山田洋次監督の本当の凄さは、思いきりAMERICAN♡
山田洋次によるたそがれ清兵衛 [Blu-ray]の大ヒットは日本映画にとっては快挙なのかもしれません、だけど劇場公開当時の私にとっては同人活動していたシナリオ修行時代のデスゲームの思い出、苦痛の方がより忘れられません。おかげで私はホントに藤沢周平がキライになりそうになったのよっ。あと藤沢周平の代表作と評判の蝉しぐれ プレミアム・エディション [DVD](題名を一時忘れてしまい検索にも登場せず呆然とした時がありました。記憶にあるのは確か宝塚のどっかの組で劇化されたなよなって事だけを頼りにチャレンジしたらアマゾンから出てきた)を何よりも映像化しやすいのにってコメントを読んだ際にわき出た私自身の違和感が、より山田洋次監督への個人的なリスペクトへ繋がってしまうのでした。後に東山紀之主演で映画化された小川の辺 【初回限定版】 [DVD]てゆう短編小説を一時間のTVドラマで脚色しろってシナリオの師匠からのリクエストで時代劇研究会の同人メンバーが一斉に脚本にしたんですけど、そりゃあキツかったのよ😥。
永久就職としての結婚、解雇される嫁とお家再建にかける嫁
「隠し剣鬼の爪」も藤沢周平の短編を3本選択して映画にしています。で、藤沢周平の連作短編シリーズである「海坂藩」ものとはあくまでも別個の3本なのも「たそがれ清兵衛」とは違う点です。ちなみに亡くなった時代研での私の師匠はかの巨匠山田洋次に対しても容赦なく駄目だしをしていて(若干年齢が年上だった事と山田監督自身が幼少期は大陸で育って引き上げてきた経験有り等の経歴をある程度知った上での推論もあったと思いますが)「たそがれ清兵衛」の次作である「隠し剣鬼の爪」に関してはテーマ主義に走っていて映画の結末を逆算して脚本を構成したのが失敗という判断でありました。その師匠の発言時には私は「隠し剣」の方を観ていなかったんでふーんと感じただけでしたが、ある日TVの放映(地上波かCS放送ノーカット版かは忘れたんですけど)で観て、私は「たそがれ清兵衛」よか「隠し剣鬼の爪」方が好きだし、たそがれ清兵衛で不満だった所が払拭されてんじゃんかって感想を強く持ちました。特に高島礼子が演じた侍の妻の役の描き方とかが凄いのさ、びっくり。ヒロインの百姓出身のきえ(松たか子)が片岡宗蔵(永瀬正敏)の実家に嫁入り修行していた後に商家へ嫁ぎ、嫁ぎ先から「使えない嫁」として追い出される姿と対比されることにより日本人の結婚観のある種の典型が垣間見られるのも興味深いです・・・不快でも一見の価値はあります。その点でも「だそがれ清兵衛」より出来は上だと思う。
観る人には好きな香り選んでぇ~WOW WOW♫
昭和の映画脚本家たちにとっての「テーマ主義」とは主に結末を決めてから逆算して脚本を作る事であって(しかも原作小説の結末に忠実とも一切関係なくやらねばならなくなる事態に陥るが当時の映画製作には多かった)、いわゆるGlobalな基準のテーマ主義とは少し違います。藤沢周平の海坂藩サーガともいうべき秘剣シリーズとそうでない短編小説ともごっちゃになりやすい事も有り、主人公片岡のラストの判断は師匠にはそうとう納得いかなかったのかも。ちなみに師匠は自分がある雄藩の家老職の子孫だったせいか、武士の身分を捨てるという主人公の判断に嫌悪感といおうか、無責任な行動だと考えたみたい。けどそこのところが私の解釈だと、片岡宗蔵って江戸期のスパイ及び謀殺指命を受けた者で彼の決断はあくまでもサバイバル活動じゃないかと感じたもんです、重厚でリアルなスパイ映画時代劇で良いんじゃないのかなあ?駄目なのかって鑑賞した直後に思いました。私には「たそがれ清兵衛」はちょっとだけ野蛮な西部劇で「隠し剣鬼の爪」の方はもう少し都会的なスパイものの印象なんですよね。日本の時代劇にはハリウッド映画並みのプログラムピクチャーに該当する傾向がありまして、山田洋二監督の藤沢周平原作映画にはその流れがキチンとあります。他の藤沢周平時代劇映画でもその傾向がある作品もあろうこととは思います、が・・・そういうのは嫌なのキライってタイプの日本の観客に合わせた映画が多かった印象があります、詳しく映画観ていないので印象だけです、印象っ。
出かけるわぁ~コンサートにぃ♫今自由に、ヴァケイショ~ン♫
私の子供から思春期、青年期の時代で(1970年~90年代半ばにかけて)山田洋二監督の映画というと、寅さんシリーズで一人勝ちというイメージが強かったです・・・といおうか振り返って考えると驚異的ですらあります。でも正直どんな映画なのか、未だに私にはよく判りません。あと、寅さんって当初はTVドラマで、妹のさくら役は長山藍子さんだったんです。現在私の主に年下世代の男性の寅さんシリーズマニアが増えているそうなんですが、特に1980年代の若者層の寅さんシリーズの嫌い方を記憶している人間には時代の流れを感じます。1970年代に家族で寅さん映画を映画館で観に行っていた人々がいましたが、そのパワーメントは結構スゴかったんだね。