
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2014/10/10
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「カトリーヌ」はアメリカ人にとって特別なヒロインだったらしい
ジャンヌ・モローが「突然炎のごとく」に出演したのは1962年、公開が63年くらいで実はほぼ「エヴァの匂い」と同時期ぐらいの作品です。つまりこの時の彼女は既に立派な大スターで、決してフレッシュな存在ではなかったということ。それでもアメリカではジャンヌ・モローがこの作品で大ブレイクしたせいか、なんだか「ジャンヌ・モローの本格デビュー作か?」な誤解をしていまして、アメリカのTV番組に彼女が出演した時「予算が無かったから自分でロケ時のみんなの食事を用意した」とか「川に飛び込むシーンも自分でやった」発言もあり、私は長いこと「初期のジャンヌ・モローの映画にしちゃ老けてんな」とずっと思ってました。「突然炎のごとく」アメリカ公開時の米映画界や観客への反応はすさまじく、どうもアメリカだと「ヌーベル・バーグ」といえばジャンヌ・モローとかフランソワーズ・トリフォーこそが代表みたいになってんのか? て感じもします。この映画のヒロイン「カトリーヌ」を巡って男2人と女1人の三角関係はアメリカン・ニューシネマにも影響を与えて俺たちに明日はない [Blu-ray]や明日に向って撃て! [Blu-ray]などが作られたのも皆さんご存知かと思います。ただしですよ、2013年7月当時は「突然炎のごとく」の単独DVDの販売が探せなかったように、日本のトリフォーのファンにとってはこの映画は決して絶対ではないらしいです。(2014年にブルーレイが発売されたんで慌てて変更したよ!)恋のエチュード〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選10〕 [DVD]ならまだ在庫もきっちりストックしてあるのに。日本市場では基本的に女性を巡っての三角関係の話が「あまり」というより「かなり」人気がないようです。むしろ男一人を巡っての三角関係バージョンでないとついていけないくらい。
私なんか・・・と自省と妙な挑戦を繰り返す「メンドクサいヒロイン」
最初観た時はそうも思わなかったのですが(現代の恋愛事情や若い女子事情などをを踏まえつつ再度鑑賞するにつれ)、ジャンヌ・モロー演じるカトリーヌというヒロインは実は結構性格が暗くて「私なんか・・・」と割にすぐにいじける女で、ひたすら妙な挑戦と自省を繰り返します。正直こんなウザい女に二人の男がくっついて離れないのは、この「ジュールとジム」の二人自身が本当は同性愛傾向があるからでしょーとか、特殊な文化人サロン内の人間関係のなかだけでしか動けない文学青年達だからでしょーって考えるのがい今どきの日本の普通の若い女子の見方なので、カトリーヌがジュールとジムを「引っ張っていって」二人の男性にいかに力を与えているのかが理解できない。男を従えて先頭切って自転車乗ったり、男装して3人でふざけたり、ジュールとジム二人を同等に愛さなきゃいけないのでどっちの子供も産んでみせなきゃと苦闘したり、凄いっていうかとんでもないタダの我が儘かもしれない彼女のスレスレの行為が、新しいタイプの、偉大な挑戦をする女性である、てことなんでしょうか? アメリカ人ってそう言えば「リーダ―シップとは何か」みたいなことを映画で考えるのが大好きな国民だったのでした。「ジャンヌ・モローのカトリーヌ」にリーダーとしての器をみた・・・とかね、なんだそりゃ。でも無理やりそう仮定でもしない限り、私だって「男女の深刻になりそうなメロドラマを軽妙に描きましたね」以上の感想がないんだもん、この映画に。
まだまだ影響される、アメリカの映画人たち
こういったヌーベル・バーグに影響されたのは何もハリウッド型のアメリカ映画だけではなく、むしろニューヨーク派と呼ばれる独立系の映画作家たちがいち早く「新しい波」にガチで対応しました。そのなかでも50年代後半から活動していたの巨匠「ジョン・カサべデス」なのですが、彼の夫人ジーナ・ローランスがカサべデス映画に本格的の登場し始めた頃から訳のわからないかんじだけど、これは何かヤバいみたいな家族劇、女性映画に作品の傾向がシフトしていきました。こわれゆく女 [DVD]やオープニング・ナイト HDリマスター版 [DVD]における、ジーナ・ローランスのもの凄い「私なんか・・・」のネガティブないじけパワーとあくなき挑戦の繰り返し(彼女のような振る舞いは一歩間違うと病んでいる人になる為、当然のごとく壊れて入院しなきゃならないのさ)はまさにカトリーヌ演った時のジャンヌ・モローのアメリカ版、をまたさらにバージョンアップさせたもんですから上演時間中は彼女に目が離せなくてとっても疲れます。まあ、名作ってそうゆうものなんで「すてきな女優万歳!」でいいのですが、黒澤明の「七人の侍」で熱狂した時といいアメリカ人はなんで一度その外国映画が気に入ると普通のリメイクじゃ気が済まないくらいに換骨奪胎しようとするのでしょうか。ホントしつこくて負けず嫌いな人が多いんだね。
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本当はこっちも紹介した上でジャンヌ・モローの話ができたらと思って書き始めたのにできませんでした。いやあ今回は難しかったんだ書くのが。