日本の恋愛映画とは観客に対しての啓蒙映画なので・・・
ラブコメディは決して完璧なものではない。首をかしげてしまうものが必ずある。どうやら最近の女性雑誌における映画やドラマの批評は、青字体の文章を入れておかないと雑誌読者からも批判炎上がくる状態のようです。一般ブログサイトのブログでも気をつけないと読者ユーザーからの攻撃が来てブログを抹消させられるケースはあるようなので特に日本映画では気をつけないといけない作品がヒット作ほどあるやもしれません。なんで「花束みたいな恋をした」も職業婦人の映画のカテゴリーに入れて紹介しようかなと当初計画していたんですが・・・とにかくお祓いだけやってみます。
ハッピーエンドは恋愛の終焉と恋愛開始以前が日本の恋愛映画の常道
これが大人の恋愛映画の極北といわれる浮雲 【東宝DVD名作セレクション】ではヒロインが死んで終わりますから、悲恋でないと恋愛映画ですらないとうのが日本の多くの映画観客の認識、特に女性の場合は半数強の割合で存在しているのだと日本の若い独身男性(映画製作を目指す方々)は意識しておきましょう。2000年代日本では映画だけではなく出版やTVドラマでも世界の中心で、愛をさけぶが社会現象としてヒットしましたが一方ではネット界で有名になった評論家の宇野常寛がこれら難病恋愛モノのヒット現象について主に男性のエゴとフェミニズムの観点からの疑義の意見が出ました。それから同時期に「ロミオとジュリエット」の話を取り上げて恋愛物語の役割の終焉の可能性について言及したコラム例が掲載されている野口悠紀夫(この人は国際的に評価されている経済学者でもあります)の文章指導の新書がベストセラーになった事もあります。それだけ恋愛映画や物語についての日本人の態度はあらゆる点からみて公序良俗に反する危険性を孕む常に監視対象でもあるのです。そして映画「世界の中心で愛を叫ぶ」でも脚本家の一人として参加した坂元裕二が再び脚本を手がけ「花束みたいな恋をした」では初回公開時年の最長劇場公開作品になるほどに大ヒット映画になりました・・・ホントに、大ヒットで、そして映画を巡って日本のネット議論はどうやら荒れ模様。
これが少し以前の昭和平成時代のカップルだとデート時にはハリウッドやヨーロッパの映画の観賞したし、それが駄目ならジブリに代表される一部のアニメ映画を選んで鑑賞していました。そうやって未然に抗争を防いでいた感があります。(あとはごく稀に日本のヤクザ映画やヤンキー学園映画を一緒に鑑賞した交際の思い出を互いに語る両親を持つ若い方もいるかな)日本だと飛車角とか花と龍の時代から恋愛ストーリーには仁義なき戦いが事欠かないんだよね。それと愛と誠とか。
恋愛映画についてのプロによる評論文ならば
日本の映画業界は事前に一般人を対象とした試写会を行っており、そこ観客へのアンケートを「資料」として参考にしながら映画評論家は執筆していると考えられます。ですから商業媒体の映画評論では書き手だけではなく試写会参加者の総意が含まれていると心得ておいた方が良い。「花束みたいな恋をした」の映画が好きで数回鑑賞した映画ファンの中にはこの映画のレビュー内容に反論したい、なんかソレ違うだろっ・・と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなアナタには試写会にも参加しなよってアドバイスしたいです。はてなブログでは「花束みたいな恋をした」への熱いレビューが一時賑わったのにその数々のブログをどうやら本人たちが削除したらしい形跡があったようですが、はてなユーザーの彼らは試写会における他の女性客の反応やら劇場での他の観客の反応も思い出しながら「論争」すれば心折れずに削除したくなくなったかもしれませんよ・・・それと思いの丈をぶつける為だけでなくちょっとだけでも良いから金儲けしたいという気持ちもブログを続けるのには大事な要素かな。
ところで「花束みたいな恋をした」における教訓と啓蒙とは?
先ず日本の恋愛映画における定番ストーリーともいえる「若い未熟な男女が出会って恋に落ちやがて互いに限界を感じて破綻する(別離も死別も含む)で終了」を踏まえている故に大ヒットした映画であるこの作品。はっきり言ってこのパターンをいつまで製作し続けるのか?何にも観客が得るとこが無いじゃんな感想を抱くヒトも多いでしょう。既に寝ても覚めても [Blu-ray]のような恋人たちの関係性の変容はともかくカップルの継続としては成就する映画も日本だけでなく世界的なヒットもしているのですから。しかしながら主人公の山根麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)の二人が目指すquality of lifeは「寝ても覚めても」の主人公達よりも現代的でグローバリズムの影響を強く受けています。麦のイラストレーターとしての挫折や就活の経緯は、どこまでも勝利者を目指す態度で一貫しており何かしら実現できなきゃ憧れでも夢でもないという若い男性の成長譚として観ることも出来そうです。一方の絹の方はより複雑で女性が仕事のキャリアや家庭以外の社会で自己実現を果たすのは同年代の男性と比べても困難な状況という側面が描かれており、二人の先輩にあたる同棲カップル(韓英恵と中崎敏)の破綻のエピソードと重ね合わせると、女性の観客の中には「交際しているだけで一緒に住むって恋愛の終りじゃん」と感じるヒトもいそう・・・そうです、特に儒教や仏教の盛んな国では婚前で一緒に暮らすのはけしからん女性を利用するだけ、て考え方が根強い事も若い方々は頭にいれておきましょう。ただし、それでも麦と絹は大学卒業から社会人の基礎を作る5年間を一緒に暮らして、話し合って別れる事が出来た。麦と絹が別れ話をしに訪れた二人の思い出のレストランで出会う年下の大学生カップル(淸原果耶と細田佳央太)に伝えたい事があるとするなら、きちんと一定の期間恋人と付き合っていけば、たとえ別れても将来誰かと結婚して家庭と仕事の成功を手に入れる能力が身につくという事実でしょう。昨今のハリウッドでもラ・ラ・ランド 3枚組/4K ULTRA HD+Blu-rayセット [4K ULTRA HD+Blu-ray]なんかありましたしね。険しい道のりですが、恋愛というチャレンジは慎重にして吉って事。