トンデモ悪女10伝説「ナイアガラ」のマリリン・モンロー

 

マリリン・モンローのブレイク作にして禍々しいまでに1950年代ハリウッドにおけるサスペンス映画の大傑作

そういうことなんだっ!!だからマリリン・モンローの「一見して男狂いの頭の悪い女みたいなんだけど何故だかみんな彼女を許す」というイメージはこの映画で確立したんだぜ。それにこの映画はマリリンだけじゃなくて、主要な演技陣がみなさん優秀でみなさん何かがヘン。先ず滝の前で独りぶつぶつ独り言をつぶやくオープニングから登場するルーミス(ジョセフ・コットン)の姿は今の日本人の映画マニアからみるとなんだか日活ロマンポルノの出だしみたい、て思うかも知れません。ルーミス夫妻(妻ローズはマリリン・モンロー)に対峙する新婚夫婦にしてヒロインのポリー(ジーン・ピータース)と夫レイ・カトラー(ケイシー・アダムス)はやたらとハキハキしてて、結婚後のびのびになっていた新婚旅行にはりきっている。映画開始後10分も経たずにルーミス夫妻は夫婦生活が昼夜共に破綻、片方のカトラー夫妻は既に新婚生活をスタートさせていて、妻は「アタシに魅力が無いみたい」とはっきり云うくらいですから、初夜のカップルではないよっ、という事実を強調しているのに気がつきます。そう、解る人はそこにこそ注目して映画最後までご覧になると良いかと思います。

 

ローズは13歳の頃からちょっと他人とは違っていた女の子

最早映画内容とは関係なく名シーンとして抜き出されているのが、湖畔のダンスパーティーの賑やかさに惹かれるようにローズがローズピンクのドレスを着て登場するシーンですね。ポリーは夫のレイに「君もああいうドレスにしてみたら」と云われて「ああいう格好するには13歳から準備していないと無理なのよ」と答えるのも印象的。ローズはダンスの曲に持参したお気に入りの「KISS」のレコードを渡して掛けてもらうのですが曲に怒り狂ったルーミスにレコードをへし折られてしまいます。この間のローズの表情のちょっとした変化がポイントで、ローズは何か意図があって巧みに芝居しているとしか思えない。でも何故彼女はブレない態度でルーミスを騙し続けられるのか、それも片方で若い男の愛人と逢瀬をしながら、ですよ。ルーミスはカトラー夫妻に自分のプロフィールをしゃべりまくるので却って「なんか悪いことしてきた男だからあんな暗いんじゃないの」な印象が観る方にもだんだん伝わってくる・・・エピソードの展開が何だか不穏だけど無理を感じないので「ナイアガラ」は実話を元にした映画で、当時の警察がハリウッドに映画製作依頼して出来上がったのは間違いないでしょう。そしてマリリン・モンローは10代の頃から教育映画に出演したり陸軍出身のマルクス兄弟の映画オーディションに受かったりしていた、そして孤児だった女の子。まさに「ナイアガラ」のローズの役にぴったり。ローズはおそらく20そこそこで自分の彼氏とタッグを組みルーミスを追って内偵していたFBI捜査官です。2年間も凶悪犯と結婚しても平気なのは、ルーミスみたいな反省のない凶悪犯は性的不能なのでセックスはどうせ出来ないからなんでぇす。なので、ルーミスにシャワーを浴びたあとに躰をバスタオルで余裕しゃくしゃくで拭かせたりする。そしてさらに凄いのは憂鬱そうなルーミスが突如ハイになり「何が欲しい?なんでも買ってやる」とふざけて(裸でベットに横たわる)でローズにせまり、それに対してひたすら「キャハハどうしたのぉ」と笑ってるだけの彼女、天井からのロングショットで控えめに撮られてるのですが、これだけ複雑で変態すれすれのシーンは滅多に観られません。ヒッチコック映画でもない。マリリン・モンローがいくらブロンドでもヒッチコックの映画に出演しなかったのは当然ですね。「ナイアガラ」以上のサスペンス映画のヒロインを提供するなんてヒッチコックでも至難の業。

あまりにも高いハイヒール(9センチはありそう)で歩くのは控えめにねっ

とは言えローズは映画のクライマックス前に映画からは姿を消してしまうのですが・・正直彼女は結局死んでしまったのかどうかも怪しいんで、よくよく観てね。ローズは恋人が死んでしまったのにショックを受けて気絶して寝ていましたが、ルーミスが挑発的に鳴らす鐘の音(KISSのメロディー)に怯えてナイアガラのキャンプ場から逃げだそうとします。彼女は自分が病院先から脱走したせいで警指命指命手配してしまい、客船にもタクシーにも乗れない羽目になるのですが、タクシードライバーに「カナダからUSA側に通行する列車の駅までどれぐらいの距離?」とマジで質問したりする、高いハイヒールの靴履いて「歩くわ」って云うんですよね。相当に無茶です、途中でルーミスに見つかって却って良かったじゃんて気がしてきたくらい。マリリン・モンローといえば謎の孤独死の最後も有名ですが、最近私自身が突然死する若い女の人をよく日常生活でみかけるので、日頃の健康状態に注意しないと女の人が一人の時危ないよ、マリリン・モンローみたいになるかもよって思うようになりました。それにしてもピンヒールは無茶して履かないでて思います。私は20代の頃、銀座で当時有名だったエッセイストでベストセラー作家のミス・ミナコ・サイトウ女史がボディコンシャスなピンクのスーツにピンヒールで歩いているのをみかけ後日「真冬の札幌の雪道でもピンヒールを履いて街を歩き廻った」という彼女のエッセイを読み驚いた事があるのですが、「ナイアガラ」でマリリン・モンローがやってみせたルーミスとのおっかけっこもはソレを超える驚異の身体能力の披露だったりするのですよ。そういえばミナコ・サイトウ女史も30代後半で早世しましたなあって「ナイアガラ」を鑑賞して思い出しました。皆さん華麗なハイヒールも良いですが、是非自動車移動を中心にして綺麗にはきこなしていただきたいっ。