2018年に劇場で見た日本以外映画 ③

エースを狙え!を覚えているかい? 

 日本語吹き替え版は既にあるようですが、スティーヴ・ガレルの声は中尾隆盛さまではないのでしょうか?是非お願いしたかったのよっハーヒフヘホ ー。だってこちとらTVアニメ出崎統版の「エースをねらえ!」で育ったんだもん。そこのエピソードの一つにこの映画の男女テニス対決をモデルにしたのがあるのよ。映画は2018年度観たヤツではアイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル[Blu-ray]と並ぶ爽快感がありましたw。ホント言うとどっちも爽やかスポ根ものだったです。まあ私にとっては、ですが。渋め好みの男性むけにもボルグとマッケンロー テニスで世界を動かした男たち (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)の映画化の公開がありそっちも観に行きましたが、シニア夫婦でいらっしゃった二人組、奥様だいぶ寝ておられました。

  この映画ヤングなハン・ソロじゃないじゃん、ベビーブーマー向けじゃん。だから最後に寂しくなる映画です。ベビーブーマー世代の夫がかなり観た後にへコんでいて自分との世代の違いを実感しました。「スパイダーマン/スパイダーバース」の監督からL・ハワードに交代したのは当然ちゃ当然だったのでしょうが脚本段階で気がついて宣伝の戦略とかも少し考えた方が良かったような気も。(その辺日本の洋画配給会社の宣伝は良くも悪くも宣伝手法が細か過ぎw)んでL・ハワードの娘さん最近人気がありま 

 して主役のクリス・プラットとの息もぴったりと思いきやもはやこのシリーズはブライス・ダラス・ハワードの人気が引っ張っていると言っても(少なくとも日本のファンの間ではね)過言ではないくらい。ヴィレッジ [DVD]の時には大草原の家のローラみたいな感じで幼かったイメージだったですが前作のジュラシック・ワールド (吹替版)では久しぶりにこんな粋な感じのキャリアウーマン観たわ~って思いました。おかげで「ジャングルで恐竜に襲われてもハイヒール脱がないのかよ」な批判も一部ありましたが、この映画でも都会でのオフィスワークは常にヒールを貫いておりましたw。そしてもう一人旬のハリウッド美女といえば↓のエミリー・プラント。

 何故だか日本でもジワる感じのヒット作になったようです。同じ週に観たスカイライン-奪還- [Blu-ray]とは全くテイスト異なるのですが、製作における戦略に共通点があるといおうかよく考えてみたら同ジャンルw。はたしてどっちも好きっていうお方は多いんですかね。(やっぱり少ないのかな)プーと大人になった僕 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]はエミリー・プラント版の「メアリー・ポピンズ」と同様の自由主義経済社会におけるワークライフバランスを強く啓蒙するいわゆるディズニー「ど真ん中」映画でした。んで自由主義経済社会における個人にとっての結婚の幸せとは?を説くのがクレイジー・リッチ!ブルーレイ&DVDセット (2枚組) [Blu-ray]なんですが、りっちがリッチよりも立地と素早く変換される日本だとこの幸せのハードルは(いろんな意味で)高いようなぁ。

  んで、公開2週目に息子と一緒に行ったらウチの子以外は高校生以下の観客ゼロで息子自身は思わぬゲイエピソードにやや耐えられず、貧乏強請を始めるのでいろいろ誤解されるからヤメテヨ~になった皆様ご存じでしょうっボヘミアン・ラプソディ (字幕版)

。脚本的にどこが破綻しているかもよく理解できずにフツーに面白かったヴェノム ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 エクステンデッド版ブルーレイセット (2枚組/日本限定メイキングブックレット付) [Blu-ray]ね、でも私前作劇場で観たのに紹介すっとばしても気がつかないくらいにこのシリーズに興味ない・・・けど息子は大好き♡だから責めないでw。怖いんだけど日本の家族状況の方がより身につまされるのか、感想がどこも家族大変っすよね参考になりますってついなるのがヘレディタリー 継承 [Blu-ray]・・・っとこれが2018年度の秋口にかけて劇場でみたヤツでーす。

 その中のひとつ、セドリック・クラピッシュの映画は今のフランス映画の中では取っつきやすくて好きなタイプです。主人公がいつもちょっとだけ鼻につくような気もしないではないですがw、世代が近いからかな。今回のワイン農園の相続を巡って右往左往する3兄弟の長男についてもやっぱりクラピッシュの映画に出てくる「ちょっとだけナルシスト」の駄目男です、それでも彼なりに苦闘してきた子供時代とヒッピー風を装いつつ要領もそれなりに良くて、でも少し偏屈で頑固という性格が一方で兄弟やパートナー&子供をいつも気にしている故なんだと解ってくるのでまあ最後には応援したくなりました。鑑賞後は爽やかだけど、あっさりした印象の所為なのか「子供が皆可愛かったわね」と感想を延合うシニア女性達に出くわしました。おばあちゃんの映画ファンは面白かったけど何といって良いか解らない映画だと「登場する子供可愛い」の感想で済ませる傾向があるみたいです。

 

 

 

 

2018年に劇場で見た日本以外映画 ②

キム・ミニの声にひたすら魅了され  

それから [DVD]

それから [DVD]

 

  ホン・サンスという監督の名前は聞いていたものの今まで観る機会を逸していたのですが、思わぬスキャンダルが却って日本の映画ファンの関心を引いたのか(ごめん違うかもしれないw)【Amazon.co.jp限定】夜の浜辺でひとり(A4サイズクリアファイル付き) [DVD]正しい日 間違えた日 [DVD]も合わせて3本観ました。しかしながら↑の映画の出来が最も日本人の感性にも合う気が自分でもして一番好きでした。ダテに夏目漱石をモチーフにはしていないのかも。ホン・サンスに限らず韓国の映画作家には海外留学経験者の秀才が目立つイメージがあり、何と無しにその傾向に反発する日本の映画ファンが多いんではないかと邪推してたんですが(笑)、今回私は「それから」を筆頭にキム・ミニの声と韓国語も分かんないのにひたすらに可愛い台詞回しを楽しんでおりました。特に「それから」のラストでタクシーから外の雪景色を眺める彼女の顔は山田五十鈴もかくやの美しさでちょっと興奮してしまいました。

ラブレス [DVD]

ラブレス [DVD]

 

 この映画も何故だか(ネット上で予告編観て気になったらしい)息子に見に行くように命令され、何故?と思いながら観に行ったら劇場は盛況で鑑賞後、こりゃあ日本人好きそうなヤツだわもっと言えば今どきのロシアと日本は市民感情的に似すぎよねぇ・・と些かウンザリした気持ちにもなる。

  ↑の映画も現代新冷戦下のロシア、ヨーロッパが舞台の映画。英国の飲んだくれ女性外交官に「ロシアってさ女の子は皆可愛いのになんで男の方は不細工ばっかなの?」って嘲られても何も言えないロシア中年男が登場し日本のオッサンにも通じるものがあって哀しくなりました。US日本とも#me too 真っ盛りの折に公開されて主役のJ・ローレンスがど緊張しながら宣伝していたのが印象に残ります。ただ個人的には「ラブレス」より「レッド・スパロー」の方が断然好き、#me too 応援します映画だよっ。それからスターリンの葬送狂騒曲 [Blu-ray]旧ソ連&ロシアもの映画を結構観てたね、2018年はこの手のヤツが皆面白かったです。

  マーク・ハミルが圧倒的な存在感で全体を引き締めるホンワカ映画の↑やらD・デイ=ルイスがいつまでも繊細過ぎる少年のようなオッサンファントム・スレッド ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]、同じく同傾向のデッドプール2 3枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]と男性主人公のハリウッド映画は平常運転かもって気がしました(笑)。その中でも一番ヒーローとして感じが良かったのはやっぱりビューティフル・デイ [Blu-ray]でのホアキン・フェニックスですかねぇ。

エリック・ロメール コレクション 海辺のポーリーヌ [DVD]

エリック・ロメール コレクション 海辺のポーリーヌ [DVD]

 

  2018年にやっと観たリバイバル映画として取り上げるのを忘れとりました。この映画については改めてどこかで書きたいです。それから同じく海洋ものとしてMEG ザ・モンスター ブルーレイ&DVDセット (初回仕様/2枚組/ステッカー付き) [Blu-ray]も親子三人で観に行ってあのJ・ステイサム主演であのヒロ様の熱演があるからって映画全体の面白さの保証は出来ないのだと深く反省しましたぁ・・・。ちなみに観たいって言ったのは夫ですから。

 

 

 

 

 

 

 

2018年に劇場で見た日本以外映画 ①

ここまで来るとようやく駆け足でいけそう

 私の2018年初っぱなはスター・ウォーズ/最後のジェダイ (字幕版)で明けました。年末に観た人も多かったようですがコレは年明けにしといて正解だったみたい。んで2018年で最初に衝撃だったのはやっぱり 

デトロイト(字幕版)

デトロイト(字幕版)

 

 だったかな。オープニングからデトロイトの暴動の話を主要な登場人物のプロフィール紹介を交えながらいつのまにか舞台が「ホテル」に移っていく手際が巧みで好きでしたよ。私と違って分かりずらいと思った方はおそらく出てくる黒人のお兄ちゃん達がほぼ全員カッコ良かったせいなのではないかと思う。(思わずジョン・ボイエガよりアナタがアナタがガードマンになってって言いたくなるような二枚目がいたw)だからアフリカ系の公民権運動家のじいちゃんがこの映画に不快感を示した話になるほどそう思うのかあって。でも人種を越えて「若い世代」がオトナ社会の人種差別の壁にぶつかって苦しむ一夜を描いた映画だから。なるべくきらっきらな若者達が犠牲になる姿を強調したかったの解る気がする、女性の監督だからね。んでダークタワー (オリジナルカード付き) [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]なんかの後からハリウッドものはアカデミー賞がらみが続くようになります。

 だとか、

 ですね。それぞれ感想はいっぱいあるんですが、まず「スリー・ビルボード」のおっかさん(フランシス・マクドーマンド)には娘の敵、私まだ家の近所にいると思うし焦らなくても直ぐに決着つくよ、と言ってあげたいですw。んで「シェイプ・オブ・ウォーター」なんですが(既にいろんなトコで個人的に発言してますが)半漁人がとにかくカッコ良いのでヒロインのサリー・ホーキンスが羨ましいという感想しかなくw。「美女と野獣」の物語に以前から違和感を持っていたというギレルモ・デル・トモ監督とは私意見違うわあとしか言えません。美女と野獣だったらやっぱりディズニーアニメ版の美女と野獣 (吹替版)が一番「映画全体に暴力性が高くて」好き♡な私。それと冒頭のシーンではアラフォー女性が「いつか出会える王子様の為に」女磨きをしている・・・という描写にしか見えなくてぇ。朝方に一発軽く抜いとく方が仕事もはかどるって事が女性の場合あるのかなあ?という些か疑問は沸きました。2018年は「シェイプ・・・」後

 ↑の映画を観て勢いよくパンフレット購入して息子に鑑賞お奨めとプッシュしたまでは良かったのですが、その直後に入院してしまいました。2週間後に退院したら話題作目白押しで出てくる衣装が好きだったスピルバークとCG部分のカップル達が可愛かったスピルバーグペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 [AmazonDVDコレクション]レディ・プレイヤー1 [Blu-ray]。そしてインド映画のレベルの高さに改めてビビったのがダンガル きっと、つよくなる 〈オリジナル版〉(字幕版)でありました。それから君の名前で僕を呼んで(字幕版)アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル[Blu-ray]を鑑賞、合間に「おっさんずラブ」をTVでちょこちょこ観てました。グレイテスト・ショーマン (字幕版)が近所のシネコンで再上映され春休み息子に連れてけと言われて観ました。USの批評家ウケはともかく日本人にヒットしたのはよく分かるわ・・・って一人知ったかぶりしてたらUSでも大ヒットだったのね。息子はまた大人女性的女優枠ではジェシカ・チャステイン推しなのでモリーズ・ゲーム [Blu-ray]も観に行くように言われました。私以前から韓国の役者さんは演技の感情表現に国民性の違いがあるから今イチ上手い人と上手く無い人の区別がつかん・・・て悩んでましたが、

タクシー運転手 約束は海を越えて [DVD]

タクシー運転手 約束は海を越えて [DVD]

 

 さすがにソン・ガンホだけは滅茶苦茶上手いというのは私でも解ります。この人が虚脱状態になりながらウドンすすっている姿を見ると光州事件の複雑さが身に迫ってくるようでした。 

 

Vision

Vision

 

  何が危険(ヤバい)かって、↑のような映画見ても一向に退屈に思わないタイプの観客にいつの間にか私自身がなっていたという事実です。森の木々の音や雨の音、風の音、過疎の山村のジイサンが木訥と語る昔話が絶妙な編集で小気味よいリズムを刻むので、もうこれだけで快楽。実を言うとこの映画の前に見たアベンジャーズ/インフィニティ・ウォー MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]では上映中に熟睡してしまい全く内容を掴めなかったので「ドクター・サウスってジョシュ・ブローリンだったの解らなかった」という感想しかないのとエラい違い。


映画『花咲くころ』

 また2018年度の初っぱなは女性監督による女の子映画の秀作が話題になりましたが、私はこの↑の映画とそれからなんと言ってもRAW 少女のめざめ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]をお奨めします。

 

 

 

 

2018年に劇場で見た日本の実写映画 ③ (で、煙草/ジェンダーに関する映画)

日本の若手の二枚目には「煙草も持たせる」以外にオトナの芝居が無いの?

 って言いたくなるような日本映画が2018年には続けて話題になりました。そのうちの2本は原作小説の作者が女性なのでホントにそれしかないのかもって一瞬落ち込みそうになりますが。とはいえ制作側にはそれなりに戦略の違いがあって日本映画に文句言いたいフェミの観客にはポイントになるかも。(と煽ってみるw)

 

孤狼の血 [Blu-ray]

孤狼の血 [Blu-ray]

 

 所謂近過去もの映画(実は長年現代劇と時代劇とレトロもの違いは何ぞやという面倒な議論もあり好い加減この手の映画のジャンルが確立されつつあるのは喜ばしい事です)というヤツですし、タイトルにも関わる事なので松坂桃李喫煙者になる経緯がドラマチックに描かれているのも当然ちゃ当然w。主役二人が一番芝居するシーンでどっちも影になっててほぼ画面に出てこないも同然だったり、ラスト近くの「墨塗黒ペン先生による熱血指導日誌」を手に涙する1980年代の共通一次世代の若手刑事だったりする描写はとても気に入りましたっw。もうそれだけで露悪的なピカレスクロマンお腹いっぱいなので、さすがに近未来の「麻雀放浪記」とかは消化できそうにありません。

 

寝ても覚めても [Blu-ray]

寝ても覚めても [Blu-ray]

 

  海外の多くの国での公開が決定しているこの映画、煙草が主人公丸子亮平(東出昌大)の心理状態を表す重要な小道具になっています。映画鑑賞中はそれほど気にならなかったのですが、昨今特に若い女性の嫌煙感の凄さに触れる度に段々と心配になってきました。ソレこそ今どきハリウッド映画で観るスカした女優の喫煙シーン(2018年カンヌ審査員長のC・ブランシェットが演るような)と比べて遜色あるどころかむしろよっぽどマシだろって気が一方でしなくもないのですが、ヒロインの朝子(唐田えりか)の亮平の喫煙習慣についてのろけ混じりに語るエピソード等は結構炎上案件になりそうな予感。そして今現在(2020/01/25)何だか違った意味合いを持って大問題になっちまいました。悪い予感ほど当たるものです。しかしながらハリウッド洋モク系の喫煙シーンにはビジネスの香りしかないのに日本映画JT系煙草にはやたらとジェンダーの香りがするのが私は頭痛いです。日本/JTの場合は明治期から国策で専売公社だったりするもの関係あるんでしょうかw。

 

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track

 

 「一見IQが低い人向けに作っているように見せて中身はIQが結構高い映画」って最近のハリウッド映画等を褒め倒す時に使われるフレーズですが、新作の日本映画についても気楽にそんな事決めつけられますか?IQ高い表現って意外と危険なモノですよ、特に観客にとってより身近でドメスティックな現代劇だと。私的な決めつけで「ジイサンが夫婦や孫連れて見に来て終了後皆で大満足する」映画、ジャンルはともかく比較的IQ高い映画、にしてますが2018年度観たヤツで該当したのが↑とインクレディブル・ファミリー (吹替版)でありました。面白かったんですが感想を言うのが難しく、安室ちゃんど真ん中世代の主婦なんかには導入部なんかは身につまされ過ぎてたようでいた。時々劇場で見かける予告編に至っては「韓国オリジナル版の少なくともあらすじ知っている筈なのにどんな映画なのかサッパリ予想できない」状態に陥ったし。男性の映画通の間では評判は決して良いモノではなかったのに、「チャラく煙草を吸う三浦春馬が登場し始めてから面白くなった・・・すずちゃんすずちゃん」などと連呼する作家(何でこんなコメントするヤツがキング・オブ・アウトローなんだよって思いましたが瓜田純士って一部では有名な人なんですね)がいたりとか・・・私から観てもまるっきりの女性映画なのに出番の少ない男性登場人物の自己主張が強くないか?とは思いました。過去である90年代中頃と2018年との描写の一番大きな違いが「2018年ではリリー・フランキーを含めて男性陣が一切喫煙しない」というのにも意外と「怖さ」を感じたもん。なんだか「俺たちは総て過去を切り捨てて生きてきてるけど、代わりに過去を抱きしめてくれてすずちゃん&篠原涼子有り難う」ってか?しかしそんなんで男の人達大丈夫なのおぉぉ・・・(;゚ロ゚)?と思っちゃう。なんせ自他ともに大根常連組とされていた役者さんが現在大変な事になっておりDVDは販売中止。しかも新井浩文のシーンは全部カット編集した上で再度発売しても元々全く問題ない内容なんで困ってしまいます。そういや映画観た直後にTV出ていた三浦春馬について「彼は二枚目なのにやたら人の良さが出てる」とか突如夫はため息つきながら唐突に言い出して驚いたことがありました。日本映画と日本の観客にとって映画がIQ高い低いとかいう事よりも予想だにしない部分で「闇」が深いってのがより重要なのかもしれません。あと敢えてネタをバラしますとですね、「SUNNY」は隠れ百合映画です。韓国オリジナル版も同様なのかまでは未見なので存じ上げておりません。

 

2018年に劇場で見た日本の実写映画 ②

2019年明けてやはり世の中は荒れているのだろうか

 

モリのいる場所 [DVD]

モリのいる場所 [DVD]

 

  市原悦子様もお亡くなりになりましたし何より樹木希林が去ってしまったのが2018年度の日本映画界の一番の大事件になりましたから。それこそ万引き家族 豪華版Blu-ray(特典なし)のカンヌ・パルムドールなんてのが吹っ飛ぶぐらいです。↑の映画に関して言えば「万引き家族」と双璧で2018年の日本映画の私的ベストに入れても良いくらいでした。公開時前から感じの良さが伝わってきたのも好ましいです。ユルくてミニマムな喜劇のようですが、意外と隠れた過激さがジワジワくる内容でしかも実話べース。是非「万引き家族」とコミで主人公「モリ」画伯の履歴も合わせて調べてみて下さい。

 

 

 

 映画と全く関係ない話でとても心苦しいのですが、映画の途中から親子三人で河中湖の猿回し劇場に行った時にウチの息子がやらかした「4代目チョロ松の演技に5,6歳の幼児がクレームを付け人間である客の誰一人意味が分からないのにチョロ松自身だけは強いショックを受ける事件」の記憶がよみがえりとても困りました。当時のチョロ松は息子のクレームに「俺の芸駄目なのか?駄目?みんな俺のこと嫌いにならないでくれ」と急に強くアピールし始めたので親としてはすごく恥ずかしかったです。どうして宮藤官九郎脚本の映画だと続けざまこういう感想になるのか解りませんが、そんな馬鹿息子も今年の7月19日には満18歳になってしまうのはもっと哀しいです。

 

銀魂 2 掟は破るためにこそある
 

  コレも観てたのにすっかり忘れてました。近所のシネコンでヨボヨボのじいさまがチケットカウンターで「銀魂2下さい」と言ってたのに衝撃を受けた事も書かねばならなかったのにっ。チャンバラに飢えたシニアが銀魂にすがるのを目の当たりした瞬間でした。しかし(今一番多作ゆえにいろいろ言う人も居ます)この監督さんは相変わらず律儀です。予告編で「予算の無駄遣い」って予告してたシーンがまんま無駄遣いでした。キムラ緑子さんの立場はどうなるのでしょうって気がしますが。でも公開直前までエラく粘ったOPとか体力の続く限り頑張ってねとは思います。

 

 
 
 
 
 まだ前橋市で劇場公開している所があるみたい(2019年2月中旬)、なので観てない人でお近くの方はチェックしてね。しかしどんなに前評判が良くても原作漫画ファンが原作のビジュアルの完璧に表現と絶賛しても、積極的に観に行こうという気が失せるポスター仕様であった。さすがに日本映画ポスターの「惨状」を憂うる事は必要なのかもしれない。ギャングース絶賛派の中には「万引き家族」と並べたがる人もいるようなんだが、同じ貧窮した状況でも「ギャングース」の三人組と「万引き家族」のリリー・フランキーとでは人間のタイプとして全く共通点が無いというのがよりスゴイのかもしれない。世代とかいうレベルさえ超えてる。私前々から「万引き家族の主人公夫婦実はかなりの現金を貯め込んでいる」説を訴えているんだが、ギャングース達はあのリリー・フランキーに弟子入りして「先輩、土方仕事でどうやったらそんなに簡単に金貯められるんですか教えてください。そんなにキャッシュあったら牛丼〇〇杯食えますよ!!」と絶叫したところで、何も教えてくれないどころか会話も成立しないと思う。「万引き家族でのリリー・フランキー」は米とか肉とか外食には一切興味が無い人物なので「揚げたてコロッケにしたら〇万枚買えるほどの現金はどうやったら貯まりますか?」と質問し直さなきゃいけないよ、まず。(笑)

 という事で2018年の日本映画のトレンドは dis-communication/相互不理解に在るのかもしれない、て決めつけしちゃいそう(;゚ロ゚)・・・③もあるんだけど日本映画の中でも外でも相互不理解が一杯だね、って話が続きそうだし。世の中には幼児と猿回しの猿が勝手に相互理解しちゃう時もあるのにねぇ。(哀)

 

2018年に劇場で見た日本の実写映画 ①

2018年遂に日本の実写映画のコーナー作る程鑑賞したぞ!!

 既に2016年頃から日本の実写映画を積極的に見始めてはいるのですが、評価の定まった古い映画ならともかく新作の日本の実写映画の見方にはあまり自信が無いんですよ。まず第一に心の中でアニメ/実写と未だ完全に分けて考えている自分がいるので。そういう意味では衝撃的だったのが、ちはやふる 完全版【初回生産限定】 [Blu-ray]の登場でありまして、2018年にめでたく完結しました。

 

  とにかく「ここまで少女漫画を本気でビジュアル化するのかいっ」って当初は呆れ果てたんですが、振り返ると原作通りでないトコも多いようであくまでも監督が考える少女漫画にはなってます。とにかく少女漫画にしかなかった色彩を実写でやろうとしたがスゴかった。で、ドラマ部分は意外にも男の子モノに傾斜しているというのがミソ。

 んで、私的に「推し」の監督で映画観に行ったヤツ。

 

いぬやしき

いぬやしき

 

  とは言え、↓のは息子のリクエストで夏休みに行ったんだけども・・・

 

BLEACH

BLEACH

 

  とにかく佐藤信介の映画はいつだってレイアウト(構図)が完璧なんですね。もう出鱈目かしらと思うくらいに完璧。いぬやしき」の場合だと原作漫画の画力がものスゴイからじゃないだろうかって主張する人も多そうですが、それでも日陰で立地の悪い建て売り住宅の庭先に佇むノリさんの姿だとか、調布で佐藤健が事件を起こす室内のシーンにはひたすら感動します。息子と夫の三人で観に行きまして夫と息子は新宿の空中シーンに熱中してましたが、現代日本人にとってドメスティックな「家屋のリアル」が描かれているだけでホームドラマだと思ってしまう私にとっては万引き家族 豪華版Blu-ray(特典なし)に匹敵するくらいのホームドラマです。「ブリーチ」にしたって主人公の福士蒼汰が自分の部屋の押し入れに居着く杉崎花との丁々発止のシーンだけでああ映画観てる気がするって満足してしまう私。とはいえ「あんな狭い公団アパートのLDK住民に気づかれずSWATチームがどうやって入ってこれるんだよっ」みたいな突っ込みは常に入れながら観てますよw。以前漫画原作の映画だったんですが映画の冒頭主人公が自宅の部屋に居るところで話が始まるのにも関わらず「主人公が住んでいる家が実はお屋敷街の一軒家だった」設定だったのが映画が始まって中盤になるまで明かされなくて人知れずブチ切れた事があったんですが、まあ私そういうフェチなんです。そのせいなのか佐藤信介が推しって言ってるんだけれども「キングダム」にはそれほど惹かれません・・・(ゴメンナサイ)。最近の中国ドラマよりも圧倒的なエキストラ人員の少なさをカバー出来る画面作りもそれはそれで良いのかもしれません、けどぉ。

 で、この映画だと鎌倉が舞台なので、登場人物がどういう物件に住んでいるのかに苛つく事もなかったっw。その代わり冒頭からタイトルバックに至るまでのシーンが妙に不快で、映画の中で巧みに隠されている設定の暗示にすらなっていなかったというのが徐々に解ってきました。・・・なんと言ったら良いのか難しいのですがとりあえずは悪口だと思ってください。夫も息子も予告編から本編までどっちも見て気に入ってたようだったので一緒に観に行きまして、私も細かい所を気にしなければ楽しめました。例えば堤真一の着ていたパジャマがウチの息子の為に買った生協のパジャマとまるっきり同じモノだったりしたけどそれほど気になりませんでした・・・それから映画終わった後に夫は安藤サクラのことを「若いけど上手いヤツだなあ」と言い出しまして、私が「今度は朝ドラに出るよ」と告げた所「でも背が低いのに大丈夫なのか?」としきりに気にし始めました。安藤サクラは女優で朝ドラのヒロインになるんだって説明するのにとても苦労しました。

 

 

 

 

2018年に劇場で見たクラシックな「大作映画」

 

Sorcerer (1977) (BD) [Blu-ray]

Sorcerer (1977) (BD) [Blu-ray]

 

 いやあ、とにかくもの凄くて「加齢臭」があぁぁ・・・(苦笑)

 でも劇場内は人一杯入ってて、入った瞬間にヤバいわココって思いました。どうしてこんなことになったのさ、とアタリを見回したんですがホントに「ジジイ臭な熱気」だけで?ってくらい。女性客が私含めて2,3人てのも私の鑑賞する映画では別段珍しくないのですよ。2018年の秋口にスカイライン-奪還- [Blu-ray]てのを観た時なんてレディースデイだったのに女性客私とおばあさんの二人だけだったもん。何がこれほどまでにオッサン・・・いやあ男臭さを呼ぶのかよ、と思ってるウチに映画が始まりニトログリセリンを運ぶ男達(ロイ・シャイダーブリュノ・クレメール、ニーロ・フランシスコ・ラバル、アミドウ)4人の過去が冒頭一気に語られます。いろんな方がこのフリードキン版と仏オリジナル版との比較で指摘する部分でも在りますが、メキシコにフランス、エルサレムにUSのアイルランド系ギャングがいる都市(ボストンだと思います)といきなり皆さんそれぞれ人生大変そう、て様子が細部/ディテール描写の積み重ねで観る人に伝わってくる。フリードキン監督て70年代にジャンヌ・モローと結婚していたんですよね。それ踏まえて観ているとフランスの銀行家(ブリュノ・クレメール)のくだりがぁ、私からしてもとりわけ哀しくなります。ネットの感想で「フランスの銀行家の人が一番良かった、エピソードもまるでフランスのノワール映画みたいで」などというのが在ったんですけど、男の人はこの手の「勘」がさすがに鋭いんでしょうか。男の映画ファンでフリードキンが好きなタイプがジャンヌ・モローには興味あるとは思えないしねぇw。銀行家のカップルは結婚10年で離ればなれになるのだけど、フリードキン氏の場合はそれよりも続かなかった。(余計過ぎる情報ですが)

南米が舞台なんだけど、つい思い出すのは冒頭のキャラ紹介シーン

 になってるのよ、物語の構成がそうさせるのね。オリジナル版のアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督『恐怖の報酬』Blu-rayの場合だと舞台は同じく中米でもそれほど暑苦しいイメージがなく(白黒だしねw)、食堂&酒場の場面が特に重要。命知らずで、人生そのものを投げちゃってるような男達の虚勢の張り合いがスゴイ、そこで性格やら長所欠点を紹介していくんだけど。フリードキン版はうだるような暑さの中、酒場の周囲は石油会社の仕事を求めた地元住民達が集まってスラム街みたくなっている。運び屋になる男達は皆故郷を追われてスラム街に捕らわれてしまっていて、地獄のようなこの土地から脱出したい。故郷にいた時にも4人の男達は皆独りぼっちの状態で追われて身一つ村にたどり着いたというのに何だか寂しいの、慣れ親しんだ快適な場所から遠ざかったからじゃない。同じく石油採掘所で働く地元の住民は皆家族があって、貧しいスラムに住み日々辛い生活を送っていてもコミュニティの一員だから、爆発事故一つ起きても村の住民の間で暴動を起こしたりする。一体感を持って人生生きているって感じ。よそ者にはソレが無いから。とにかく疎外感が募るのさ。

 ニトロをトラックに運んでいる最中にロイ・シャイダーがもっともブチ切れるシーンがあってさ。橋がぶっ壊れているのをなんとか無理矢理渡ってやっとこさ道らしい道を急いで行こうぜって時に、奥地に住む原住民の家族連れがトラックの行く手を阻むの、あんまりトラックって見たことないもんだから原住民の家族には道を譲るってところに頭が回らないし、そこの家長たる父親がわざとふざけてロイ・シャイダー達にマウントする。ここら辺で私はロイ・シャイダー演じるスキャンロンの冒頭エピソードを強く思い出したのだしたのさ、ギャングの結婚式のご祝儀金をスキャンロン達のグループは狙って強盗しに入っちゃう。そこの結婚式を仕切る司祭もギャング幹部の弟で、はずみで司祭を殺した強盗グループの中で一人だけ生き残ったスキャンロンだけが生き残り地獄のような目にあってんのね。彼は世界の中でも一番の文明国に生まれたのに自分が育ってきた土地ではギャング同士の抗争ばっかりで、ずっと周囲に小突き回されるまま家族も持てなかった人生を再確認しているのよ。

最後のエピローグが「納得」

 スキャロンは最後にまた独りぼっちで「生き残り地獄」の目に遭って、それでようやく解放されて映画は終わる。やっとこさスラムの居酒屋に戻ったけど、石油会社は金と本国行きではないよく分からない土地へのチケットをくれるし。そんなスキャンロンは店で働いている原住民の中年女に「一緒に踊って欲しい」と声をかけて二人でダンスするのさ。なんだか一緒にたどり着けなかった他の三人を追悼するみたい。生まれた国もバラバラで皆の間に何にも連帯感が生まれなかったのにね。

 

恐怖の報酬 [DVD]

恐怖の報酬 [DVD]

 

 だいぶ前に観たのでかなり内容を忘れて・・・

 てましてw、サスペンス部分に関してはニトロがよりずっと繊細で何時爆発するかドキドキする中、必死にハンドル握ってたイヴ・モンタンの顔しか思い出せません。それよりも映画の中で紅一点の女性である酒場の女性リンダ(ヴェラ・クルーゾー)へ対する男たちが言動が酷く、お前のご託なんか聞く耳持つかよ、存在を無視してやるだけ有難いと思えな態度に驚いてしまい、強く記憶しています。男より女が少ない環境だから女がよりチヤホヤされる筈美人ブス問わず、て幻想を抱いている人間は男女問わずこの映画観て考えを改めた方が良いです。女性が少数になればなるほど激烈なホモソーシャル環境になり易くて、女なんかの説教を聞いてご機嫌取る位なら男同士がマシって事でクルーゾー版の運び屋にはゲイのカップルもいて威張ってました。ゲイの片割れの若い方の事がリンダさんは好きだったので止めたかったんだったと覚えているよ。演じてるヴェラ・クルーゾーって名前でもお気づきの通り、後に監督のクルーゾーと結婚したんですが、60年に夫の不倫の噂に傷ついて自殺してます・・・。こうゆうエピソードを聞くとフリードキン氏の「恐怖の報酬」リメイクへの執念が何となく解るのかなあ?まあフェミ系の観客にはどうでも良いのか。典型的な70年代のヒットメーカーっていうか、ひたすらハード&マッチョな映画を撮ってたフリードキンはこの後にクルージング [DVD]って映画作ってゲイフォビアだってゆうんで上映禁止にまでなった事があるんですよお。フリードキン版の「恐怖の報酬」を改めて観ると、男も男なりにジェンダー問題に悩む事はあるのかもしんない、て気もしましたが80年以降の新たなフェミニズムLGBT運動のうねりとは合わなかったのね。でもフリードキンの映画はゴリゴリマッチョだけではなくもっといろんな側面から評価しても良い気がしてきました。