SW外伝製作を見直すんだそうだ。
当初ジョージ・ルーカスに「二十年間で6作品しか製作しなかったルーカスは馬鹿だ」とまでディズニーの人たち言っていたらしい。(笑)それが今回の路線変更だそうな、当然て気もしますがね。だって「最後のジェダイ」についてだって未だにSWファンは上手いこと消化できていないんだからあ。それでも何とか消化の糸口を探して賛否両論の「より否定派」の意見もちょっと参考に読んでみたのですが、特徴的なのは主な登場人物の造形についての悪口をそれほど皆言っていない。特にカイロ・レン/アダム・サンドラーについては否定派閥系の男性ファンの間でも大人気。それが私には不思議でしょうがない(笑)。レイとの失恋エピソードと終盤の怒り狂い方には結構共感しているじゃないのさあ。反乱軍が映画全編通して逃げているばっかりで頑張って企業の役員でキャリアのピーク迎えます風な中年女性(ローラ・ダーンの事ね)が殉職して終わるって何なんだよ!な反乱軍の戦闘のやり方に怒っているヒトが多かったのも、解る気もするんですが、いやスターウォーズなんだよスタートレックじゃないしぃ・・・と同時に私思っちゃった。ひょっとしたら否定派の彼らにとってSWにおける譲れない一線って「SF映画、スペースオペラの金字塔」なのかもしれませんね。それじゃ今回の監督ランディ・ジョンソンが「最後のジェダイ」で目指したコンセプトが気に入らないの無理もないかも。だってスターウォーズのジャンルは「映画そのもの」てのが「最後のジェダイ」のコンセプトだったので。SWを作り続ける為にはソレしかもう方法はなくて、ソレを観た古参のコアなファンが商業主義に走ったと嘆くのは正しいっちゃ正しい。しかし出来上がった映画は商業主義とはかけ離れた仕上がりとしか思えなかった私。
そんな理力/フォースの使い方してもいいのかよ!!
と想いつつもカイロ・レンとレイとの時空を超えたやり取り、なのかそれとも「まるでご近所同士の幼なじみのようにネットのスカイプでやり合う男女」て言ったら良いのかSWも40年続くとテレパシー交換の描写だって非常にドメスティックになるのでありました。そして乙女の心の窓はSlide door/引き戸なんですね、そこだけはきっちり和風という(笑)。ここでもSWは日本、というか日本映画にこだわる。レイとカイロ・レンが交信しようとすると何故だか四角い壁が何層に重なっていて一枚一枚Slideして取り払っていくのも和風です、二人の心のブラックボックスは互いに日本家屋のように襖で仕切られているようなのさ。ここのシーンが物語の中核にあたるってだけでなく抽象的な事柄をよく簡潔に説明するんだなあ、結構スゴくないかあ?・・・て鑑賞直後には漠然と感じただけだったのですが、一日二日経って振り返ると、ひょっとしてアレか?日本のあのお方かい?って晩春 デジタル修復版 [Blu-ray]のラスト近くのシーンとか麥秋 デジタル修復版 [Blu-ray]での紀子さんが友人と一緒に料亭の襖を覗くシーンを思い出しちゃったのさ。どっちも相手の男性が「壁とか襖」として表現されていて話には上がってくるけど本人の登場は省略されているのね小津映画だと。それが「最後のジェダイ」では「とにかく何か着てよ!」てレイが叫ぶ、壁や襖の奥にいるカイロ・レンとしてついに可視化されるのです。さすがは理力/フォース!って言ったら良いのか、まさかそんな風な使い方するのかとか、日本映画のapplicationが止まらない。もっとも監督のライアン・ジョンソンって人はインディーズ映画時代から名作映画からの引用が多い所謂正統派の映画ファン出身者のようなので引用は小津安二郎だけに止まりません。だって小津はOZUですから。
「最後のジェダイ」の中では、おず/小津/OZUはそれ以外にも鏤められています。それこそ東京ディズニーランドの隠れミッキーのように。
「最後のジェダイ」のクレジットではヨーダに「フランク・オズ」てデカデカと出てきまして、私はギョッとしたのですがSWファンの友人に言っても「だから何なんだ今回はただの声優出演だろ」と言われてしまいました。でもおそらくヨーダはCGアニメではないでしょう。顔だけモーションキャプターであっても今回のヨーダの含み笑いは怖かったもん。SW参加以後イン&アウト [DVD]やペテン師とサギ師/だまされてリビエラ [DVD]とかのおっかないコメディ映画を撮るようになったフランク・オズが再びマスターヨーダになって還ってくるって、教えのスパルタ度が時間をかけてのしかかってくるようです。んで映画鑑賞終了直後はヨーダの事ばっか気になってたのでしたが、しばらくしてTVでワイルド・アット・ハート [Blu-ray]やってたのをちょっとだけ目にして、あああそっかあぁぁ・・・と気がついたのですが、「最後のジェダイ」のローラ・ダーンって終始「オズの魔法使い」で有名な南の魔女のコスプレみたいな格好で登場するんですよね、なんで反乱軍でもあんな浮いたロングドレス姿なのがサッパリ理解できなくてずっと悩んでいたのでした。「ワイルド・アット・ハート」でのローラ・ダーンはオズの魔法使いのドロシーみたいな役柄だったから、すっかり忘れてたけど。デビット・リンチはかつてデューン/砂の惑星 日本公開30周年記念特別版 Blu-ray BOXも撮ってたしねえ。
しかし「デューン/砂の惑星」のケースが典型的だったのですが、緻密なマーケティングに基づいた商業主義映画なのか、それともヤング(オタク)の懐をあてにして金かき集めて作った博打としての大型カルト映画なのかよく分からないまま公開されてた80、90年代のSF名作映画達と似たような作り方を思いっきりやってるのに、SW8で商業主義に完全に飲み込まれてしまったというのは正しい指摘なのか誤っているのかは私判断出来ませんが、とにかく隔世の感があるなあ、とは感じます。