらい優しくて共感力の高い女だったからなのかは解りません。ただ「スペンサーJr」って名乗るその青年は自己肯定感とスタミナの強さがスローン女史の想定外だったようで、彼女が公聴会に出席する際に敵の切り札になっちまうわ、彼女を追っかけて「君の過去を知りたい」なんつぅ事を言い出すんですよ。困ったスローン女史「嘘ばかりついてた、生き延びる為に」とか言い訳しちゃう、まるで「過去の話なんて相手の気に入るようにでっち上げれば良い」と心得ているベテランの娼婦のような言動で危うく納めるのだっ。お金払ってるのは彼女の方なのに本末転倒感がスゴイというか、何を狙った皮肉(アイロニー)なんだぁ?・・・と少し悩みました。脚本書いたヒトは元弁護士でアジアに興味があり、韓国で英語を教えながら脚本執筆したんだそうですが、まさか韓日に共通する風俗業界文化とかホスト業界に強い好奇心があったりしてたらどうしようかと一瞬気になっちゃった(笑)。

 必要なのは出口戦略

 全米公開時はかなりの小規模で興行したのにも関わらずジェシカ・チャステインの演技はその年のゴールデングローブ賞の主演女優にノミネートされましたが、映画そのものの評価は賛否両論あるのそうな。確かに私から見ても終盤の逆転劇は「いくら何でもそんな都合良くいくかよ」な部分があるっちゃあるかなと。しかしスローン女史の最大の強みはヒトが心密かに望んでいる行動を促す、行動を起こす勇気を与えるという所に一番ありまして、彼女に促される人間は最終的には喜んで加勢してくれるのです。そう意外とヒトの良心とそして「聡明さ」にこそ期待して働きかけるのがミス・スローン、ある意味とんでもなく大胆なギャンブラーなのでありました。でもそんなギャンブルに打って出るにはまず「どんな結果になろうとも確実な出口戦略」をしっかり練ることななんですね。またこの出口戦略は「協力してくれる人たちを巻き込まない為」に必要なのでした。結局彼女って人一倍周囲の人間に気を遣う善い女みたいです。なので買春するのだけは向いていないかなと。ミス・スローンったら二枚目でも自分のタイプでなければ「チェンジで」って言える女じゃないんですから。

法螺あぁぁーな女⑦ 「こどもつかい」の門脇麦と西田尚美

 

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結局こんな時期に

 もう2017年の「ワー〇ト」だの「誰が観るんだよ」等の話題もとっくに終わった頃だとは思うんでけど、それでもこの映画片づけておこうかと。近所のシネコンで観たのですが公開3週目で既にガラガラで(私ともう一人同年代の主婦らしい方のみ)、見終わった後にコーヒー飲みに行った先のお店でジャニオタらしい女性が二人暗い顔をして話し込んでいたものですから「興行的には期待外れ」だった雰囲気が濃厚でした。そっか・・・と困ってネットで評判見たら案の定ぼろくそらしく、一人だけ(明らかにジャニオタではなくコアな清水監督のファンなのでしょうか)褒めているオッサンがいたので少しだけ勇気を出して、私も見終わった時「この映画嫌いじゃないかも」って感じたと言ってしまいましょう。そしてその後スティーブン・キングIT/イット “それ”が見えたら、終わり。 ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/イラスト・カード付) [Blu-ray]が劇場公開された折、予告編ではこの「こどもつかい」のBDがちゃっかり宣伝されておりました。(劇場に来ていた多くのお嬢さん方は思わず失笑)でもハリウッド版「IT」はとんでもなくゴージャスすぎる「精緻」なお化け屋敷の映画でありまして、少しだけ嗤っちゃうトコがあるんだけど嗤うのに気が引けるのよ。その点こっちは屈託なく嗤える予算リーズナブルだけど豪快なお化け屋敷映画なんですね。なんか中盤から終にかけて疾走感があるのに好感持ちました。(笑)

次々起こる怪事件

 映画冒頭にもう胸が悪くなるような小さい子供を虐待するシーンから、あっという間に子供を虐めていた母親は謎の死を遂げる・・・というエピソードから始まりいかにも日本のホラー映画あるあるな定番の展開だなあ、が一段落したところで登場するのが保育士でヒロインの原田尚美(門脇麦)。彼女は受け持ちの笠原連(中野遙斗)の母親がいきなり自宅マンションで変死してしまうのに遭遇し、連を自分の家へ引き取ってしばらく一緒に暮らします。尚美は新聞記者で(しかも冒頭の怪死事件について強い興味を持ち調べているっ)恋人の江崎駿也(有岡大貴)と同棲中なのですが自分自身もかつて死んだ母親との間に何かしらあったらしく、妊娠しているにも関わらす恋人にその事を告げられないとか、既に情緒不安定気味(割合こういう設定の主人公も日本のホラー映画あるあるですw)保育園の上司である園長の小松(西田尚美)に注意されっぱなしなのだ。実はこの映画、なかなかダークなホームドラマな側面があり中盤のドメスティックな子供達の受難が描かれているのが面白いんですよね、もっともあんまりやり過ぎると非現実的ホラーとしての緊張感が失われる危険性もあるし(そして心優しい人ほど観ていて辛くなってくるし)、おまけに肝心のこどもつかい滝沢秀明)の佇まいがあまりにも堂々&マイペースな為にギャップが激しいといおうか・・・「一体どうやって収拾つけるんだコレ」て少し心配になってきたところ、思いっきり力技で映画の雰囲気が転調を迎えるので、観ていてつい楽しくなってきました。(笑)

カンクローさん、カンクローさん♪

 そして尚美が自宅アパートに引き取った連くんは次第に「カンクローさん」から始めるヘンテコな童唄を歌い出します。このシーンがソレまでの映画の展開の前後を考えると非常にぶっ飛んでおり(笑)いかにも日本の住宅事情、「日本の家庭が持つノリ」を反映した非常に湿った(それこそクロユリ団地 スタンダード・エディション [Blu-ray]みたいな)ちんまりしたホラーから、土俗的な要素も加味してる+お化け屋敷系アトラクションなはホラー映画になっていくのでした。そう「こどもつかい」は昔、といっても1950年代くらいな?子供達に大人気でしかもとっても可愛い♡腹話術のお人形だったんだよっ。ある地方の資産家が自分の稼いだお金も元手に資産家の息子や地元の子供達を喜ばせようと遊園地を開いたんだ。そして子供に当時最先端の娯楽と文化を与えたかったんだよ、犬神家の一族みたいな強欲な金持ちとは大違いなのさ。でも結局横溝正史もビックリの災いが起こってしまうのね、いつの間にか遊園地に遊びに来ていた子供達がいなくなり・・・異国から招いた青い瞳の腹話術師で人形こどもつかいのパパのことを子供達の親がつるし上げると、突然サーカスから火の手が上がり全焼。焼け跡からは居なくなった子供達と子供達を守ろうとした腹話術師の焼死体が見つかった。それからというもの遊園地を作った資産家が亡くなり、遊園地が存在した村も高度成長から取り残されて寂れて過疎になって・・・とまるで祟りにあったかのよう。んで尚美&江崎はかつての遊園地だった廃墟を探っていってぇ、という風に行動を起こしてくれます。予告編でも印象的だったカンクローさんの童唄って元は総て「英語」でありまして、「カンクローさん」は「come from」などとなっています。(詳しくは映画見て確認してw)英語詞→日本語詞の改変のくだりはマザーグースみたいなのを思わせます。「青い瞳の正体は~」というのが、いかにもど真ん中ホラーです。

それにつけても「尚美/NAOMI」が決め手、もちろんタッキーもね♡

 そうです、90年代「学校の階段」シリーズにも出演していた西田尚美はジャパニーズホラーにかかせない存在なのです。「クロユリ団地」で結局一番怖かったのも西田尚美だったし。「こどもつかい」のヒロインの名前が「尚美」で、彼女がいい知れないぼんやりとした不安を抱えてるホラー映画には定番の描写である導入部にかけて、「貴女の考えすぎよ」とひたすらに日常へとヒロインを促しプレッシャーをかける。そんな西田尚美のお姿は「ひょっとすると貴女様こそジャパニーズホラーの女王様なのではっ」という気に一瞬させます(笑)。そんな西田尚美園長先生も映画の中盤から後半にかけてどんどんホームドラマにおける良き隣人たる面倒見の良いオバサンになっていくのもご愛敬。そして最後の最後にタッキーの「吊り芸」で決めるというのが若干不思議というか、それでも感動したというか(笑)見所はそれなりにいっぱいありました。以前にも書いたのですがホントにクロウ-飛翔伝説- [Blu-ray]って映画を思い出したし滝沢君ブランドン・リーより腹筋も背筋も使ってますよ観れば解るけどぉ。「魔女の宅急便」もそうだったのですが「CGじゃないのでビビらせる」事に興味あるんですかねこの監督。(その一方でCGアニメ映画を手がけるとかいう報道もあったけど)とにかく若くて体力あるうちにもう少しホラー映画で頑張ってもらわなければなりません。なんか滝沢君と相性が良さそう気もしたし。

 ジャニオタじゃなくてS.キングの「IT」が好きだっていう女子にも

 わりとお奨めします。確かに映画館でちゃっかりと「こどもつかいDVD」の予告をなが流した松竹の宣伝はどうなんだあ?とは一思いましたけどお。でも最後にこんな余計な事書くのは、その後一人で「IT」をシネコンに観に行った女の子がそれこそ「IT」に登場するような腐れヤンキーな若い男二人に嫌がらせ受けたという訴えがSNSで拡散されたのを読んで個人的に滅茶苦茶頭にきたので特にカンケーないけど此所でもしつこく記しておきたかったからなんだぜ💢。んであえてお若いお嬢さん達に映画館での鑑賞アドバイスをしますが、レイトショーに一人で行くならメジャー系のR指定映画に行くよりマイナーな映画にしておきなさい。レイトショーでマイナーな映画に行く若い男やオッサン達はオタクなので15歳以上の女性ならそんなに嫌な目に遭う事もないでしょう。ただし貴女から見て、彼らが奇矯に見える行動を取ったとしてもあまりじろじろ観察しないであげることです。お嬢さんたちの行動範囲が安全に広がっていく事を心より願ってます、こどもつかいだってきっとそう思ってるさ。

 

 

 

 

 BL版④ 「ヴェニスに死す」

 

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  いきなり古典&伝説の「BOYS LOVE映画」に挑戦しようとはっ

 思っていなかったんですけどね。でもこの間私も例の君の名前で僕を呼んで [Blu-ray]を観に行ってですね、ああやっぱりべニスに死すの二十一世紀バージョンなのね・・・と(文学作品としてにしろ映像版にしろ)感慨深かったものですから、今語るのがなのではと。それから私世代は思春期にビスコンティの映画ファンに予め徹底教育されたもんですから「ビスコンティの映画に出てくる女優の顔は皆どっかブスい」だの「いやあタジオ少年って顔だけで体つき胴長でイケてない」だのといろんな他人の錯綜した感想が頭に入り込み、正直自分としては結構キチンと観た筈なんだけど実ははっきりした特色とか印象がぼやけてんだよねと長いこと思ってました。この前久しぶりに観る機会があったんですがちょっと驚いたといおうか、ビスコンティって仏映画の巨匠ルノワールの下に助監督でついていたのは知ってたんですけど、どうも師匠ルノワールに対して影響という以上にトラウマになる程の衝撃っつうのを受けたんじゃね?疑惑が自分の中で浮上して一人で興奮してしまったからなのです。まあお試しとしてルノワールゲームの規則 ジャン・ルノワール監督 Blu-rayビスコンティ夏の嵐 [DVD]を交互に観てみては。だんだんと頭の中がグラグラして不安になってくるかも、特に山猫 4K修復版 [Blu-ray]のラスト近くに出現するたくさんの便器壺のシーンにゲッと感じた映画ファンならばね。

 青春が終わったと感じる年頃になると皆「わかってくる」のさ。

 主人公で作曲家のアッシェンバッハ(ダーグ・ボガード)はもう初老、たった一人でベニスで夏を過ごしにやってきた。海辺の海水浴を楽しみにホテルではアッシェンバッハ以外は家族連れがたくさん。その中にポーランドの貴族の一家がいてそこの長男がタジオ(ビョン・アンドレセン)。14歳で顔はもう彫刻かってくらいに端正なのに、姉と妹という女に取り囲まれた美少年はやることなすことが歳の割りに子供っぽい。そしてアッシェンバッハはタジオを人目見た瞬間に彼のことが頭から離れなくなってしまい、ためらいながらもひたすらに彼を見つめ続けるのであります。・・・というわけでいろんなヒトがアッシェンバッハ&タジオの関係についてあれこれ言及しますが、ひとつコレだけは言える事がある。「ベニスに死す」の観客は皆アッシェンバッハとタジオに一人の男の「過去」と「未来」を見いだすのですよ。んで観客は「現在」の位置に置かれている気分になる、だから終盤近く夕日が暮れていく海岸とコレラが蔓延するベ二スを慌ただしく出発するタジオ一家と白塗りに化粧したアッシェンバッハに胸が締め付けられていくのを感じるのさ。だいたい映画ではタジオを見つめ続ける作曲家アッシェンバッハと彼のたどって来た「創造と苦悶に満ちた生涯」を交互に見せつけられるからどうしてもそんな気分にさせられるよ。

 何も知らない少年の「うっすらとした孤独」とオッサンの「絶対的孤独」

 ホテルに来たアッシェンバッハはとにかく落ち着かない。彼はホテルのレストランに行くといつも一人用の正方形のテーブルにちょこんと座って、気づかれないように周囲の家族連れを観察している。必ずしもタジオ一家の事だけじゃないんだよね。レストランのテーブルは家族連れには長方形のテーブルを提供するんだけど角は丸くなっているのね。で、角の丸くなっているテーブルについている家族やカップルでは女性が中心。この映画の女性は〇、もしくは曲線という記号で表現されているのさ。べニスにやってくる貴婦人達は「優雅な丸い日よけ傘」をかぶり「丸い日傘」を指し強い日差しの中丸い日陰に居てくつろいでいる。対するオッサンはといえばアッシェンバッハに限らずだいたい海岸では四角いテントの下でもっさりと座っている。最近日本で公開された「スクエア」もそうだったんだけど、◇と〇が緊張感バリバリで対峙している映画って◇と〇に性差(ジェンダー?)のイメージを乗っける事が多いです。そしてビスコンティの映画ではだいたいそれをやっていて、そして殆ど初めて本格的にやったヒトではないかしらん。タジオのお母様で優雅な日傘を指して優雅にスカートを翻し、顔は薄いベールで覆われたシルヴァーナ・マンガーノはとびきりお美しくて落ち着いていて充足していらっしゃる。ビスコンティ映画の女性はスカートとかの衣装をくるくる翻して動く時とか娼婦とかがベットの上に丸いペチコートを投げ出す時とか・・・そんな風にしているシーンが一番美しい。とにかく女性は存在自体が〇(円)なのよ。「夏の嵐」撮った時のビスコンティはまだ若かったからアリダ・ヴァリはスカートをくるくる回して動き回り、四角い木製の扉にもたれて怯えと激情にかられている時が一番美しい姿なんで顔のアップがブスいとかはどうでも良いの。(笑)そんな◇と〇の対比が一番劇的に表現されているのが「べニスに死す」かもしれない。海岸を歩くタジオはオッサンどものように四角いテントの影に避難するでもなく、「鉄壁な丸い影」のご婦人たちも不思議な他者でしかないからただ一人帽子もかぶらずほっつき歩いている・・でそれを涙をこらえつつ(かもしれない)見つめているアッシェンバッハ・・・なんでなんで?俺だって昔は彼みたいだったんだよ~って思って泣きたいんだよ、オッサンはっ。んでタジオも思う、アッシェンバッハとホテルの混み合ったエレベーターで思わずオッサンの顔を見つめ返す「ねえオジサンもさあ、今僕と同じ事考えていない? 此所って何だか退屈だよね。でも何故退屈なのかは僕はよく解らないの。オジサンは解るの?」・・・って感じ。ロリータはオッサンにはこんな事決して尋ねないよ。うっすらとした未来への不安と好奇心に駆られた美少年だからオジサンに尋ねるのっ。もうコレでおっさんの胸はずっきゅーん♡、てきちゃうのさああ!私は以前から感じていましたが、おっさんの中には「若い男の子に真剣に質問してもらいたい」欲望があるみたい、同様の内容でも女の子に質問されるばっかりだと寂しいのね。おそらく「おっさんずラブ」の仕事一筋の吉田剛太郎も部下に質問されたくてしょがないヒトなんだと思う。・・・つまりですねぇ、同性愛にはまずナルシズム/自己愛が根底にないとねって事です。

昔はすっごく可愛かった時の「俺」の残照を愛してしまう

 タジオ君の有名な「海岸のポールをもてあそびながらアッシェンバッハのオッサンをちらちら横目で見つめる」のシーンは演じるビョン・アンデルセンの顔だけ美青年のアンバランスさもあって以前はジルベールばりに男を誘惑するエロ子供のごとく言っているヒトも多かったです。(それを煽るように当時ビョン・アンデルセンはこの映画出演以来まるっきり消息不明のように喧伝されていた)しかしながらタジオ君はとにかく子供っぽい、トーマス・マンの原作ではタジオ君10歳くらいの設定ですから。映画では年長の少年と何かあったりして同性愛っぽい雰囲気も醸しだしつつ、同時になんだか無様な一面もある。顔があまりにも端正過ぎるので頭が良さそう、利発で才能がありそう、にみえないんですよ。でもだからこそ「昔すっごく可愛かった時の俺」の姿を彼に重ねたんじゃないかな、ビスコンティは。タジオ君が砂でできあがった「城」に入れ込んで凄くああしろこうしろと年少の子供たちに指示するシーンが挿入されているんですが、印象に残ります。「砂の城」はルートヴィヒ デジタル修復版 [Blu-ray]の主人公が作ったお城を思わせるくらいやたら精密なので驚きますがこの監督自身が生まれながらの貴族の出で城に関してのこだわりが映画のシーンのごとく幼少の頃から強かったかも、と考えると、ビスコンティ映画に登場する豪奢なお屋敷やお城が総て「なんだか悲しくて黄昏れている」ように思えて、また胸がしめつけられそうになります。でもソレがBLなのかそうじゃないのかは自分でも解らなくなってくるから不思議です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年に劇場まで行って観た映画 ⑥

 

  有楽町まで行って鑑賞したのだけど、近くに60過ぎの爺さんが私を見かけて酷くビビっていたのが気になった。何故?アンタこそブレードランナー楽しみ♡ってタイプじゃないじゃん・・・って思ったけど、映画が始まってしばらくして凄く納得した。それでも爺さんだと映画のラストには悲しくてグッタリすると思うんだが(笑)、リドリー・スコットが映画の構成をほぼ決めて「前作のプリスのイメージを拡大したかった」みたいなコメントをしていたんだけど、ダリル・ハンナのプリスはもうちょっと無邪気な感じだったのに「ロリっぽい家庭的な娘+ストリート系のカッコ良いギャル」に分裂するってのが私的には何だかなあだったんだが。(オッサンにはアレで整理がつくのかもしれないけど)まあライアン・ゴズリング好きな男には十分な映画だよ。

 

  たった一つの点だけ指摘したい。「淡水魚は生で食べちゃいけない、日本人だって昔から食べていないからっ!」この映画のスタッフの特に日本の歴史に対する理解は、半端なく深いもので登場するアイテム(三種の神器や冑に至るまで)のデザインは日本人の私から観ても素晴らしいの一言、映画冒頭にお母様が三味線を弾いて登場するコンセプトも独創性があって良いしね。だからね・・・だからこそ「映画のスタッフ日本取材する際にどっかの旅館にだまされてイワナかなんかの刺身食わされたんじゃないか」と不安になった。(マジで)シャーリーズ・セロンも淡水魚の刺身だけはNO THANK YOUだよ!寄生虫におそわれちゃう。

 

  改めて観たら、90年代にリメイクされたシャロン・ストーングロリア [DVD]の価値もやっぱりあるような気がしてきたよ。USの女性映画の新たな可能性を提示してあっという間にカサヴェデス死んじゃったからさ。特に年末にかけてのme too騒動があって「グロリア」を振り返るといろいろ考えることが多かった。

 

  日本じゃこの映画、極悪ヤンキーの兄ちゃん達のウケが最悪なの。

その反対に若い女の子たちには大人気だったんだけど。一人でシネコンに観に行った女の子がチンピラの兄ちゃん達に嫌がらせされたって話をSNSで聞いて、全員が(谷城/コクソン)のキノコ食って狂い死にしてしまえぇぇ!って(こころの中で)呪いをかけましたわ💢

「悪魔払いの儀式」

 個人的に楽しみしていた割りには食い足りないかった気もしましたが・・・宗教の最前線も中々ヘビーでありまして、カソリックの方々(教会内のペドフェリアだけでなく)も大変よぉぉ・・・という話でした。

 

希望のかなた [Blu-ray]

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 激動するヨーロッパ社会の現状もアキ・カウリスマキ監督の手にかかるとひたすら淡々と律儀に現実を受け止める人々のお話になります。ただ中東からの難民男性が皆ハードボイルドにストイックに男だけの人生を淡々と受け入れていけるのか?というのは少し気になりましたが。(でも宗教との兼ね合いを考えるとああしかならない・・・のかもしれない。)

否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い (ハーパーBOOKS)

否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い (ハーパーBOOKS)

 

 映画の邦題で文句が多かった映画。確かに映画観ると、否定と否定、お前の否定を私は否定してやろうじゃないかという応酬が最初っから最後まで貫かれているので「肯定」はタイトルに要らないって意見も理解は出来ますが。ただ私としてはまだ観ていない人に、そんな映画的なリズム感を観て新鮮に驚いて欲しい気持ちもあるのでねぇ、複雑。

 

 

  原作者の荒川弘が女性っての、なるほどそうでしょうね~てお話でしたね。等価交換なる法則に従って自分の宿命に立ち向かうっつう厳しさは今の日本の男性の周囲にはあまり無いといおうか、大半の若い男どもはそんなの意識して生活してないもんな、という事で連載当時大ヒットした漫画原作なのだな、てのはよく解ったわ。

 

  探偵ポアロケネス・ブラナー)の英語がスゴイ、とにかく膨大なボキャブラリーの持ち主になっていて、ポアロの推理力に説得力を与える重要な能力になってるから。今後シリーズが引き続き「ナイル殺人事件」とかやるならそれも楽しみだろう・・・って英語圏の観客は期待するんでしょうね。英語音痴の私にはさっぱりだけど。

 

 2018年がもう4月半ばなのですが、2017年に観た映画でワタクシが特にお奨めするのを敢えてあげますと、まさかの「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせガール」「LA・LA・LAND」より「ベイビードライバー」を「お嬢さん」はまだ観ていないんですがやっぱり「コクソン」は凄かった・・・です。共通するのは三作とも「奇形/フリークス」だから、なの。2017年はまた幻の傑作牯嶺街少年殺人事件 [DVD]リバイバル公開されて話題になりましたが、アレもまたとんでもなく奇形としか言いようのない映画でありましたので。

2017年に劇場まで行って観た映画 ⑤

 

  最近韓国映画界でもいろんな事が報道されている所為か結構なおどろおどろしさだった筈のこの映画、振り返るとかなり爽やかエンターテイメントの部類だったような気がしてならない・・未だにコン・ユ/コーヒープリンスの個性もおかげも有るのかいな。韓流ラブコメの要素が少ないと本気(ガチ)で不満そうに文句垂らしてた若い娘も居て、少しイラッとは来たが。(笑)

 

エル ELLE [Blu-ray]

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  もうここまで来るとトンデモ悪女どころか「キチンとした女性」にまでいくんじゃないのか?・・・冗談ではなく鑑賞後その手の感想を抱いた観客が日本じゃ多いんだよ。実はそのくらい「日本女性が生きていくの大変問題」が深刻なのかもね、私らが日常聞く話でも逆境から這い上がった「列伝レベル」の女に限って凶悪な男に絡まれトラブルになる事案が多いような気がする。

 

  満島真之介の出番が長い。「忍びの国」初回限定(2枚組) [Blu-ray]散歩する侵略者 通常版 [Blu-ray]の時の強烈な印象のちょい役と違って終始出ずっぱりでも邪魔にならないのがこの映画の一番の個性なのかもしれないくらい。法廷モノはやっぱり作っている人間の宗教観が強く出るものなのか、福山雅治を始め法曹関係者が総て仏教エリートのお坊様とか尼様のように描かれており、主人公がだんだん全力で破壊僧のごとき殺人犯(役所広司)に立ち向かうみたいな話になっているから。満島真之介でないと二人の宗教対話に割って入ってそれなりに効果的な突っ込みが出来る若い修行僧って役は無理ですってトコか。それから主人公の父であり師匠でもある元裁判官の父(橋爪功)なんてのは「悪人こそ極楽に行くべし」なノリで死刑制度について語るわ、対する破壊僧には熱烈な信者の娘(広瀬すず)や存在が「煩悩」のような信者の母(斉藤由貴、しかもこの役で2017年度ブルーリボン賞助演女優賞獲得した)も控えている・・・かなり過激にてんこ盛りしています。イヴの総て [Blu-ray]もそうなんですが、この手の映画は作り方はクラシックなんですけどそんなには無いのです。

 

  あの・・・映画のラストは「妻夫木君が東京湾で泳いでいるのはきっとCGだろう」と言い聞かせて見終わったんですけど、違うんですか?

 

  あまりにも偉業を達成してしまうと見て目からして「性別も人種も越える存在」になってしまう姿をUSにいる年配の黒人女性たちによく発見してしまう気がするんだけど、それは当事者サイドにすりゃあコンプレックスでもあるのかな?とは、ちょっと思ったよ。だからこの映画の衣装デザインや主演女優達のルックス設定については制作者たちは悩んだかもしれない。最後に実際の彼女たちの写真が登場してより映画の説得力が増すのだし。まあEmpire/エンパイア 成功の代償 シーズン1(SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]観てる人間にとっちゃ、タラジ・P・ヘンソンの「乙女な熟女」な感じが面白いですがっ。

 

恐怖分子 デジタルリマスター版 [DVD]

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  名前だけ知っている映画というのも「恐怖の対象」だったりするモノなので、やっと観る機会を得て良かったです。

 

  一言でいえば「猿の品格」っつう映画だわさ。なんたって(知能の高い猿)アンディ・サーキスウディ・ハレルソンの顔面対決のシーンがカッコ良いぜっ!

 

アウトレイジ 最終章 [DVD]

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  さようならアウトレイジ、さようなら日本のサラリーマンみたいなヤクザたちのように最後まとめてますが、今後は日本のヤクザ映画はどうなっていくのでしょう。

 私自身はかなり不得手なジャンルなのでさっぱり解りません。

 

  トム・クルーズ主演で「いかにもハリウッドらしいシックで洒落た犯罪映画」が観られる日が来るとは想像してこなかった私・・・我ながら失礼な人間だと思う。

 

女神の見えざる手 [Blu-ray]

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  邦題については賛否両論あるようですが、私はこの映画の題名、2017年公開された外国映画の中ではベストだと思う。原題の方がちょいとぶっきらぼうな感じ。

 

  アカデミー賞の発表では、話題としてネタとしてもよく取り上げられておいたね。オリジナル脚本賞おめでとう!

 

それにしても、2017年はついに⑥までやらないと終わらなくなっちゃったよ。(..;)でも全部コメントするもんっ。

2017年に劇場まで行って観た映画 ④

 

関ヶ原 Blu-ray 通常版

関ヶ原 Blu-ray 通常版

 

  幼い頃に秀吉に見いだされた石田三成のエピソード(茶の湯でおもてなし)を以前からだから何なんだよっていぶかっている私なのだが、コレ観て「ガキの三成は湯を沸かす鉄瓶に直接抹茶を入れ、水入れてかき回してグラグラと煮えっぱなしにしてただけなんじゃないのかっ」と個人的に発見してしまったぞ!滝藤賢一の秀吉の演技を観てたら達観したもんねw、それが今回一番の収穫かもしれなーい。

 

パターソン [Blu-ray]

パターソン [Blu-ray]

 

  映画の途中から「パターソンという街全体がネット世界のメタファーなのでは」と感じてしまい。急に落ち着かなくなって独り冷や汗をかいてしまったのさ。主人公パターソンが日々の仕事として運転するバスでは乗客たちが様々な会話をしているんだけど、もうまるっきりSNSなんだもん。そして主人公のパターソン。人知れず皆に発表したいんだがしたくないだか自分でも解らない「詩」を書き続けているパターソン。新婚生活落ち着いてきてそろそろ子供欲しいかなのパターソン。阿呆みたいにブログを続けて☆マークに一喜一憂しているはてなブロガーなら彼を観てなんだか心が痛くならないか?しかもネット上の詩人(のメタファー)・・・ネット詩人なんだぞ!!単に私が自意識過剰なだけ?しかも彼は映画の最後何故だか永瀬正敏に励まされるんだぜっ。でもなんだか落ち着かなかっただけだったよぉ。

「二匹の牝犬」

 私がシナリオを教わっていた師匠(下飯坂菊馬)の代表作のひとつで東映女優映画の中でもカルト的な人気のある映画。一部フィルムも消失しちゃっていて途中つながらない部分もあるんだけど渋谷のシネマヴェーラでは時々上映するし、CSの東映チャンネルでも放送されたみたい。この映画紹介できたら今私のやっているブログの目的の8.9割方は達成すると思います、やっと観られてホッとしました。

 

  何かと比較されやすいクリストファー・ノーランドゥニ・ヴィルヌーヴ。私は前者を直線のお方、後者を曲線のお方と今後考えることにいたします。んで世評の高いノーランのダークナイト(2枚組) [Blu-ray]よりは今回の直球のダンケルクの方がはるかに退屈しない感じがしました。登場人物たちのナイーブさが好ましかったし、出てくる男の子たち皆可愛かったし(おばちゃんなのでその点が最重要♡)

 

  公開順に紹介しているうちに「なんか一つ映画忘れてる」と思ったらコレでした。昔73年度版の映画のあらすじを知って驚愕したし(だってほぼ眠狂四郎の前日談みたいなのよお)篠田正浩の映画の脚本や大島渚天草四郎時貞なんてのもやってたはずの田村孟先生から思いっきり「キリシタンものは大っ嫌いだ」発言を聞いた事があったのでいくら巨匠スコセッシ御大の手になるとは言えまったく興味が持てなくてしぶしぶ観に行ったのだ。(73年度版の映画って実は遠藤周作自身の脚色で撮られているんだけど)驚いたのはスコセッシ版の宣教師たちって、要はヒッピーの若者なのね。自らの文明圏とは全く異なる土地に果敢にトライするヒッピー男子にとっての「性愛」ったら宣教師の一人(アダム・サンドラー)が簀巻きにされた小松菜奈チャンを抱いて一緒に海深く沈む、てトコまでで充足できるものなのよ、きっと。あとさ日本人キャストにはどうもヒッピー体験あり/若い頃長髪(ロン毛)だったグループ窪塚洋介浅野忠信イッセー尾形)とヒッピー体験なしグループ塚本晋也加瀬亮)にきっちり分かれていて「そうか!役者界における日本のサブカルマスターといえばやっぱり窪塚洋介なのかっ」と映画観ながら納得していたワタクシ。しかし何故原作者遠藤周作には出来なかった事がスコセッシには出来たのか?73年はヒッピー真っ盛りで何が何だか解らなかったのと、遠藤周作先生自身には長髪時代が一瞬しかなかったからかしらん・・・などと、概念で語る映画について「頭髪という見た目のモノがらみ」でしかひたすら考えられない自分が少し嫌になりましたあぁ。

 

  何だか怖かった映画、観た後しばらく2、3日後にじわじわ来る怖さ。だってこの後エル ELLE [Blu-ray]感染 ファイナル・エクスプレス [Blu-ray]観たんだけど、そっちより怖いんだよこのベイビードライバーの方がっ。ちなみにK・スペイシーのトラブルが派手に報道されたのは公開後二ヶ月経ってからなんでその影響は無いと思うw。監督が英国人なんだけど、なんだかミーハー気分のよそ者目線から見た「おっかないアメリカの人たち」が描かれているような気がしてならないの。

 

  侵略生物が乗っ取った「人間の持つ概念の限界」を決して超える事なく行動する・・という風にキチンと描かれているのでかなり真っ当なSFになっていると思うよ。(コレでも)何故だか松田龍平をはじめとするグループが乗っ取った三人は性格的にもかなり軽薄なゲームマニアで「お前口で言うほど概念にとらわれて生きていないだろっ」ってタイプの人間から概念を奪う方が難易度が高そう侵略にも有益だと勘違いしてあんまり役に立たなさそうなのばっかり選んじゃうし、一見ギャグにみえただけなんだよ、きっと。(笑)だから侵略者として「いい仕事しそう」な東出昌大版も存在するんだねっ。

 

  映画冒頭男の子達がひたすら嬉しそうに馬鹿みたいに坂道を駆け下りるのがとにかく圧巻。どうやってあのガキらに「走ってごらん」てそそのかしたのだろうか?「絶対転んで怪我するヤツ出てきそう」と思っているうちに、案の定興奮しながら坂道滑りそうな子が登場するし(笑)後、劇場では何故か私を除いてほぼ男性ばかりだったのが不思議だった。何故こんなたわいない映画が「圧倒的な男うけ」をするのだろうか?たまたま?